妄想族会議開催中。 へのコメント(No.193

  • No.193 豚キム部長

    KDDI-SN34

    06/10/31 09:29:01

    私は横になると、そのまま眠ってしまった…。初めて恋をしたあの頃の夢を見ながら。

    「気分はどうだ?俺、仕事行くけど平気か?」
    「えぇ、もう大丈夫…。出張よね?気を付けてね。」
    朝食を済ませて、悟を見送った。
    私は昨日のことを考えながらも、一通り家事を終えた頃、健太郎さんのスーツに気付いた。
    (ヤダ…早くクリーニングに出さなきゃ。)
    そう思った時だった。
    ―ピンポン―玄関のチャイムが鳴り、そこには健太郎さんの姿があった。
    「急に来てゴメンね。気分はもう大丈夫?」
    「はぃ、ご心配お掛しました。もう大丈夫ですから。」
    そう言って笑ってみせた。
    「そっか、なら良かった。」
    健太郎さんも笑う。
    「これ、昨日悟に借りた着替え。あと遥ちゃんへのお土産にプリン。」
    「えっ?わざわざスミマセン。あの、良かったら上がってって。」
    私は健太郎さんの気遣いが嬉しくて…、もう少し話がしたくて、部屋に上がってもらった。
    「このプリンすっごく美味しいです。」
    笑顔で話す。
    「そう、良かった。遥ちゃんが喜んでくれて。…昨日は泣いてたみたいだったから。悟と喧嘩でもした?」
    「ヤダ…お見苦しいとこ見せちゃって。ゴメンなさい。」
    「あっ、いや。俺こそ立ち入ったこと聞いてゴメン。チョット心配になったからさ…。」
    沈黙が続いた。
    「あのっ!変なこと聞いちゃうけど…。」
    「何?」
    突然だったが私は勇気を出して切り出した。
    「義兄さんて、あの…。妄想先輩ですよね?」
    「えっ?ハハハ、急に真面目な顔して何言われるかと思ったら。懐かしいな、その呼び名。」
    健太郎さんは笑って言った。
    「そうだよ。妄想ってのは前の名字だけどね。」
    そう。だから、気付かなかった。悟の名字、今の私の姓は“妄想”ではなく“想田”だ。
    「中学ん時、お袋が再婚して、今の親父の名字に変わったから。それが理由で転校することになっちゃって。」
    妄想先輩、いや、健太郎さんは義母さんの再婚相手の住む仙台に越したのだと初めて知った。悟からはそんな話聞いたことかなったし。まさか悟が同じ中学だったなんてことも知らなかった。
    「よく俺のこと覚えてたね。」
    ドキッとした。
    「あっ、あのバスケ部に友達がいたからッ。」
    苦し紛れの言い訳。
    「そっか。」

    それから私達は他愛もない会話をした。義兄さんなのに…。忘れるくらい初恋の相手との会話が楽しかった。

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