官能小説得意な方! へのコメント(No.116

  • No.113 慎吾ママ

    13/11/25 15:15:17

    広めの間隔が開いた各部屋の扉。そのうちの一つの前でしんごはカードキーを通した。

    「どうぞー」

    私は招かれるまま、扉をくぐった。まずはエントランスルームみたいになっている。

    バタン…

    扉を閉めるなりしんごが低い声で言った。

    「ダメだな、ゆり。この前の更衣室と似たようなパターンじゃないの?ここまで着いてきちゃって。」

    え?や、やだっ! だってしんごが…

    何だか恥ずかしいような騙されたような気分になって、思わず軽くにらんでしまった。

    「じゃあ帰りますー。尻軽のおばか女に思われたくないんで。」

    本気じゃないけど、少しすねてみたい気になった。

    「うそうそ、ごめん。俺も誤解されたくないんだけど、いつもはこんな所に女の子連れてきたりしないからね。さ、どうぞ。」

    エントランスの次の扉を開けてくれた。

    「わぁー、すごーい☆」

    目の前には壁いっぱいの一枚ガラス。すっかり暗くなった外の下の方にはネオンが輝いていた。遠くにはスカイツリーが見える。

    「ゆり」

    窓にへばりついていた私をしんごが呼ぶ。振り返るとしんごが両手を後ろに回し、何かを隠し持っているようだった。

    え?まさか真っ赤なバラの花束とか?

  • No.116 慎吾ママ

    13/11/25 22:12:58

    >>113
    続き

    「っジャーン!!」

    「わぁー、………ん?」

    しんごが嬉しそうに差し出したものは、両手いっぱいの花束ではなく片手で2本ずつ、合計4本の瓶ビールだった。

    「何スか、これ?」

    思わず雑に返事する私。
    「ビールだよ、ビール。せっかく飲み放題食べ放題なのにまだ全然飲んでなかったでしょ?下から持ってきたよ!」


    「はあ…」

    何て言うか、ポカンとしてしまった。

    「あ、ほらほら、ケーキも運んで貰ったよ!ご飯は…スイーツ以外の好きなのわかんなかったから、アテになりそうなの適当に盛り付けてもらった」

    「…うん」

    「もしかしてビール好きじゃ無かった?あ、俺は大好きなんだけどさ。そうかもしれないと思ってお酒も一通り拝借してきたよ!」


    「ぷーっ!!」

    思わず吹き出してしまった。

    「え、え?どうしたの?やっと笑ってくれたのはいいけど、何この笑われちゃった感…」

    「かとりさん、こんなすごい部屋用意してくれて、多分お金すごく余裕あると思うんですけど、パーティー会場から拝借とか…結構庶民的なんだなと思って………プププ」

    「何か見かけによらずケチだねって言われた気がするな。そうか、そういやルームサービスでも良かったんだ。」


    少し恥ずかしそうに頭を掻くしんご。遠く、憧れの存在だった彼が、何だか急に近くの男性に見えてきた。当たり前何だけど、スーパーアイドルという肩書きを外せば彼も一人の人間なんだ。

    「さ、じゃあ乾杯し直そう。」


    「はい、ありがとうございます。じゃあ…」


    チンっと、グラスを重ねる音が二人だけの部屋に響いた。

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