- 下話
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「色々あるんだねー………うわ、たっか」
目ぼしいブランド店を渡り歩き、あれこれ物色する。たまにマキが値札を見てはぶつぶつ呟いている。
「あー、こんなんがいいかも…」
ビビッときた店のマフラーコーナーで足を止める。
「いいじゃん。かっこいい。高いけど。」
「………うん、これにする。お給料もらったらすぐに買いに来よう」
色違いのマフラーを並べて見比べながらもマキとの会話は続く。
「今週末だよね。」
「うん、本当にありがとね。助かった。日払いでくれるって言ってくださって。2日分で買えそうだから3日目の出勤前に買いに来る」
とりあえず買うものが決まり、次はマキが目指す店に行くためにまたエレベーターに乗った。私達の後に結構たくさんの人が乗ってきたので、地下まで行く私達は奥の隅っこに詰める。あまり他人と密着したくないので、私は角ッこに立ったマキの方に体を斜めに向けて彼女に引っ付いた。
「建物の中なんだから手袋外せばいいのに」
密室で人がたくさんいるので小声でマキが言う。
「だって寒いんだもん」
私も小声で返事をする。
チーン、っと各階でエレベーターが止まる。人が入れ替わるが密集度はあまり変わらない。
「カラーは決めたの?何色が好きなの?」
…………好きな色………わからないや。似合うのは何色でも似合いそうだけど。
「そこ悩むとこ。無難なとこなら黒かグレーでしょ。それじゃ面白くないって言われそうだけどプレゼントに奇抜な色も難しいよね」
チーン
一階に着いたみたいだ。扉がゆっくり開く。
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14/01/18 22:59:09