「高校無償化」になっても教育費が家計を圧迫する理由、そもそも私立と公立は何が違うのか?

匿名

口は災いの元

25/03/13 11:43:48

「高校無償化」になっても教育費が家計を圧迫する理由、そもそも私立と公立は何が違うのか?

2025/3/11
Wedge ONLINE

 教育無償化について、自民・公明両党と日本維新の会が党首会談で合意した。この合意では、高校無償化について2026年度から収入要件を撤廃し、私立加算額を全国平均授業料の45万7000円に引き上げるとされている。先行措置として25年度から所得制限を撤廃し、全世帯を対象に支援金11万8800円を支給するという。(「自民・公明・維新が高校無償化等で合意 来年度予算成立へ」)

 これにより公立高校は所得制限無く授業料が実質的な無償化に、私立高校についても保護者の金銭的負担は大きく下がることになる。公立と私立の学費差が大幅に縮まることで、生徒は家庭の経済事情によらず高校を選択しやすくなるという。(もっともこれは授業料の話である。私立学校では施設費やその他費用も多額であり学費が全て無償になるというわけではない。)(略)

■高校無償化の目的と実際

 高校無償化の目的は何か。よく言われるのは家庭の経済状況による教育格差を是正し、将来的な社会の公平性を高めることである。

 また、少子化が進む中で子育て世代の経済的負担を軽減し、子どもを持つことへの不安を減らすことも重要な目的と言われる。このような目的自体に大きな異論はあるまい。

 しかし、現実に起こっていることはちょっと違うようだ。例えば、10年の民主党政権時代に始まった公立高校の無償化では、子ども一人にかかる学習費の総額は、無償化直後は減ったものの、23年度には無償化前より高くなっているという。(前出記事)

 なぜ、このようなことになるのだろうか。その理由として、高校で授業料がかからないなら、その分少し無理してでも私立中高一貫校に入れた方がいいと考える親が増え、小学生からの塾通いなど教育投資が逆に増えたと考えられる。私立受験競争の若年齢化が進み、却って教育費が家庭を圧迫しているというわけだ。

 つまり、高校無償化はその本来の目的を達成するよりも、私立の受験戦争を過熱させ、結果として公立高校の「定員割れ」を招く可能性がある。

>>1■私立の「創造的な教育」の理想と現実

コメント

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  • No.1 口は災いの元

    25/03/13 11:44:52

    今の時代、受験生の私学志向は強い。言うまでもなく、それは進学実績を考えれば公立よりも私立が有利と考えられているからだ。確かに東大の合格者ランキングでは毎年トップテンのほとんどが私立高校である。

     生徒や保護者が私立に優位性を感じるのも分かるが、本当にそうなのだろうか。そもそも公立の学校と私立学校では何が違うのだろうか。筆者は教員として公立私立合わせて40年奉職し、その両方で管理職も務めた。その経験から公立と私立の違いついて考えてみたい。

    ■私立の「創造的な教育」の理想と現実

     学校教育法第一条の規定により、「学校」は国、地方公共団体及び学校法人のみが設置できる。この内、学校法人が設置する学校を私立学校と呼ぶ。

     私立学校は民間企業のように思われがちだが、営利目的は許されない。私立学校法でも「公共性」を高めることが定められており、法的にはどちらも同じ「学校」である。

     ただ、私立学校はその自主性を重んじることが法に明記されている。そのため公立学校が全国一律に学習指導要領に基づいて教育を行う義務があるのに比べ、私立学校では柔軟にカリキュラムを編成することによって独自の教育理念や特色を反映させた教育を行うことができる。

     したがって公立学校が画一的になりやすい日本の教育制度において、私立学校では多様な教育実践が期待される。見方によっては近年の法改正で公教育の統制が強まっている今日において、私立では主体的・創造的な教育を担保する役割を担っているとも言えるだろう。

     しかしながら、現実的には私立は財源の多くを集める必要があるため、自主性以前に生徒募集につながる魅力づくりに力を入れなければならない。理想だけでは存続できないのだ。

    続く

  • No.2 口は災いの元

    25/03/13 11:45:51

    生徒保護者は創造的な教育実践よりも、進路実績や施設環境等を重視する傾向が強い。必然的に私立学校では大学受験に特化したカリキュラムを組んだり、スポーツ強化策を施したりして生徒募集を強化することになる。

