• No.81 長いけど。

    11/11/03 13:27:13

    フォーサイト POLITICS(時事ドットコム)
    野田政権「安全運転の終わり」と「危機の始まり」

    TPP(環太平洋経済連携協定)加盟交渉への参加をめぐる議論が白熱してきた。
    参加によって日本に一定のメリットがあると判断して、野田佳彦首相は参加に前向きな姿勢を示している。

    ただ、別の側面からみると、野田首相は政権運営上の難しい課題を抱え込んでしまったとも言える。

    日本にとってTPP交渉参加がいいのか悪いのかという政策的判断とは別に、党内外に反対勢力が存在する課題について、これらの勢力の抵抗を押し切って推進するという政治判断を下さなくてはならなくなったからだ。

     「どっちつかずの決着というものは、あり得ません」

     10月中旬、野田首相は親しい知人と懇談した際、TPP参加についてこう語った。
    発言の趣旨は、TPPには参加するかしないかのどちらかであり、中間的な結論はないというものだ。

    当たり前である。だが、その発言の微妙なニュアンスは、野田首相があきらかに参加へと舵を切ったことを物語っていた。

    実際、その数日後の17日、野田首相は内閣記者会のインタビューに応じて、「高いレベルの経済連携は日本にプラス」と述べ、TPP参加の意思を明確にした。

     TPPに参加するかしないかは、野田首相がいずれ決断しなければならない事項であったのだから、11月12日からハワイで始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議前に決断するという方針はそれほど意外なことのようには見えない。

    だが、内閣発足以来の野田首相の政治姿勢をみると、これは野田政治の大きな転換点であることが分かる。

    なぜなら、これまでの野田首相の処世術は「何も決断しない」を基本としていたからだ。

    続く

  • No.82 続き

    11/11/03 13:29:09

    >>81
    ◇TPPをめぐる路線対立

    野田首相はこれまで一貫して政権運営において「安全運転」を続けてきた。

    党内では融和に努め、外向けには波紋を広げるような重大な政策決定は避けてきた。

    だが、国家を預かる首相の立場にある以上、いつまでも政治決断を先送りし続けるわけにはいかない。

    野田首相が「君子危うきに近寄らず」の姿勢をとったとしても、「危うい」課題の方が首相に近づいてくる。
    その最初の試練がTPP問題だった。

     自民党などの野党内にTPP慎重論が広がったほか、農業関係団体や医療関係団体からも反発の声が上がった。

    だが、もっと深刻なのは、民主党内でも重大な路線対立が生まれたことである。

    民主党内のTPP参加反対派の中心人物である山田正彦前農林水産相は10月23日、記者団から「首相はTPP交渉参加を強行する勢いだが」と尋ねられて、語気を強めてこう言った。

    「何としても阻止する。阻止しなければならない」

     また、民主党と連立を組む国民新党の亀井静香代表も10月5日の記者会見で、「参加しようと言っても、できない。見ていなさい、絶対にできないから。不可能なことができるとは思わない」と大見得を切った。

    続く

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  • No.84 続き

    11/11/03 13:35:03

    >>82
    ◇「交渉できる人間がいるのか」

    TPP参加への障害は、これらの勢力の猛反発だけではない。

     10月20日、国会議事堂裏の衆院議員会館にある小沢一郎元民主党代表の部屋を同党の三井辨雄政調会長代理らが訪ねた。

    三井氏は現在、樽床伸二民主党幹事長代行が率いる政策グループ「青山会」の代表世話人を務め、小沢氏とも近い関係にある。

    一方、小沢氏は8月の民主党代表選で海江田万里元経済産業相を支援したが敗れた。

    そんな経緯から、野田首相の動きを静観しているものの、TPP交渉の行方には不安を抱いていた。

    小沢氏は党の政策決定の中枢にいる三井氏に対して、こう忠告した。

     「きちんと米国と交渉できる人間がいるのか。いないのではないか。相手があることなんだから、そこが問題なんだよ」

     TPP交渉に参加することが日本にとって得なのか損なのかという点ばかりが注目されているが、小沢氏はその一歩先の問題を懸念していた。

    つまり、仮に交渉に参加したとしても、他国と対等に渡り合えるのかという問題である。

     小沢氏は竹下政権で内閣官房副長官を務め、盟友である羽田孜元首相らとともに、牛肉・オレンジに代表される日米農産物交渉や建設・通信分野の対米交渉に取り組んだ。

    それだけに米国とのハードな駆け引きの実態、そして、利害が相反する国内各勢力のとりまとめがいかに困難であるかを身をもって知っている。

     TPP参加は、交渉しだいで日本に大きな国益をもたらす。

    だからこそ、野田首相も参加に積極的なのだろう。

    だが、逆に交渉をしくじれば、日本の産業界だけでなく社会全体にマイナスの影響を与える。

    つまり、TPP参加交渉の場で、野田政権は日本に不利な条件をできるかぎり排除し、あるいは不利な項目と取引する形で有利な項目を獲得し、日本が総合的に損をしない状況を作り出さなければならない。

     だが、権謀術数が渦巻く国際交渉の中で、そうした巧みな駆け引きができる人材が今の野田政権にいるのか――。

    これが、小沢氏の問題意識なのだ。

     また、民主党の前原誠司政調会長は「交渉に参加して、そして、それが自らの国益に全然そぐわないものだったら、撤退はあり得る」と言うが、日米同盟関係への悪影響を考慮したときに、それほど簡単なことなのかどうか。

    続く

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