• No.86 続き

    11/11/03 13:40:38

    >>84
    ◇普天間と選挙制度改革

    野田首相が踏み込まざるをえない危険な賭けはTPP参加問題だけではない。

    長年の課題である沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題も決着させなければならない時期が近づいてきた。

    野田首相は日米合意に基づいて名護市辺野古への移設を進めるべく、環境アセスメント評価書を年内に沖縄県に提出する方針を決めた。

    さらに、川端達夫総務相兼沖縄北方担当相、一川保夫防衛相、玄葉光一郎外相らが堰を切ったように次々と沖縄を訪問し、現時点での県内移設に難色を示す仲井真弘多知事らの懐柔に努めた。

    だが、仲井真氏は玄葉氏に対して、皮肉たっぷりにこう言い返した。

     「時間がかかると申し上げているではないか。そう簡単なことではない。政府もそれを理解しないと……。強引にやったとして、本当に辺野古に建設できますか」

     野田首相にとって、選挙制度改革も頭の痛い問題である。

    民主、自民両党は憲法違反の今の状態を解消するため、まず、一票の格差の是正を目指す。

    だが、公明党をはじめとする中小政党は選挙制度の抜本的改革を求めている。

     この問題を解決するために与野党9党が初めて一堂に会したのが10月19日の選挙制度改革協議会だ。

    だが、このスタートの会合で、早くもさや当てが始まった。

     座長を務める民主党の樽床氏は、各党の意見が大幅に食い違っていることを百も承知だった。

    このため、会議の冒頭、慎重に言葉を選びながら話し始めた。

     「本日は会議の運営上、最低限必要なことだけを確認したい。各党の考え方はいろいろあると思うが、それは次の会議で披露してもらい、その上で協議のあり方を話し合いたい」


     回りくどい言い方だが、樽床氏としては最初の会合で、一部の政党が席を蹴って出て行くという事態だけは避けたかったのだろう。

    せっかく各党を協議のテーブルにつけることに成功したのだから、この話し合いの枠組みを空中分解させたくなかったのだ。

    各党はとりあえず樽床氏の提案を了承した。

     まず、自民党の細田博之政治制度改革実行本部長が意見を述べた。

    「違憲状態を解消するため、まず、1票の格差をただすための協議を行ない、次に2段ロケットの2段目として選挙制度の抜本改革を話し合うべきではないか」

    続く

  • No.87 続き

    11/11/03 13:45:24

    >>86
     この提案に対し、共産党の穀田恵二国対委員長が即座にかみついた。

    「ちょっとそれはおかしいでしょ。協議のあり方は次回以降ということで了承したのに、今の発言は協議のあり方の中身にまで踏み込んでいるではないか」

     樽床氏がとりなして、協議のあり方については次回以降とすることを再確認したが、出だしから思いやられる展開である。 

    要するに民主、自民両党は抜本改革を先送りして、1票の格差の問題だけを話し合いたい。

    なぜなら、現行制度は大政党に有利だからだ。

     これに対して、現行の小選挙区制度で不利な戦いを強いられている中小政党は抜本改革に踏み込みたい。

    改革の中身で議論が対立しているのではなく、その前段階の会議の進め方、何を議論するのかという点で、すでに会議はつまずいているのだ。

     衆院で圧倒的な議席数を誇る民主党の現在の力をもってすれば、自らに有利なように1票の格差の議論だけを進めることも不可能ではない。

    だが、民主党が細田氏の言う「2段ロケット」式の議論を強行すれば、公明、共産、社民、国民新党などを敵に回し、野田首相の政権運営は行き詰まりかねない。


    続く

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  • No.88 続き

    11/11/03 13:50:53

    >>87
    ◇またぞろ蠢き始めた「政界再編」

    政権発足後、安全運転に徹してきた野田首相は、次から次へと襲いかかってくる政策課題への対応で安全ばかりを考えているわけにはいかなくなった。

    だが、安全運転をやめて、危険な課題に立ち向かうことで、政権は不安定にならざるを得ない。

     そうした動きを横目でにらみながら、与党内にきな臭さが漂い始めている。

    その発信源は、亀井氏の動きである。 

    亀井氏は10月24日夜、東京・赤坂の料亭で小沢氏と会談した。

    国民新党関係者はこの会談の内容について、「年金問題だ」と語ったが、それを信じる政界関係者は皆無だ。
    また、亀井氏はこの直後に自民党の山崎拓前副総裁とも会談した。

     さらに、この日の昼、亀井氏は外国特派員協会で講演した後、取り囲んだ記者団に対して、大阪府の橋下徹知事が提唱する大阪都構想について、「共感する」とエールを送った。

    前述のとおり、亀井氏はTPP参加問題では野田首相と真っ向から対立する立場でもある。

     一連の動きについて、連立政権の中で埋没気味の亀井氏が生き残りの道を探っているだけだという見方もある。

    自民党ベテラン議員の1人は「うまくいくかどうかは知らんが、狙いは新党結成、そして政界再編。

    亀井さんは野田政権の失速が近いことを予想しているんだろ」と指摘する。

    「野田首相は安全運転をやめた結果、スピードを出しすぎて事故を起こすかもしれない」


     野田首相と距離を置く民主党中堅議員はこう言う。

    その先にあるのは、首相辞任か衆院解散・総選挙か。

    逆に野田首相のスピード運転が功を奏して次から次へと主要課題を解決できれば長期政権化もあり得る。
    野田首相が安全運転をやめたことによって、あらゆる可能性が出てきた。これに呼応するように、

    政権周辺で何やら気になる動きが目立ち始めてきた。

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