聞いてくれるだけで結構です。

匿名

匿名

14/01/26 00:53:19

むかし、わたしは◎◎公園前という駅の近くにあるマンションに住んでいました。
12階建てマンションの5階角部屋に住んでいて一度だけ隣の工場の屋根に敷き布団を落としてしまい、大目玉をくいました。マンションの1つ下の階には夫の同級生が住んでいて家族ぐるみで付き合っていましたが、ある日 夫婦喧嘩の末に奥様が行方不明になってしまいました。
その後、残されたご主人と子供たちはご主人の実家に行きマンションは売却され何も知らない新しい家族が越してきました。
50代の子供がいない夫婦でした。

わたしは仕事を始め、昼間はマンションを空けることが増えていきマンション内のコミュニティから足を遠ざけていました。いろいろ煩わしかったのです。子どももあえてマンションの子供たちとは違う幼稚園に通わせました。

マンションに住み慣れてきたとき、わたしの兄がマンションの近くの貸倉庫で事業を開始しました。元より商いの才があり会社は瞬く間に成長し、マンション内の主婦を数名雇用しました。わたしはわたしの兄だということは伏せていました。
後々、揉めたくはなかったのです。この選択は間違ってはいませんでした。

コメント

古トピの為、これ以上コメントできません

  • No.16 匿名

    14/01/26 01:02:36

    兄の事業は、世の不景気とは逆行し忙しく金回りも良い状態を何年も維持しました。

    わたしは、彼が兄だと言えずに苦しんでいましたがマンション内の主婦の一人が兄と不倫関係になりさらに兄の子を身ごもったと知り、黙っていてよかったと胸を撫で下ろしました。
    兄はむかしから女癖が悪かったのです。

    兄の子どもが無事に生まれたと聞き、びっくりしました。何故ならその家族は離散することなくマンションに住み続けていたからです。

    兄は貸倉庫の契約更新をせずに消えました。雇用していた主婦たちには、解雇通知と倍の給与を支払って行方をくらませました。

    わたしは、兄の子の成長をそっと見守っていましたが、やはりどこかで血が繋がっているのでしょう、だんだんうちの子と似てきました。うちの子はわたしの父に似ています。兄もどちらかというと父親似でしたから当然のこととはいえ、困惑してしまいました。


    わたしは、ある夜 一枚の手紙を残して家を出ました。

  • No.21 匿名

    14/01/26 01:06:03

    行き先は誰にも言わずに子どもと消えました。

    このまま、ここにいてはいけない。と何者かが教えてくれたのです。
    人知れず、子どもと暮らす場所を見つけ、夫に見つからないように子供の荷物を運び終えると季節は冬を迎えていました。


    ◎◎公園前という名の駅は廃線という形でこの世から消されました。

  • No.30 匿名

    14/01/26 01:14:10

    ある夜、誰にも教えていないこの部屋に一人の男性が訪ねてきました。オートロックのため、部屋には近づくことはできませんでしたが、男は手紙を置いて行きました。手紙にはまた来週、同じ時間に来ます。とだけ書いてあります。
    わたしは、インターフォンから聞こえたあの声の主を知っているような気がしました。◎◎公園前のマンションから逃げ出るようにと囁いたあの声と同じような気がしたのです。

    寒気というよりは懐かしさを感じました。わたしはあのマンションから持ち出した荷物の中から飴色の瓶を出しました。瓶の口はわたしの手が入る大きさで中には石が入っていました。

    むかしから石を拾うのが趣味だったのです。

  • No.35 匿名

    14/01/26 01:25:12

    石の中からたくさんの思い出を探ります。



    わたしは白い石を拾い上げ手のひらに乗せるとにっこり微笑みました。何故か懐かしく感じたのです。

    あの男がまたここに来る前に逃げなくてはいけない。いや、もしかしたら逃げても無駄なのかもしれない。わたしは暗い部屋で眠る子供の方をそっと見ました。
    春には小学生だ。

    迷っていてはいけない、わたしは兄の携帯を鳴らしました。
    昔かたぎでしょうか?兄は携帯を持つようになってから一度も番号を変えていませんでした。わたしの言葉に驚きながらも夜が明ける前、人々が巣で穏やかに過ごしている、そんな時間に兄はわたしの子どもを連れていきました。

