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- 下久保ダム
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- 18/06/08 11:45:12
◇強制性交等未遂罪 起訴状で把握
福岡地裁で7日にあった、強制性交等未遂罪に問われた男(45)の公判で、男が繰り返し被害女性の氏名を叫んで侮辱し、退廷させられた。性犯罪などでは被害者名を被告に伏せる運用も可能だが、被告の反論する権利との兼ね合いから実際は限られ、今回のケースは男に女性の氏名が記された起訴状が送達されていた。男の発言を知った女性は不安を抱いているといい、被害者保護の難しさが浮き彫りになった。
起訴状によると、男は今年1月、福岡市内で、女性にハサミを突きつけて「騒いだら殺すぞ」と脅し、性的暴行をしようとしたとされる。女性が通行人に助けを求めたため未遂に終わった。
地裁は秘匿決定に基づき、女性が特定される情報を法廷で明かさないよう男に求めていたが、男は5月16日にあった公判で、持ち込んだメモを手に女性の氏名と年齢を大声で口にし、性的な表現を使って侮辱する発言を繰り返した。さらに、6月7日の論告公判でも中田幹人裁判長の制止を無視して同様の発言を繰り返したため、退廷させられた。
刑事手続きにおける被害者保護を巡っては、2012年に神奈川県逗子市であったストーカー殺人事件で、警察官が被害者の結婚後の姓や住所を読み上げ、加害者となった男に住所が知られたことが問題となった。これを受け、警察や検察当局は一部で逮捕状や起訴状に被害者氏名を記載しない運用を始めた。
一方、刑事訴訟法は起訴状でできる限り起訴内容を特定するよう定めている。被告の反論する権利(防御権)を保障する観点から被害者氏名の記載が不可欠との意見は根強く、ある検察幹部は「再被害の具体的な危険性について証明を求める裁判所の姿勢もあり、実際は匿名にできることはほとんどない」と話す。【平川昌範】
◇被告の権利と被害者保護折り合い困難
犯罪被害者支援に携わる郷田真樹弁護士(福岡県弁護士会)の話 被害者にとって氏名を被告に知られる恐怖は計り知れないが、被告にとっては、被害者が特定できなければ例えば「本当にその日その場所にいたのか」など反証のしようがない。現在の刑事手続きでは被告の権利と被害者保護との間で折り合いを付けるのは困難で、どのような改善が可能か議論されるべきだ。
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