- 下話
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>>113
続き
「っジャーン!!」
「わぁー、………ん?」
しんごが嬉しそうに差し出したものは、両手いっぱいの花束ではなく片手で2本ずつ、合計4本の瓶ビールだった。
「何スか、これ?」
思わず雑に返事する私。
「ビールだよ、ビール。せっかく飲み放題食べ放題なのにまだ全然飲んでなかったでしょ?下から持ってきたよ!」
「はあ…」
何て言うか、ポカンとしてしまった。
「あ、ほらほら、ケーキも運んで貰ったよ!ご飯は…スイーツ以外の好きなのわかんなかったから、アテになりそうなの適当に盛り付けてもらった」
「…うん」
「もしかしてビール好きじゃ無かった?あ、俺は大好きなんだけどさ。そうかもしれないと思ってお酒も一通り拝借してきたよ!」
「ぷーっ!!」
思わず吹き出してしまった。
「え、え?どうしたの?やっと笑ってくれたのはいいけど、何この笑われちゃった感…」
「かとりさん、こんなすごい部屋用意してくれて、多分お金すごく余裕あると思うんですけど、パーティー会場から拝借とか…結構庶民的なんだなと思って………プププ」
「何か見かけによらずケチだねって言われた気がするな。そうか、そういやルームサービスでも良かったんだ。」
少し恥ずかしそうに頭を掻くしんご。遠く、憧れの存在だった彼が、何だか急に近くの男性に見えてきた。当たり前何だけど、スーパーアイドルという肩書きを外せば彼も一人の人間なんだ。
「さ、じゃあ乾杯し直そう。」
「はい、ありがとうございます。じゃあ…」
チンっと、グラスを重ねる音が二人だけの部屋に響いた。- 0
13/11/25 22:12:58