    眠る子にわたしはさようなら、と囁きました。



    わたしはたくさんの石が入った飴色の瓶を抱えて海にいきます。
    1月の海にこの石を流すのです。
    きっとキレイでしょうね。

  • No.62 匿名

    14/01/26 07:11:07

    朝が来た。
    わたしは空になった飴色の瓶を浜辺に残すとたった1つ、海に流せなかった珊瑚の欠片をポケットに入れた。
    逃げてはいけない。

    わたしは監視する側に回った。見られるではなく見る側。
    あいつの行動を見ていれば必ずわかる。
    わたしはひたすら待った。
    子どもは小学生になったであろうか、もしかしたら中学生かもしれない。

    時の経過よりもあいつを見ていなければいけない。
    いや、わたしの子どもは時が経過しないのだ。
    もう何年も前に時を止めたまま、わたしといる。

    あの子に会いに行こう。わたしの子によく似た◎◎公園前のマンションに住むあの子だ。

    わたしは、廃線の横を走る市バスに乗り、マンションにたどり着いた。隣の工場はコンビニになっていた。
    わたしの脳裏に工場の屋根に落ちた布団が浮かんだ。

    大丈夫…。


    マンションのエントランスであの子を探した。色とりどりのかばんを背負った子どもたちが野に咲く花のように汚れく美しく見えた。

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  • No.86 匿名

    14/01/26 09:55:21

    悲しみに悲しみを重ねても答えはでない。


    汚れなき花たち中でわたしだけが知るひときわ輝く花を見たとき、何かが終わる気がした。
    でもそれは終わりではなく、はじまりなのだ。

    誰かが囁いた。


    もう裁けるときは終えた。誰も裁けないのなら答えは1つだろう。


    わたしはポケットの中の珊瑚を握りしめた。

  • No.106 匿名

    14/01/27 07:44:56

    珊瑚は、わたしの手のひらで揺れた。わたしの血や肉を分けた珊瑚はなにも語らない。

    寒い夜がはじまる。


    わたしは小さな巣にこもり、覚醒を待つ。待つことになんの意味があるのだろうか…。

  • No.112 匿名

    14/01/27 16:25:15

    1996.2.5


    インフルエンザかな?
    病院に行こう。



    1996.2.13
    雨→雪

    完治。
    お礼にお菓子を買う。あした、届けよう。



    1996.5.17


    節句人形を片付ける。
    来年は、どうしようか。




    子どもが生まれた年に買った10年日記は1996で止まっている。

    珊瑚の欠片を握りしめてわたしはチャイムを鳴らした。507号室のチャイムを鳴らすのは初めてだ。

  • No.114 匿名

    14/01/28 23:43:40

    扉がゆっくりと開く。ここにいる女の顔をわたしは知っている。

    ここに呼び出したのはわたしで招き入れたあの男は中にいるのだろうか、



    「大丈夫、さすがにあなたの夫まで窓から投げないわよ。」

    鬼が笑う。
    鬼が笑う。





    鬼が笑う。




    あの日、偶然再会した4階に住むあの女から頼まれてマンションの中に入れた。偶然ではなく、仕組まれていたのか、もうどうでもいい。

    507号室は、冷えていた。玄関入って右手は夫の書斎。隣には夫婦の寝室、反対側には子ども部屋があった。
    東側に大きな窓がある子ども部屋から布団と共に消えた我が子。




    「今までどこにいたの?」
    わたしは、鬼に訪ねていた。

    「あなたが一番、よく知っているじゃないの?」
    鬼は美しい微笑みを浮かべたまま、ゆっくりと答えた。

  • No.129 匿名

    14/02/01 23:39:21

    わたしに似た女。女はゆっくりと口を開く。

    「ねぇ、お母さん…。」



    頭の中でいくつもの記憶が交錯していく。生まれてはいけない子を生んだわたし。両親はこの子を遠い町の施設に預けた。もう二度と会わないと決めたこの子と再び再開したこのマンション…。


    あの夜、この子は4階から我が家に逃げてきた。家庭を知らずに育ち、家族の作り方がわからないこの子は、確かにあの日わたしが産み落とした我が子だった。




    「わたしね、あの子が何も知らずにあなたのそばであなたをお母さんって呼ぶのがどうしても許せなかったの。」


    わたしによく似た鬼が笑う。

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