- なんでも
- ソトモモ
- 21/07/30 14:27:38
「何でなん?」「冬生を返して」――。中間市内の自宅では遺族の悲痛な叫びが聞かれた。母親によると冬生ちゃんは29日朝、自宅近くに迎えに来た園長運転のバスで登園。背筋を伸ばして大きな声で「おはようございます。よろしくお願いします」とあいさつして乗り込んだ。しかし夕方、バスの乗降場所に迎えに行った母親は園職員に伝えられた。「冬生君は来ていませんよ」
冬生ちゃんが園のバス内で意識不明で見つかったと聞き、搬送先の病院に駆けつけた。変わり果てた姿の冬生ちゃんを抱き上げ、泣き叫んだ。「とても苦しそうな表情で『お母さん助けて』と叫んでいるようだった。気付いてあげられなくてごめんね」
冬生ちゃんは園での様子を楽しそうに話してくれていた。「きょうはスイカ取りに行ったよ」「ひらがな書けたよ」――。友達とも楽しく過ごしているようだった。しかし、度々「園長先生に嫌われないようにちゃんとしなきゃ」と口にするのは気になっていた。「本当は預けたくなかったが仕事があって仕方なかった。預けてしまった私のせいだ」。母親は涙ながらに自責の言葉を繰り返した。
駆けつけた祖母(59)は憤りをあらわにした。「冬生はお母さんが落ち込んでいる時も歌ったり笑わせたりしてくれる優しい子。かわいい盛りだったのに何もしてあげられんかった。園を許せない」。冬生ちゃんは気を使う優しい子で「いるだけでとても幸せな気持ちになれた」という。兄(11)とゲームやサッカーをするのが好きで、お遊戯を覚えると家で披露した。何かあるとすぐ「お母さん、お母さん」と駆け寄った。
自宅には兄もいた。母親が声を絞り出した。「冬生、死んじゃったんよ」。兄は涙を流しながら黙って母に寄り添った。母親の叫びは止まらなかった。「何でこんなことになるのか、不思議で仕方ない。冬生がいなくなるなんて考えられない。立ち直れない。保育園に行かせてあげなければよかった。私のせいだ」
一方、園では30日朝、バス送迎が行われず、保護者らがそれぞれ園児を送り届けた。取材に応じた保護者は「園からは『ご迷惑かけて申し訳ない』という趣旨の話があったが、それ以上詳しい説明などはない」と釈然としない様子だった。他の保護者は「以前から園児の扱いが雑な感じがしていた」と語気を強めた。【宮城裕也、奥田伸一、成松秋穂】
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