〈大阪・平野区母子殺害〉 新たなDNA鑑定、検察が高裁に請求 

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  • 16/06/21 15:20:18

朝日新聞 6月21日

 大阪市平野区で2002年に起きた母子殺害事件で、検察側が被害女性の衣服などこれまで鑑定していない押収物について、新たにDNA型鑑定を裁判所に請求していることが捜査関係者への取材でわかった。

事件をめぐっては別のDNA型鑑定で被告と完全に一致する型が検出されなかったという結果が出ており、検察側は公判に新たな鑑定結果を新証拠として提出する方向で検討している。

 大阪刑務所職員・森健充(たけみつ)被告(58)=起訴休職中=は02年4月、義理の息子の妻(当時28)と長男(同1)を殺害したとして一審で無期懲役、二審で死刑判決とされた。
10年の最高裁判決はこれを破棄し、差し戻し後の大阪地裁判決で無罪となり、釈放された。

 大阪高裁で13年に始まった控訴審では、検察側が凶器のひもなど複数の遺留品のDNA型鑑定を請求。
裁判所が認めて法医学者が鑑定したが、今年4月、森被告と完全に一致するDNA型は検出されなかったことが明らかになった。


朝日新聞
2016年4月23日

 死刑判決を受け、最高裁で破棄された後に無罪とされた大阪刑務所職員・森健充被告(58)の差し戻し後の控訴審で、検察による凶器のDNA型鑑定の結果、被告と完全に一致する型は検出されなかった。
大阪高裁は22日、鑑定のため約3年間中断していた審理を6月に再開することを明らかにした。
「新証拠」を求めた検察は厳しい立証を迫られそうだ。

 差し戻し後の控訴審は13年7月に高裁で始まった。
被害女性(当時28)の絞殺に使われた犬の散歩用のひもなどの遺留品は起訴後に裁判所に保管され、検察は裁判所職員らが触った可能性があるとみて見送っていた鑑定が有罪立証のため不可欠と判断。
ひものほか、女性と長男(当時1)の着衣、室内のソファ、バスマットのDNA型鑑定を高裁に請求し、認められた。
 関係者によると、検察側の依頼を受けた法医学者が鑑定した。
その結果、凶器のひもからは性別が男性であることを示すDNA型が検出されたものの、森被告のものとは完全に一致せず、そのほかの遺留品も同様だった。

 高裁の第2回公判は6月23日。
鑑定人は今回の結果を鑑定書にまとめ、検察側が証拠提出する。
検察はこの内容を踏まえ、公判で意見を示すとみられる。

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    • 16/08/03 04:43:07

    最新の技術をもってしても確証がないとは義父が犯人ではないのかな。

    どんな事があっても一歳の子供が水死させられるなんて絶対に許せない。

    • 1
    • 16/08/02 16:59:06

    >>10
    被告DNA型、不検出…検察、有罪立証困難

     検察が被害女性から採取された微物のDNA型鑑定を独自に実施した結果、殺人罪などに問われた大阪刑務所刑務官、森健充(たけみつ)被告(59)=休職中=と一致する型が検出されなかった。
    検察は鑑定で「新証拠」を求めたが、有罪立証はより難しい状況になった。

     控訴審は、6月の公判で次回の9月
    13日に結審することが決まった。
    だが、大阪高検は独自の鑑定を大阪府警の科学捜査研究所に要請したことを明らかにし、新証拠が出た場合は審理継続を求める方針も示していた。

     独自鑑定の対象は、義理の息子の妻、森まゆみさん(当時28歳)の遺体に付着した多数の皮膚片など。
    精度が高い新たな方法で鑑定を進めたが、被告のDNA型は検出されなかった。

     被告は2002年4月、まゆみさんと長男の瞳真(とうま)ちゃん(当時1歳)を殺害し、2人の自宅マンションを放火したとして起訴された。
    関与を裏付ける直接証拠はなく、裁判では状況証拠の評価が最大の焦点になっている。

     差し戻し前の1審は無期懲役、2審は死刑を言い渡した。
    最高裁が1、2審を破棄し、大阪地裁の差し戻し審で無罪判決が出ている。
    森被告は一貫して無罪を主張。
    差し戻し後の控訴審で、検察側は、凶器とされた犬の散歩用のひもなど計10点のDNA型鑑定を実施したが、森被告と一致するDNA型は検出されなかった。

