- 乳児・幼児
- きりん
- 18/10/15 12:33:26
その母乳情報、大丈夫ですか? ママサイトにはご用心
ママの食事で母乳はそう簡単に変わりません。
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森戸やすみ / 小児科医
ママたちが知りたい情報を集めるサイトを「ママサイト」と呼びます。可愛らしいイラストや写真を使い、妊娠・出産・育児に関わることを多く載せているものの、信憑性がないものが多いのが難点です。
私が以前にママサイトは見てはいけないというツイートをしたのは、かなり本気です。
しばしばママサイトは、「セレブの誰々さんが使った〜」というPR記事のようなものを載せます。
それが、ファッションや子連れでお出かけする場所などの紹介ならいいかもしれません。でも、健康や医療に関するものは、セレブが実践しているからと言って正しくていいものだという保証にはなりませんね。
ほとんどのママサイトがスピリチュアルな言葉で飾り、自然派を謳う治療法や商品を勧め、手作りを奨励しますが、そういったキラキラした表現はイメージや雰囲気にすぎず、必ずしも健康に役立つものではありません。
特にママサイトが熱心に取り上げるのは、「母乳」のデマ情報。あまりにひどいものがあったので、今日はツッコミを入れてみようと思います。
■「母乳の質」と見たら、怪しいと疑おう
たくさんあるママサイトで、「母乳」についてサイト内検索をしてみましょう。「母乳の質」という言葉が出てきたら、医学的に正しいことが載っていることはまずないので、それ以降は読む必要がありません。
まずは「mamaPRESS」の「ママは何を食べればいいの? 『おいしい母乳』のつくり方」という記事を見てみましょう。
いきなり、「母乳の質によって乳腺が詰まりやすくなり、でにくい原因になっている」と書かれています。
しかし、乳腺が詰まるのは母乳の質によるものではありません。
母親が食べたものではなく、授乳回数が少ない、授乳時間が短か過ぎる、赤ちゃんがうまく飲めない、乳汁が多く出過ぎるなどにより、作られる母乳量と飲まれる量がアンバランスになり、母乳が乳房に溜まりすぎることが原因です。
そのため、改善するには頻度を増やして授乳する、姿勢を良くする、赤ちゃんのくわえ方を改善するなどの対応をします。
そもそも「母乳の質」という言葉は医学用語ではありません。数あるママサイトはぜひ、母乳の成分分析をして検討してから書いてほしいですが、そこまでしているサイトは一つもなく、このmamaPRESSのように「ママが食べたものが母乳の味にも直結」「おいしい母乳を作るのはずばり和食!」「◯◯を食べるのは危険!」(サイトによって危険な食べ物が微妙に違う)と断言します。
でもそれは、言い過ぎと煽り過ぎ。母親が食べたものは消化されて小さくなり、糖とアミノ酸は消化管から血管を通って肝臓で取り入れられるように分解され、肝静脈を通って心臓に流れます。脂肪は再合成されてリンパ管から胸管を通って静脈に入って心臓へ、そして全身を巡ります。
NEXT >>1 ■栄養を運ぶ管と母乳を作る場所はつながっていない
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