飛石
小学生に蹴られた男性教員が反射的に蹴り返したら減給…子どもは何でも許され「教員は我慢しろ」でいいのか
「児童の親に謝罪させ、教員は慰謝料を請求するべき」との声も
2025/10/03 10:00
PRESIDENT Online
◆教員が児童の左すねを蹴って、謝罪&減給のウラ
今年5月、北海道北広島市の小学校で68歳の男性教員が児童にいたずらで教室の扉を閉められ、注意したところ蹴られ、とっさにつま先で児童の左すねを蹴り返してしまった(児童にケガはなし)。このことで北海道教育委員会は教員を減給処分(減給1カ月、給料の10分の1の懲戒処分)にした、と報じられました。
児童は悪ふざけのつもりだったのかもしれません。かつて「先生」という呼称には尊敬心や、畏怖の念が込められることもありましたが、今はそれも形骸化しつつあり、教員の存在はカジュアル化しています。この児童は、友達と休み時間にじゃれあう感覚で、教員に応対したのでしょう。
この教員が、「暴力」を「暴力」で返してしまったことは明らかに失点であり、弁解の余地はありません。ただ、教員生活20数年の筆者として、この件で気になるのは教育委員会の対応です。「処分」で安易に幕を引こうとしているように見えるのです。
今回のニュースを巡って、ネットではさまざまな意見があがり、多くの人々が「処分」に違和感を抱いているようでした。
「むしろ(児童の)親に謝罪させ、教員は慰謝料を請求するべき」
「最初に暴力をふるった子が何の責任も取らないのはおかしい」
特に支持を集めたコメントは、「(当該児童の)保護者が教員に謝罪する姿を見せることが子どもの成長につながる」という趣旨の意見でした。子どもは「やってはいけないことをすれば、親に迷惑をかける」ことを学ぶはずだ、と。
しかし実際は、処分は教員にだけ下され、子どもは結果的に「挑発しても、自分は守られる」という誤った学習をしてしまった可能性が高い。
続く
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No.4 主 飛石
25/10/05 04:41:31
◆教師を守らない社会に未来はない
今回処分を受けたのは、再任用された68歳のベテランです。「退職後も学校を支えたい」という志を持った人材をも、処分文化は追い出してしまいます。
若手も同じです。「守られない職業」であると知れば、教職を目指す人は減り、残った教師も指導の熱意は下がるばかり。結果として教育の質が低下し、子どもたち自身が損をするのです。
松尾英明『不親切教師はかく語りき』(さくら社)松尾英明『不親切教師はかく語りき』(さくら社)
弊著『不親切教師はかく語りき』(さくら社)の「不親切教師」とは、勉強や生活指導に関して手取り足取り懇切丁寧に寄り添うスタイルではなく、あえて児童に余計な手を貸さず・出さず、一定の距離間を保って最終的な責任は自分自身で引き受けるんだよ、という意識を持たせる、筆者が命名した指導法です。それにより、子どもは成長すると信じています。
処分文化を今後も続けるのか、きっぱりやめるのか。今、日本の教育現場はターニングポイントに立っています。教育委員会は、末端処分で「やったふり」をするのではなく、保護者や児童にも自覚を促し、自らも責任を負う覚悟を示す。それこそが、日本の教育現場の質を担保・向上することにつながるのです。
https://president.jp/articles/-/103152
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