- 下話
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>>924
戻るとエリカちゃんはいなかった。
いすに座り向かい合う。
気まずい。
この空気を変えたくて、パソコンを開き栄養管理の話をしようとした。
ゆ「えっと、今までの食事内容で…」
シ「何でさっき泣いたの?」
言葉をさえぎるように聞く。
シンゴの顔を見た。
真っ直ぐ私を見ている。嘘はつけないと思った。
ゆ「エリカちゃんの上に覆い被さってるシンゴさんを見て、すごくショックでした。27の時婚約者に浮気されたんです。それ以来、誰かを好きになれずにいて、男の人にドキドキしたのも、キスも、エッチも、傷つくのも、頑張って走ったのも久しぶりでした。」
涙が溢れる。
シンゴはジッと見つめたまま何も言わずに聞いていた。
ゆ「やっと前の恋を乗り越えて誰かを好きになれるかもしれないと思ったのに、良いと思った相手は国民的アイドルで、ただ遊ばれただけなのかと思ったら、辛かったです。それでも毎日来るメールに期待してしまっていたので、さっきの2人を見てやっぱり遊びだったのかって。どうしようもなくなりました。」
全てを話した。
面倒くさいと思われたかな。
シ「そんな風に思ってるなんて全然想像してなかった。ゆりさんさぁ~俺が毎日三回もメールしてんのに、一回しか返してくれなかったじゃん?つかー正直言うと、最初は顔がタイプだったから、セフレ感覚で付き合えたらいいかなぁって思ってた。」
やっぱり。胸がギュッと苦しくなる。
シ「でも、メールの返事が素っ気なかったり、ずーっと敬語だったり。俺に興味ないのかなぁ~じゃあ何で簡単にやらせたんだ?とか考えてたらゆりさんのことが頭から離れなくなってた。」
シンゴの顔が優しくなる。
シ「で、さっきすげぇ泣いてるとこ見て俺のこと好きなのかなぁって嬉しかったのに、大丈夫って突き放されてやっぱ何とも思ってないのかぁってすげぇ悲しくなった」
だからあんな顔してたんだ。
シンゴからのメールにたくさん返信したかった。
でも彼女ずらしたくなかった。
シンゴへの気持ちが大きくなることが怖くて避けたかった。
最小限にとどめておけば、傷つくのも小さくてすむから。
シ「でも今気持ち聞けて嬉しい。ありがとう。」
満面の笑みで笑う。思わず私も笑ってしまった。
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14/01/15 21:35:56