官能小説得意な方! へのコメント(No.310

  • No.307 慎吾ママ

    13/12/15 14:23:08

    体の話が出て私は恥ずかしくなる。その気持ちを隠すようにひたすら喋った。


    「どこに行くの?」

    「俺ねー、小学生からSMAbだったでしょ。実はほとんどデートっていうデートはしたこと無いんだよね。だからゆりの思ってるデートが出来るかどうかわかんないけど、ちょっと任せてくれるかな?」

    そうか。華々しい世界に身を置く代わりに、しんごには普通の青春時代は無かったんだ。さっきの電車の乗り方がわからないと言ったのも冗談じゃなかったんだろう。少しだけ可哀想な気がした。


    「いいよ、しんごが思う所ならどこでも。行きたいとこに連れて行って」


    「良かった」


    車は更に走る。

    「この前の放送、大丈夫だったの?メンバーに突っ込まれてたけど」

    ちょっと気になってたので聞いてみる。

    「あー、怒られた(笑)チーフマネに生放送で訳のわからないことするなってさ。カンペにも『話を元に戻して』って出てたし。でもこうしてまたゆりに会えたから結果オーライだ。」


    「ありがとう…。私、実は自分へのメッセージなのか他の誰かへのメッセージなのかわからなかったから、正直不安だった。」

    思わず心の内が口に出た。

    「……ジャニース遊んでるイメージも強いかもしれないけど、俺は同時に他の女の子と会ったり出来ないよ。そんなに器用でも暇でも無い。」

    前を向いたまま、しんごは真顔になっていた。

    「ごめんなさい、そんなつもりで言ったんじゃ…」

    しんごの方を向いて謝ろうとした私の手をしんごがきゅっと握った。

    「俺も不安だったよ。まずゆりが見ててくれてるか、込めたメッセージをわかってもらえたか、ゆりの都合もわからないまま日時を押し付けたからちゃんと来てくれるのか」

    しんごの手の力が強くなる。

    「……………うん。」

    私は嬉しくなってしんごの手を握り返した。しんごの顔がまた緩んで、少し笑ったような気がした。

    「もうすぐ着くよ。」

  • No.310 慎吾ママ

    13/12/16 01:52:36

    >>308>>309こちらこそありがとうm(__)m


    >>307
    続き

    「ここは…」

    着いたのは小さな美術館だった。郊外にあるせいかガランとしている。しんごは帽子とマスクを再び着用して車を降りた。敷地は広く、ガレージから建物へ続く石畳も長い。石畳の両脇は芝生になっていて所々に不思議なオブジェが飾られていた。ちらほら、中高年の方や美術学生らしき姿が見える。

    「行こう」

    しんごは私の手を握り、オブジェを眺めながら石畳を歩く。片側の芝生の向こうには海が見えた。

    「よく来るの?」

    「うん、たまに。インスピレーションをもらいに一人でね。誰かと来たの、初めてだよ。ちょうど今俺の好きな画家の絵があるの。」


    そうだ、しんごは絵を描くんだ。


    建物の中はシンと静まり返り、厳かな雰囲気が漂っている。会話なんかすると声が響きそうだ。私は黙ってしんごに手を引かれるまま着いて行く。いくつかの部屋の壁にはたくさんの絵。部屋の中央には彫刻やオブジェ。近代っぽいのから聖書の一端を切り取ったような物まで。


    どうしよう………ぜんっぜんわからない。写真みたいなのはすごいなーと思うけど、ただ絵の具を飛び散らかしたみたいなやつはさっぱり理解出来ない。しんごは………


    眼鏡越しの彼の目をチラリと見てみる。キラッキラしてるというか、すごく真剣な眼差しで喰い入るように一つ一つの美術品を見つめていた。

    『ちょっとゴメン』

    繋いでいた手を離し、スマホを取り出した。撮影は禁止だから何やら必死にメモしている。また見た事のない、新しいしんごの顔だった。

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