- 下話
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「!!!???」
振り返るとそこには‥
しんごがいた。
「‥しんご!?」
しんごは私の手を掴んだまま、強引にタクシーに引っ張り込んだ。
「えっ‥ちょっと‥」
「運転手さん、帝国ホテルまで。」
しんごはこちらを見ようとしない。
そんなしんごの態度に私も黙り込む。
沈黙の車内。
妙に長い時間が流れたかのように感じる。
「着いたよ、降りて。」
しんごの言葉に、慌てタクシーを降りる。
続いてしんごも降りる。
ホテルの入り口に入ろうとしたしんごが、ふっとこちらを振り返る。
急に立ち止まったので、私は思いっきりしんごにぶつかった。
「もー痛いよゆりー」
「えっ、だってしんごが‥」
そんな私の言葉をよそに、しんごはふっと笑いながらホテルに入っていった。- 0
14/09/20 14:46:30