    ◇大阪・平野の母子殺害放火事件

     2002年4月
    14日夜、大阪市平野区のマンション一室が全焼。
    室内から絞殺された住人の森まゆみさん、浴槽では水死させられた長男の瞳真ちゃんの遺体が見つかった。
    大阪府警はこの年の11月、まゆみさんの義父の森健充被告を殺人の疑いで逮捕。
    翌12月、現住建造物等放火容疑で再逮捕した。
    マンション階段の灰皿から採取されたたばこの吸い殻から被告のDNA型が検出された。
    重要な状況証拠とされたが、最高裁は
    「事件日よりかなり前の吸い殻の可能性が否定できない」とし、審理を大阪地裁に差し戻した。

    毎日新聞
    2016年8月2日

    • 0
    • 16/06/24 21:45:17

    養父じゃなかったってこと?
    犯人は普通に暮らしてると思うと怖いね

    • 0
    • 16/06/23 22:32:27

    毎日新聞
    2016年06月23日

    DNA型検出されず 控訴審3年ぶり再開

     殺人などの罪に問われた大阪刑務所刑務官、森健充(たけみつ)被告(58)=休職中=の差し戻し後の控訴審が23日、約3年ぶりに再開された。

    審理の中断中に凶器などのDNA型鑑定を担当した法医学者が証人出廷し、森被告と一致するDNA型は検出されなかったと証言した。

     裁判では森被告の関与を裏付ける直接証拠がなく、状況証拠の評価が最大の争点。

    検察側が差し戻し審の無罪判決を覆すのは難しい状況だが、この日の審理で新たに被害者の遺体に付着したDNA型鑑定を独自に進めていることを明かした。

     森被告は、森まゆみさんと長男瞳真
    (とうま)ちゃんを殺害、2人の自宅マンションを放火したとして起訴された。

    森被告は「マンションに行ったことがない」などと一貫して無罪を主張している。
     審理中断中の鑑定対象は、まゆみさん殺害に使われたとされる犬の散歩用のひも、母子の服、現場のソファなど計10点。

    13年7月に始まった差し戻し控訴審で検察側が鑑定を請求し、高裁が認めていた。

     鑑定の結果、ひもからは森被告のDNA型は出なかった。

    一方で、複数の不完全なDNA型に加え、別人男性と、まゆみさんのものが検出された。

     検察側は不完全なDNA型について
    「森被告のものと考えられないか」と法医学者に尋ねたが、法医学者は「判断の域に達していない」と答えた。

    別人男性のものは
    「捜査過程で付いた可能性が高い」と説明した。

     控訴審は次回の
    9月13日で結審する予定。

    しかし、検察側は新たなDNA型鑑定の結果次第で結審しないよう裁判所に求める方針だ。

    殺人と現住建造物等放火の罪に問われた森被告=の第2次控訴審公判が23日、大阪高裁(福崎伸一郎裁判長)で再開された。

    凶器となった犬のリード(散歩用ひも)などのDNA型鑑定で、森被告と一致するものは検出されなかった、

    検察側の立証はいっそう厳しくなった。

    鑑定は母子の着衣、
    バスマットなど10点について実施し、いずれも森被告と一致する型は検出されなかった。

    次回9月13日に双方が弁論を行い結審する。

    まゆみさんの首をリードで絞め、長男瞳真ちゃんを浴槽に沈めて殺害したなどとして起訴された。

    • 0
    • 16/06/22 14:07:03

    >>8
    主な動き

    2002年4月中旬
    大阪府警、事件現場の階段踊り場灰皿から吸い殻72本採取

    11月16日
    府警、72本のうち1本のDNA鑑定結果を基に森さんを殺人容疑で逮捕

    7日
    検察、否認のまま殺人罪で森さんを起訴。
    8日
    現住建造物等放火容疑で再逮捕

    29日
    検察、否認のまま現住建造物等放火罪で起訴

    同月下旬
    府警、残りの吸い殻71本を入れた箱の紛失を把握

    03年3月31日
    大阪地裁で初公判。
    森さんは起訴内容を否認

    12月
    弁護側が吸い殻関連の証拠開示を依頼

    04年1月
    府警が大阪地検に紛失を報告
    検察が「証拠開示しない」と回答

    05年8月3日
    大阪地裁が無期懲役(求刑死刑)判決

    06年12月15日
    大阪高裁が死刑判決。
    判決は、2人の命を奪った結果は重大で更生の余地がないとした。
    また、死刑判決の理由の1つに犯人ではないと虚偽を述べて反省の態度が見られないことも理由として挙げた

