クーナ
なぜ韓国で日本の小説はよく読まれるのか――日韓の出版事情を比較する
https://www.wochikochi.jp/special/2011/05/tateno.php
◆韓国では日本の小説がベストセラーの常連になっている
ソウル光化門の大型書店・教保文庫。広々とした店内はいつも大勢の客で賑わっている。(略)
店内にいつも人だかりができるコーナーがある。「文学書の新刊コーナー」で、入口を入ってすぐの目立つ場所に陣取っている。教保文庫は韓国を代表する大型書店。文学書の売り場もたっぷり確保しているのだ。
その周囲を見てまわると、韓国の小説、エッセー、各種全集、翻訳小説などが賑々しく並び、売れ筋の本は目立つ場所に置かれている。ベストセラー入りしている日本作家、たとえば村上春樹、東野圭吾、江國香織などの作品は、いつも定位置を与えられた常連といったところ。
翻訳文学を集めた専用のコーナーもあるが、「日本文学」(韓国語に翻訳された日本の小説)だけは特別扱いである。大きな平台と書棚が用意されており、そこに翻訳書がずらりと並んでいるさまは壮観である。集められた種類だけでも(こちらは翻訳であるが)、日本の大型書店に見劣りしないだろう。そしていつも若い女性たちが群がっている。
日本文学コーナーは品揃えが豊富で多彩だ。『源氏物語』『万葉集』にはじまり、芭蕉、漱石、鴎外、宮沢賢治、川端康成、谷崎潤一郎と大家クラス、井上靖、三浦綾子、大江健三郎などの著名作家、そして日本でも売れ筋の村上春樹、東野圭吾、江國香織、奥田英朗、吉本ばなな、浅田次郎、宮部みゆき、渡辺淳一......と、有名作家の代表作や最新作が何点も並んでおり、初めて名前を聞く若い女性作家の作品まで、漏れなく顔を揃えている。(略)
このように「日本文学」がまとまって陳列されているのは、これら作家の作品が韓国人読者に広く受け入れられていること、言い換えれば、売れ行きがよいことを示すものだろう。ほかの大型書店、永豊文庫、バンディ&ルニス、ブックス・リブロなどでも、同じように「日本文学コーナー」が設置されているから、教保文庫だけが特別扱いをしているわけではない。(略)
◆日本文学の翻訳書出版は年間800点台にも上る
日本書、とりわけ日本の小説のめざましい進出ぶりは「出版統計」を見ても確認できる。韓国では2010年(1~12月)に、約4万点の新刊書が刊行された。このうち「文学」は8192点(全体の20.3%)だった。つまり新刊書の5冊に1冊は文学書である。さらに翻訳された文学書は2323点で、文学書全体の28.3%を占めていた。日本の場合は8%にも満たないというから、韓国では翻訳書の比重が高いのが特徴なのだ。
Next >>1 ◆日本における「韓国文学」の翻訳出版は年間わずか21点
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No.1 主 クーナ
23/02/03 13:20:51
興味深いのは、韓国における翻訳文学書の国別順位である。日本は832点(35.8%)で断然トップを占め、アメリカ(21.4%)、イギリス(12.5%)、フランスなどを大きく引き離している。文学書全体に対する比率をみても、日本書は10.2%と際立っている。これは文学の新刊書が10冊あったとすれば、そのうちの1冊は日本文学の翻訳書であることを意味する。
日本文学の翻訳書は2010年には832点だったが、ピークの2009年には886点に達した。2001~2010年を合計すると、なんと5680点である。もっとも「日本文学」といっても、小説の占める割合は09年が78.2%だったから、すべてが小説というわけではない。それにしても日本文学のこの人気は驚異的というしかない。(略)
◆日本における「韓国文学」の翻訳出版は年間わずか21点
ここまで韓国における日本書の翻訳出版状況について述べてきた。次は日本における韓国書の翻訳出版状況である。ただし、ここでも「文学書」に限定して話を進めることにしたい。年間800点台という韓国での日本文学の翻訳出版に比べると、日本での韓国文学の翻訳出版点数は比較にならないほど少ない。2001年からの10年間の実績は次のとおり。10年間の合計は212点、1年平均では21.2点となる。
試みに08~10年の3年分を比較すると、韓国では2555点だったのに対し、日本では58点に過ぎなかった。付け加えれば日本の人口は韓国の2.6倍である。だから同じ条件にすれば、両国の差はもっと開くだろう。翻訳書の刊行点数を比べると、日本は韓国の2.2%(50分の1)にとどまっているのだ。
日本で翻訳出版される韓国文学は年平均21点だから、日本の読者は韓国の文学作品名や作者の名前を知らないのも当然といえよう。(略)
なぜ日本では「韓国文学」は出版される機会に恵まれないのか。出版関係者に尋ねると「売れないから」と一律の答えが返ってくる。他方、韓国では「日本文学」は「売れるから」競って刊行するのだという。出版も経済行為だから「売れるかどうか」という判断基準によって翻訳刊行が決定しているのだ。
(以下略)
【写真】一見日本の書店のように見えるが、教保文庫店内の日本書籍コーナー。日本語で「担当者おすすめ」の表示も。
https://www.wochikochi.jp/special/2011/05/tateno.php
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