島津豊久
コロナ病床「1波」より減少
危機感薄く、甘い前提
2021/1/6付
日本経済新聞 朝刊
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、国内で確保を見込む病床数は昨春の第1波より少ない水準にとどまっている。日本は欧米に比べればはるかに感染者が少なく、国全体の病床数も多いのに、一部の医療現場の逼迫を防げていない。甘い見通しのまま第3波の襲来を"座視"してきた結果ともいえ、医療資源の集約といった対策が急務だ。(1面参照)
「病床が空いてもすぐに新しい患者で埋まる。綱渡り状態だ」。東京都内の大学病院の担当者は話す。年末年始も受け入れ要請が相次ぎ、当初準備していた病床の2倍に当たる6人を受け入れる。東京医科歯科大病院(東京・文京)にも連日のように受け入れ要請が寄せられ、重症者向け8床は常にほぼ満床、中等症向け25床も6~7割が埋まった。
厚生労働省によると、ピーク時に各自治体が確保を見込む病床数に対し、12月下旬時点で約4割が埋まっている。全体では空きがあっても、東京をはじめ感染拡大地域は使用率が5割を超えており、さらに個別の医療機関では満床のところが少なくない。
今冬の感染増の可能性は多くの専門家が早くから指摘していた。それなのに医療現場の逼迫がいわれるのは、コロナ対応病床が昨春の第1波から増えず、逆に減っているためだ。
入院者が3400人ほどだった5月中旬には、確保を見込む病床数は全国で3万床以上あった。それが第2波の8月中旬には約2万7000床に減った。第2波は若者中心で重症者も目立たず危機感の薄れた自治体が積極的に上積みを進めなかったとみられる。
その後、第3波で感染者数は急増したが、病床数は12月末時点でも第2波から横ばいのままだ。
現在の病床の想定は専門家が第1波を前提に示した流行シナリオからはじいたもので、その後も大きく見直されておらず、現状より甘い前提が多い。例えば東京都ではピーク時の新規感染者数を477人と想定していたが、昨年12月31日には1337人に達した。感染急増で自治体が慌てて病床を増やそうとしても、医療現場は既に目の前の患者への対応に手いっぱいで、思うように病床確保が進まない。東京都は4千床の確保を医療機関に要請しているが、実際の確保数は3500床にとどまる。
全国の病院の一般病床と感染症病床を合わせると約90万床に上る。そのうち3%ほどしかコロナに充当されていないにもかかわらず、わずかな上積みすらままならない事態になっている。
続き>>1 民間病院は尻込み。コロナ対応は「減収要因」に
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No.1 主 島津豊久
21/01/06 20:28:30
■減収懸念、民間尻込み
病床が増えない背景には、民間病院の動きが鈍いこともある。重篤患者に対応する急性期機能を備えた全国約4200病院のコロナ対応状況を昨年9月末時点で厚労省が集計したところ、公立病院は694病院のうち69%、日赤や済生会といった公的病院は748病院中79%が対応可能とした。これに対し民間病院は2759病院中18%にとどまった。
民間病院が尻込みするのは、経営に大きく影響するためだ。病院経営を支援するグローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)がコロナ受け入れの有無で病院の患者数を比較したところ、受け入れている病院の方が減少幅が大きかった。大きな収入源となる手術などもあおりで延期になるケースが多く、コロナ対応が「減収要因」になっている。
海外では重症病床を確保した病院に1床当たり数百万円単位の支援をしたケースもある。日本でも各自治体などで医療機関への支援策が取られているが、民間の背中を強く押す結果にはつながっていない。政府や自治体が財政面の手当てや公立病院との連携をさらに進める必要がある。
■重・軽症者、分担進まず
コロナを受け入れている病院の中でも、効率的な役割分担や資源配分が依然不十分との指摘は根強い。
GHCが全国約1万6千人の新型コロナ患者の診療データを分析したところ、第2波までの昨年2~9月に退院した約1万2千人(72%)は、酸素吸入が不要な軽症だった。第3波に向かう10~11月でも、GHCがデータを入手した退院者1871人を分析したところ、7割の1310人が軽症で、傾向に大きな変化はなかった。
2~6月のデータを詳しく分析すると、重症者の4分の1が一般病床で治療を受けていた一方、軽症者の半数強が感染症病床や集中治療室(ICU)など重症患者に対応できる病床で治療を受けていたことも判明した。
GHCのアキよしかわ会長は「(第3波で)呼吸管理が必要な中等症以上の患者が増えたとき、軽症患者の受け入れを早期に見直すべきだった。第2波までの教訓を生かせていない。病床のミスマッチをなくす必要がある」と指摘する。
写真/重症患者を受け入れる近畿大病院の医療従事者ら(画像の一部を加工しています)=同病院提供
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO67910820W1A100C2EA2000
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