    10年4月27日
    最高裁が1、2審判決を破棄。
    大阪地裁に審理を差し戻す

    7月
    差し戻し審の打ち合わせで地検が地裁と弁護人に紛失を説明

    • 0
    • 16/06/22 13:59:46

    >>7 続き

     本件公訴事実は犯罪の証明がないことになるから、無罪の言い渡しをする。

    ■ 付言

     上告審判決がDNA鑑定の必要性を示唆した吸い殻が紛失されていたことが、差し戻し審で明らかになった。

    紛失が差し戻し前
    1審当時に明らかになっていれば、審理の行方自体が別のものになった可能性も否定できない。

     科学捜査の重要性を踏まえると、前提となる物証の適切な保存管理は今後の捜査の最重要課題だ。

    今一度、紛失の経緯を再検討し、個人の責任を追及するのでなく、組織のありようを含めた再発防止策が採られることを切に希望する。

    検察側の主張

    マンション階段踊り場の灰皿にあった吸い殻のだ液成分と森さんの血液のDNA型が一致する。

    犯行時間帯に森さんの車を複数の住民が目撃している。

    犯行時間帯に携帯電話の電源を切るなど森さんが不可解な行動をしている。

    犯行日に妻を迎えに行くという約束を果たしていない。

    弁護側の主張

    被害者夫婦は、森さんい連絡を絶ち、転居したので森さんは、住所も知ず、マンションには行ったことはない。

    森さんは被害者に携帯灰皿を渡した事があり、そこに残っていた吸い殻が被害者の手によってマンション階段の灰皿に捨てられた可能性がある。

    犯行時間帯にマンション近くに駐車したことは認めるが、行方をくらませた被害者を探していたためである。

    • 0
    • 16/06/22 13:45:33

    >>6 続き
    間取り図を根拠に森刑務官が室内に立ち入ったと立証することには無理がある。

     また検察官は、事件当日に履いていた靴の中に被害者の飼い犬の毛とDNA型が一致する犬の毛が付着していたことも、森刑務官が室内に立ち入ったことを推認させると主張する。
     しかし、犬の毛の採取経過は客観的な資料に乏しい。

    DNA鑑定の正確さにも疑問が残り、これを根拠に室内に立ち入ったと推認することはできない。

    ■第5
     マンションの訪問

     吸い殻に付着していた唾液のDNA型が森刑務官と一致するのは証拠上明らかだ。

    しかし、吸い殻は採取された当時からすでに茶色っぽく変色しており、捨てられた時期が事件当日よりかなり以前だったことを示唆する。

    被害者は森刑務官が渡した携帯灰皿を使用しており、吸い殻は被害者によって踊り場の灰皿に捨てられた可能性がむしろ高まった。

     そして、上告審判決が鑑定すべきだとしたほかの吸い殻は、捜査機関の不手際で紛失し、鑑定しようにもそのすべがない。

     森刑務官が事件当日、マンションに赴いたことを認めた調書については、取り調べの際に犯人と決めつけ、誘導尋問を行ったと認められる。
    調書は3ページ足らずで、秘密の暴露に当たるようなものは一切ない。

    信用性は極めて乏しい。

     以上から、森刑務官が事件当日にマンションに赴いたことは認定できない。

    ■第6
     その他の間接事実

     検察官が主張するその他の間接事実は、森刑務官の犯人性を推認させるものとして強力とは言えず、それらをいくら総合したところで、森刑務官が犯人と推認することはできない。
    ■第7 結論 

    以上の通り、森刑務官が事件当日にマンションに赴き、被害者方に立ち入ったとの事実はいずれも認定できない。

    また、被害者らと近しい関係にある者の犯行と断定できない。
    犯行動機に関しては、動機となりうる背景事情があるという程度にとどまる。

     その他の間接事実は、森刑務官が犯人とするならば、検察官が主張するような評価ができるというもので、いずれも犯人性を積極的に推認させる事実ではなく、それらの事実のみで有罪と認定することは著しく困難だ。 
    そして、これらの間接事実はいずれも森刑務官が犯人でなくても説明可能で、森刑務官と被害者らとの間に一定の関係があることからすると、そのような事実が複数認められても不自然ではない。

