手を伸ばせば、届くところにある
『結婚している人の割合』と明確な相関を示す説明変数は“所得”でも“正規雇用比率”でもなく「有配偶者の核家族比率」「人口の男女比」のみだった
2025.08.16 07:00
加速する少子化への対処として、婚姻数や有配偶率を維持していくことが、極めて重要であると考えられるものの、昨今、大都市に比べて、地方においてそれらの低下が顕著である。(略)
2000年以降の20年間で、東京都の婚姻件数の減少率は▲15%程度にとどまる一方で、地方では半減となった地域も少なくない。
そこで若い世代の結婚行動を左右する要因について都道府県のパネルデータを用いて計量的な分析を行い、婚姻率低下の原因究明とともに今後の対策について検討を行った。(略)
◆婚姻減少の要因分析
(略)
A.有配偶者の核家族比率
(略)
B.転入超過率
(略)
C.単身世帯の実質可処分所得
(略)
D.正規雇用比率
(略)
E.完全失業率
(略)
F.実質民間家賃
(略)
G.趣味・娯楽の時間
(略)
H.人口の男女比
(略)
(2)分析結果
重回帰分析の結果をみると、性別、年齢を問わず有配偶率に高い相関を示したのは核家族比率のみで、次いで男性の有配偶率にのみ高い相関を示したのは、人口の男女比である。
[図表11]
経済的な要因として取り上げた実質可処分所得や正規雇用比率、完全失業率、実質民間家賃については、男女の有配偶率との相関は認められず、少なくとも2000〜2020年までは有配偶率低下の主因とは考えづらい結果となった。
>>1に続く
古トピの為、これ以上コメントできません
1件~3件 ( 全3件)
*コメント欄のパトロールでYahoo!ニュースのAIを使用しています
ママスタコミュニティはみんなで利用する共有の掲示板型コミュニティです。みんなが気持ちよく利用できる場にするためにご利用前には利用ルール・禁止事項をご確認いただき、投稿時には以下内容をもう一度ご確認ください。
上記すべてをご確認いただいた上で投稿してください。
No.3 主 手を伸ばせば、届くところにある
25/08/16 16:15:41
[図表14]
ところが、近年人口移動における男女割合に変化がみられ、女性の大都市への流入が顕著となっている。
その結果、2000年と2020年の男女比を比較すると、東京圏と京都府、大阪府の6都府県のみで小さくなった。
これらの都府県では、近年女性の転入超過数が男性を上回って推移しており、「人口の男女比」の低下が、男性の有配偶率の下支えに寄与したと考えられる。
出生時の男女比が1.05程度であり、女性よりも男性の方が多い状況のなかで、女性の流入が多い地域では、男性がパートナーとなる女性を見つけやすくなり、有配偶率の押し上げ効果が生じているものと考えられる。
逆に、それ以外の地域では、年々「人口の男女比」が大きくなる傾向がみられる。
こうした地域では、相対的に女性に対して男性が多くなっているため、男性がパートナーを見つけづらい状況が生じているものと推察される。
2020年に男女比が1.10を上回ったのは、東北地域では福島県、北関東の茨城県、栃木県、群馬県、その他では富山県、山梨県、静岡県、愛知県、三重県の9県であり、とりわけ製造業の盛んな地域で数値が大きくなる傾向が認められる。
また、上記9県以外の地方の道県でも、近年人口の男女比は大きくなる傾向が認められ、地方では、全般的に男女比の上昇が有配偶率の押し下げに影響していることがうかがわれる。
一方、女性有配偶率については、「人口の男女比」との相関は認められなかった。
もともと西日本を中心に女性の方が多い(男女比が1を下回る)地域が多かったが、2020年には、女性の方が多いのは、大分県を除く九州6県、沖縄県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県にとどまった。
女性にとって、「人口の男女比」が結婚の制約条件になる状況は薄らいできていると言えよう。
女性の有配偶率は、「人口の男女比」よりも、「核家族比率」との相関が男性よりも強い結果となっており、子世代の結婚に対する親世代のかかわり度合いなどに、より強く影響を受けているとみられる。
続く
返信
No.2 主 手を伸ばせば、届くところにある
25/08/16 16:13:52
B.人口の男女比
説明変数「人口の男女比」は、男性の有配偶率に有意に相関しているという結果が得られた。
25〜34歳の男女比が大きい、すなわち若い世代の男性が女性よりも多いほど、男性の有配偶率が低下する傾向が認められる。
2000年と2020年の変化をより細かくみるため、固定効果変換を行ったうえで、都道府県ごとの「人口の男女比」と「男_30歳有配偶率」の散布図を作成すると、おおむね右肩下がりの分布がみられる。
そのなかで、各都道府県の動きを追うと、この20年間で「人口の男女比」が大きく伸びた(男性の割合が高まった)徳島県や大分県、秋田県などで、「男_30歳有配偶率」が大きく低下したことが分かる。
一方、東京圏を中心に、女性の流入などにより「人口の男女比」が小さくなった都県もある。そうした地域では、他の要因の影響もあるため、「男_30歳有配偶率」はプラスとはなっていないものの、低下幅は小さく抑えられている。
近年、地方から女性が流出し、大都市に流入する傾向にあるが、こうした人口移動の結果による男女比の変化が、男性有配偶率に影響を与えていることが示唆された。
もともと出生時の男女比(男/女)は、1.05程度であることが知られているが、その後の死亡や移動によって、地域差が生じる。
2000年時点で男女比が全国平均(1.03)を上回っていたのは福島県以南、滋賀県以東の東日本に集中していた。
東日本エリア内での例外は、石川県、福井県、岐阜県、三重県のみであった。これは、人口移動が地域の産業構造や経済活力の影響を受けるためであり、当時は東京圏や製造業が盛んな地域への男性の流入が多く、受け入れ地域で男性の割合が高まった。
[図表13]
続く
返信
No.1 主 手を伸ばせば、届くところにある
25/08/16 16:11:28
A.核家族比率
性別、年齢にかかわりなく、有配偶者の核家族比率は、有配偶率と負の相関を示した。
すなわち、結婚した子世代が親世代と同居する傾向の強い地域では、有配偶率が高くなることを意味する。逆に、有配偶者が核家族として親世帯から独立する傾向の高い地域では、有配偶率は低くなりがちと言える。
これは、お見合いを進めたり、結婚を促したりするなど、子の結婚に親世代がかかわった方が、有配偶率が高くなることを表している。
同時に、親との同居により、住宅取得に対する懸念が小さくなることも、結婚を後押しする一因となっている可能性もある。
そこで、2000〜2020年における、各都道府県の男性有配偶者(35〜39歳)の核家族比率の推移を見てみよう。
男性有配偶者の核家族比率は、首都圏をはじめ、大阪府、鹿児島県、沖縄県では2000年時点ですでに90%前後と高い状況にあり、その後ほとんど変化がみられない。
一方、2000年の時点で核家族比率が低かった東北、北陸、山陰、九州のなかでは佐賀県などで、その後急速に核家族比率が高まっている。
2000年に158あった35歳男性の核家族比率のばらつき(分散)は、2020年には54まで小さくなっており、多くの県で核家族化、すなわち非伝統的な家族形態が急速に広がったことになる。
伝統的な家族形態からの変化が、子の結婚に対する親のかかわりを弱め、地方部を中心に急速な有配偶率の低下を招いていると推測される。
[図表12]
ただし、現状多世代同居への回帰や子の結婚に対する親のかかわりを強めることを政策的に誘導することは現実的ではない。
他の要因に対するアプローチを積極的に検討するべきといえよう。
続く
返信