官能小説得意な方! へのコメント(No.707

  • No.707 慎吾ママ

    14/01/04 01:36:32



    「でもオフの時間。ゆりの事しか考えられない時……その時は電話していいかな?」


    やっと言えた。


    握りしめた手が痛い。


    『いいとも!』


    向こうの人影は片手で大きく丸を作る。


    「いや、違っ(笑)」


    そんなネタ投下したつもりは無いのに(笑)思わず素晴らしい反射神経に吹き出してしまった。


    「しんご?」


    はっと振り返る。チーフマネージャーが呼びに来た。


    「ごめん、行くわ。気を付けて帰って」


    『うん、ありがとう』


    慌てて電話を切り、チーフマネの方を向く。



    「何してるの?始まるわよ」


    「はいはーい」


    その場を離れながらちらっと窓の外を見る。人影はまだ動かずこちらを見ているようだった。俺は両手を上げ、伸びをする振りをして大きく手を振った。もう振り返れないので彼女がそれにどんな反応を返したのかはわからなかった。


    「しんご、明日は今日のリハの本番だけど大丈夫?歌に感情こもりすぎて涙を流す歌手もいるけど、あなた達はそういうのじゃないからね」


    「大丈夫!かっこいいとこ見せないとね………ファンに」


    チーフマネは安心したように頷き、打ち上げ会場の扉を開けてくれた。



    ………いつか、「オレンジ」の歌詞のようにさよならを言わなきゃいけない時が来るのかもしれない。お互いの立場を考えると、俺達に明るい未来は無い。世間にバレたら間違いなく事務所をクビになるだろうし、彼女もただではすまない。


    SMAbもファンも世話になった事務所も絶対に裏切ってはいけない。SMAbとファンと彼女と…俺はちゃんと守れるだろうか。


    いや、守らなければいけないんだ。




    出演者や関係者、メンバーが待つ会場に入る。焦げるような想いを抑え、強い決意を胸に俺は光の中に帰ってきた。




    おしまい

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