    • 0
    • 16/06/22 12:18:51

    >>5 続き
    他の状況証拠も、最高裁が示した「状況証拠で有罪認定するには被告が犯人でなければ説明できない事実が必要」との基準に照らし、いずれも被告を犯人と推認させる事実とは言えな」としたうえで、「被告が事件当日マンションの部屋に立ち入った事実は認められない。
    マンションに行ったことそのものについても疑いが残る」と指摘し、無罪(求刑死刑)を言い渡した。
    判決のあと10年近く勾留されていた大阪拘置所から釈放された森さんは、
    「必ずこの日が来ると信じていた」と弁護士に語り、弁護団は「判決は具体的なうえ、詳細で説得力があった。
    警察は、事件が起きてから森さんを犯人と思い込んで捜査してきたが、真犯人がいるはずだ。
    検察は、判決を重く受け止め、控訴すべきでない」と話した。
    殺害された主婦の母・明石隆子さんは、「10年を振り返って、長かったような短かったような・・・。
    10年目に下された刑が無罪だなんて、残酷ですよね」
    と話した。

    大阪地方検察庁の
    大島忠郁次席検事は
    「主張が認められず遺憾だ。
    内容を精査し、高等検察庁などとも協議のうえ、適切に対応したい。
    状況証拠がたくさんあるのに、無罪にしてしまう司法はおかしい。
    検察には控訴を求めたい」とした。

    【母子殺害放火】
    判決要旨

     【主文】
     被告人は無罪。

    【理由】
    ■第1 公訴事実
    (略)
    ■第2 争点および審理経過(略)
    ■第3 裁判所の判断森健充刑務官が事件当日、現場マンションの被害者方に立ち入ったとは認定できない。

    マンション踊り場の灰皿にあったたばこの吸い殻が、携帯灰皿を経由して被害者によって捨てられた可能性が高いことからすると、マンションに赴いたことも、合理的な疑いを差し挟む余地がないと認定することは著しく困難だ。

     検察官が主張するほかの間接事実も森刑務官の犯人性を推認させる強力な証明力があるとはいえず、森刑務官が犯人でないとしたら合理的に説明できない事実が含まれているかも疑問が残ると判断した。

     以下、結論に至る過程を説明する。

    ■第4 被害者方への立ち入り検察官は取り調べの際に作った間取り図から、森刑務官が家具の配置を知っており、室内に入った事実を推認させると主張する。

     しかし室内の様子に関する森刑務官の認識は、報道や生前の被害者から伝え聞いた内容を踏まえた推測で生じたとみる余地がある。

    • 0
    • 16/06/22 12:05:27

    >>4 続き
    カーテンの色など他の記載も、実際の室内と一致した。

    検察側はこの間取り図そのものが「犯人しか知り得ない秘密の暴露に準じる」と論じたわけである。

    これに対して、弁護側は、たばこの変色について、専門家や科捜研が実験を監修していないと指摘。

    PTメンバーの証人尋問では「唾液多めとは具体的にどの程度か」と追及し、
    「科学性のない中学生の夏の課題だ」
    と切り捨てた。

    また、間取り図については、「犯行を否認している森さんが、自ら進んで秘密の暴露をするわけがなく、「あくまで検察側の推測にすぎない」と、さらに、犬の毛のDNA鑑定についてもその精度や毛の採取・保管過程を問題視、検察側証人の森さんの元妻の、「森さんが携帯灰皿を使う場面はほとんど見たことがない」と証言に対して、発生当初の府警の報告書の「『旅行の際、主人が上着のポケットから携帯灰皿を手渡してくれた』いう、元妻自身の言葉を引用、その矛盾点を明らかにした。

    そもそも差し戻し審の中心課題は、最高裁が指摘した、主婦が吸っていたのと同じ銘柄の4本のマルボロライトのDNA鑑定であったが、すでに02年12月の時点で、この吸い殻を含む71本(森さんのDNA型が出た1本を除く)を大阪府警がすでに紛失していたのであるから、最大の争点が失われたことを意味した。
    この中には被害者が吸っていた銘柄が含まれており、新たに鑑定して被害者のDNA型が検出されれば、被害者自身がたまたま森さんと一緒にいるときに携帯灰皿を使ってたばこを吸い、森さんの吸い殻とともに捨てた可能性が浮上することとなる。

    公判には捜査本部で現場責任者だった
    元警察官も出廷。

    71本の紛失理由について「吸い殻を保管していた段ボールを、ごみ箱と間違えて捨てた可能性が高い」と釈明したが、裁判官からは「そんなことがあり得るのか」と厳しい質問も出たほどであった。