     具体的には、国の標準時数を大幅に上回るカリキュラムを週6日間に組み込んだり、中高一貫教育の学習内容を5年間で終わらせ、6年目には生徒個々の受験校に特化した対策に力を入れたりしている学校が多い。施設環境も充実している。

     また、コロナ禍では、公立に比べていち早くオンライン授業に対応した学校も多い。公立と違って習熟度別のクラスやコースを多様に設けて個に応じた教育(言い換えれば効率的な教育)の充実も特徴である。

     こうしたことを見れば、私立の魅力は分かりやすい。まだまだ学歴社会が残る日本においては多少お金がかかってでも私立志向が高まることは当然であろう。

     現在は中高一貫教育が主流である。中学校は義務教育だから私立でも無償化の対象にはならないにもかかわらず首都圏の私立中学受験熱はすさまじい。主立った私立中学の受験日には小学6年生のクラスは欠席が多くて授業も自習になると聞く。

     このような私立学校の在り方について、「学校」の目的や公共性から見た場合、適切と言えるかどうかは評価の分かれるところであろう。また、独自の特色ある教育を打ち出せるのが私立の強みのはずが、結局はどこも大学受験特化型やスポーツ強化など同じような路線になってしまっている。だが、税金で賄う公立と違って他校と激しい競争を勝ち抜き自立自走しなければならない私立学校の立場で言えば、生徒募集は死活問題であるから生徒保護者のニーズがそれを求めている以上やむを得ないと言えるだろう。

    続く

  • No.3 口は災いの元

    25/03/13 11:46:34

    ■公立の強みとは

     これに対し、定員割れすると言われる公立学校は私立に比べてそんなに魅力が無いのだろうか。

     確かに公立は様々な法規制によって画一的なカリキュラムや学校運営を強いられるし、いかに効率的とはいえあからさまに生徒をふるいにかけるような学級編成などはできない。また税金で運営する以上、施設の改修だって簡単ではない。

     しかし、教育とは最終的には人と人との営みである。教師の力量や在り方が非常に重要であることは間違いない。教員の資質向上は至上命題である。世間には全く知られていないが、その点では公立学校における教員の研修は手厚く、そのお金のかけ方は私立の比ではない。

     まず、教育公務員特例法により教員は研修と修養に務めることが義務づけられている。例えば新規採用教員1人ひとりに指導教員が丸1年間に渡って配置され、授業に張り付いて指導にあたっている。

     文部科学省の指針によれば年間300時間以上の校内研修、教育センターなどにおける年間25日間以上の校外研修を行うことになっている。その費用は莫大であり、公立だからこそできることと言える。

     さらに法定研修として中堅教員研修もあるし、何より最大の研修と言われる数年ごとの人事異動システムがあるため、様々な学校で切磋琢磨することにより力量を上げることができる。

     一方、私立は主に徴収した自主財源で運営せねばならず、お金のかかる教員研修には消極的である。授業料を徴収している手前、全職員が参加する授業研修等もやりにくい。

     独自に研修制度を敷いている学校もあるが、一般的には地域の私学協会などが単発で行う研修に持ち回りで参加するのが精一杯であることは否めない。人事異動もない。

     したがって自校で人材育成に手間暇かけるよりも優秀な引き抜き合戦に頼ることになる。人材育成という意味では公立に大きな分があると言えよう。

    続く

  • No.4 口は災いの元

    25/03/13 11:47:25

    ■高校無償化で私立は本来の特色を取り戻せるか

     こうして見ると公立学校と私立学校にはそれぞれ特色や長所短所があるが、筆者は日本の画一的な学校教育における私立学校の役割は大きいと考える。今回の高校無償化政策によりたしかに公立離れが進むかもしれない。だが多くの生徒が公立と私立のどちらも受験しやすくなることで私立学校経営に安定をもたらす可能性に期待したい。

     過度な生徒獲得競争を緩和し、私立学校が本来の独自性・創造性を取り戻し、日本の学校教育に新たな息吹を吹き込んでくれることを願う。ひいてはそれが閉塞的な公教育を活況させることにも繋がるはずだ。

    https://wedge.ismedia.jp/articles/-/36916

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