- 下話
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「香取慎吾でーす」
少しおどけて慎吾が言った。キムタクと最初に話した時よりも更に緊張しちゃってる私。何も言えずただ慎吾の大きな目を見つめるしか無かった。
「あのさあ…」
「はっ…はひ!」
またこれだ。今日は何回テンパるのよ。
「プッ、何それw返事で噛む人、あなたと出川さんくらいだよ」
慎吾に笑われた。ヤバイヨヤバイヨ。いやもう何でもいいわ、慎吾なら。
「さっきのアレ…」
カァーっと自分の顔が赤くなるのがわかった。
「邪魔しちゃ悪かった?」
私は無言で首を横に振った。
「そう、ならいいんだ。木村くん、悪い人じゃないけど、こういうの結構あってさ。でも大体は一回で終わりだし、弄ばれるのが嫌ならやめといて正解だよ。」
黙ってうなずく私。
「あなたも木村くんが本気で、なんて思ってないでしょ?それをわかった上であのキムタクに一度は抱かれたーいみたいに思ってたんなら邪魔しちゃったなーって。でもその気が無いなら駄目だよ、ほいほい着いてきちゃ」
慎吾の声を聞きながら頭が真っ白になってきた。気がついたら涙がぽろぽろ溢れてきた。
「わっ……え?」
恥ずかしい。情けない。慎吾に軽い女だと思われた。確かに、浅はかな考えでキムタクに着いていってしまった。そのちょっとした選択ミスで、今大好きな慎吾に軽蔑されてるかもしれないと思うと、涙が止まらなかった。- 0
13/11/23 00:25:32