    当然弁護側は、
    「検察側の新証拠では最高裁が指摘した疑問点を解消できない」として無罪を訴えていた。

    大阪地裁無罪判決

    12年3月7日、東住吉放火殺人事件で再審の決定を出した大阪地裁の水島和男裁判長は3月15日、「短時間でも変色はあり得る」とした検察側の実験について「科学的知見に基づくとは言い難い」と指摘、被告が被害者方に立ち入ったとする主張を退けた。

    • 0
    • 16/06/22 11:49:49

    >>3 続き
    最高裁判決

     しかし、10年4月の最高裁判決は、状況証拠(間接証拠)だけで有罪とするには「犯人でなければ『説明できない事実』が必要」との新基準を示したうえで、DNAが出た吸い殻も、フィルターの変色具合から、「かなり前に捨てられた可能性がある」と指摘。

    森さん本人が捨てかどうかも明らかではなく、現場近くで採取した別の吸い殻の鑑定の必要性を指摘、「有罪とすることは著しく困難だ」
    1・2審判決を破棄し、審理を地裁に差し戻した。

    あろうことか、大阪府警はその吸い殻の紛失していたのである。

    実は、現場マンションの踊り場の灰皿からは、主婦が吸っていたのと同じ「マルボロライト」の吸い殻も4本見つかっていたのである。

    「(この吸い殻から)主婦のDNAが検出されれば、主婦自身が携帯灰皿の中身を捨てた可能性が高くなる」。

    最高裁はこう述べ、4本のDNA鑑定を行うなど差し戻し審で審理を尽くすよう求めたいわけである。
     危機感を抱いた大阪府警は11年4月の最高裁判決後、
    捜査1課に異例の
    プロジェクトチーム
    (PT)を設置。

    文字通り当時の捜査資料をあさり、大阪地検と公判対策を練ってきた。

    “奇策”ともいえる、森さんの靴の中から採取された犬の毛のDNA鑑定も、PTの発案の一つ。

    麻布大学獣医学部の村上賢教授の鑑定で、森さんの靴から採取した動物の毛から被害者の飼い犬の毛と同じDNA型が検出され、「現場マンションに行ったことはない」とする森さんの供述を覆す新証拠と主張した。

     ただ、公判に出廷した村上教授の証言によると、同じDNA型が出る確率は
    1000匹中87匹に当たる8・7%。

    同じDNA鑑定でも、人間の場合(約4兆7千億人に1人)の正確さからはほど遠いものであった。

     差し戻し審で劣勢にたった検察側が新たに持ち出した(PTは、「たばこ実験」に活路を求めた)のが、警察官50人に、「1)普段通り(2)唾液多め-の条件で喫煙させ、
    「唾液が多いと、短時間でも変色はあり得る」との実況見分の結果と犬のDNA鑑定、それと、森さんが逮捕前の任意捜査の段階で作成した現場マンションの
    「間取り図」で、これらを根拠に、「森さんが事件当日に現場にいたのは明らかだ」と主張した。

    間取り図に書かれていたのは南北と東西、各方向に向けられた2カ所のソファ位置。

    事件当日に移動される前後の配置だった。

    • 0
    • 16/06/22 11:36:25

    >>2 続き
     次に府警が疑ったのが、夫の養父であった、

    当時、大阪刑務所刑務官の森健充(54)さんだった。

     森さんは夫(義理の息子)の借金の保証人として返済を督促されていた。

    にもかかわらず、当の夫や殺害された被害者の主婦は住所を変え、森さんに一切連絡しなかった。

    そのため森さんは、周囲の話から平野区内に転居したと判断、事件当日も1人で夫を探し回っていた、と訴えた。

    そんなわけで、アリバイはなかった。

    とはいえ、森さんの犯行と断定できる直接証拠もなかった。

    そうした中、森さんの当時の妻が、事件発生から約1カ月半後、「1日でも早く自首して下さい」との書き置きを残し、家を出た。

    大阪府警は、02年11月、森さん逮捕に踏み切ったが、当時の捜査幹部が「ガラス細工」と自認したようにそれは、あまりにも強引であった。

    逮捕の根拠は、
    当日の森さんの
    「(1)平野区内で夫を探していたと言いながら、どこに立ち寄ったか明確でない(2)午後5~11時までの間、携帯電話の電源を切っていた」という行動と森さんとよく似た人物や森さんのものと同じ車が現場近くで目撃されたとう証言、それに「この人に愛されたら、どんなに幸せだろう」「彼女は冷静で清く美しく輝く月だ…月を照らす太陽の存在になって生きて行かねばと綴った森さんの主婦への思いの告白文やメモの記載であった。

    取り調べで、森さんは、「マンションに行ったこともない」と、終始一貫、犯行を否認した。

    検察が描いた筋書は、主婦に性交を断られ逆恨みし、ふとした拍子に殺害に至ってもおかしくなく、また、幼い長男を殺害したのも犯人が身内だったからだというものであった

    検察が、決め手としたのが、現場のマンション踊り場の灰皿から採取された72本中たばの吸い殻の1本(ラーク・スーパーライト)から森さんのDNA型が検出されたという事実であった。

    仮にこれが真実であれば、「マンションに行ったこともない」とする森さんの供述と明らかに矛盾することとなる。

    弁護側は、殺害された主婦は森さん夫妻と同居していた時期があり、森さんの吸い殻入りの携帯灰皿もその時預けられていたものだと主張した。

    だが、この吸い殻を根拠に、森さんの犯行と結論づけた1審・大阪地裁は、無期懲役を、2審・大阪高裁は、「更生の可能性はない」と死刑を言い渡した。

    • 1
    • 16/06/22 11:21:29

    母子殺害放火事件

     02年4月14日、大阪市平野区のマンション一室が全焼し、主婦の森まゆみさん=当時(28)=と長男の瞳真(とうま)ちゃん=同
    (1)=の他殺体が見つかった。

    取り調べで一貫して否認していた殺人と現住建造物等放火罪で起訴されたまゆみさんの義父、森健充刑務官は、後半でも無罪を主張。

    直接証拠はなかったが、数々の状況証拠から1審大阪地裁は無期懲役を、2審大阪高裁は死刑を言い渡した。

    だが、最高裁は10年4月、「事実誤認の疑いがある」として1、2審判決を破棄、審理を地裁に差し戻していた。

    12年3月15日、大阪地裁の水島和男裁判長は、「短時間でも変色はあり得る」とした検察側の実験について「科学的知見に基づくとは言い難い」と指摘、森刑務官が被害者方に立ち入ったとする主張を退けたうえで、他の状況証拠も、最高裁が示した「状況証拠で有罪認定するには森刑務官が犯人でなくても説明できるものばかりだ」と退け、いずれも森刑務官を犯人と推認させる事実とは言えないと結論づけ、無罪(求刑死刑)を言い渡した。

    最高裁が死刑判決を破棄して差し戻した戦後の7件目の事件で、石川県内で元タクシー運転手が殺害された「山中(温泉)事件」の最高裁判決(1989年)以来21年ぶり。

    過去の6事件は後に無罪が確定している。

    事件の概要

     マンション一室から出火し、焼け跡からこの部屋に住む主婦と長男の他殺体が発見された。

     主婦の死因は犬のリードで首を絞められたことによる窒息死。

    わずか1歳10カ月だった長男は浴槽で水死させられた。

    主婦のジーンズが脱がされ、たんすの引き出しが開けられるなど性犯罪や物盗りを思わせる状況もあったが、わいせつ行為がなされた形跡や金品の被害は見当たらないことか大阪府警は、偽装工作とみて犯人像を絞り込む。
     特徴的だったのは主婦の夫が出勤した朝の時点と、家具の配置が異なっていたことだ。

    南北方向だったソファの向きが東西に入れ替わったのである。
     最初に疑われたのは主婦の夫であった。
    複数の女性と不倫を重ね「愛人や知人の名義で消費者金融に借金もしていた」
    (差し戻し審の弁護側冒頭陳述)。

    一般の夫婦像には遠かった。

     だが、夫は、出火時間帯に別の女性と外食中で、店のエレベーターのカメラに2人の姿が写っていた。

    完璧なアリバイの
    存在である。

    • 0
    • 16/06/21 15:24:46

    大阪市平野区の母子殺害事件

    2002年4月、マンション一室が全焼して女性と長男の遺体が見つかった。

    11月、女性の義父の森被告を大阪府警が逮捕。

    マンションの階段踊り場の灰皿にあったたばこの吸い殻72本のうち1本から被告のDNA型と一致する唾液(だえき)成分が検出され、一審の無期懲役、二審の死刑判決の決め手とされた。

    残る吸い殻は府警が紛失して問題に。

    最高裁は10年4月、吸い殻が事件以前に捨てられた可能性があるとして審理を差し戻し、大阪地裁は12年3月に無罪を言い渡した。

    朝日新聞

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