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- 康応
- 20/05/06 14:28:05
スイスでは5月11日に休校が解除になる予定だ。連邦保健庁は「子供は新型コロナウイルスの主な媒介者ではない」ため安心するよう呼びかけるが、親たちの不安は募る。
政府が休校解除を発表した翌17日、保健庁のダニエル・コッホ氏は会見で、子供たちが媒介者になりえるのか、という点に言及した。
政府の感染症対策の中核にいるコッホ氏は「子供たちはほぼ確実に、このエピデミック(流行)の媒介者ではない」と語った。
コッホ氏は「もちろん、両親などから感染した子供もいる。だが、子供たちは媒介者ではない。(ウイルスによる)影響をそれほど受けていない」とも述べた。
休校解除に反対する親や教師らからは、数千人の署名付きの請願書が複数出ている。だがコッホ氏は今週、保護者に向けて安全だと繰り返した。
子供たちが新型コロナウイルスの媒介者になるのか。それに対するデータが不足しているため、親の不安が消えないのかもしれない。この分野に関する新しい研究について、専門家の意見が分かれているのも一因だろう。
大半の国で、新型コロナウイルスに感染した子供は大人よりはるかに少ない。スイスでは、4月22日時点の陽性反応2万8100人のうち、20歳未満は859人で全体の約3%だ。米国(2%)、中国(2.2%)、イタリア(1.2%)、スペイン(0.8%)も同様だ。
子供は比較的無症状のため、報告件数が実態を反映していないことはあり得る。例えば中国の未成年の感染者2千人を対象に行った研究では、90%以上が無症状か軽症だった。大半の国ではこうした体系的な調査がまだ行われていない。
入院した子供は、大人に比べてやはり少ない。死亡したケースはまれだ。スイスでは、20歳未満の死亡者はいない。なぜ子供の方が重症化しない傾向にあるのか、専門家たちは解決の糸口を今探っている。
感染率は確かに低いかもしれない。だが一部の専門家は、だからといって子供たちがウイルスに感染しにくいということではない、と指摘する。
研究者たちが中国南東部・深センの感染者391人と、その近親者・友人ら約1300人を追跡調査し分析した結果、10歳未満の7%~8%が後に陽性と確認された。大人も同じ数値だった。
子供たちが感染した場合、次に頭に浮かぶのは、子供たちがどの程度、病気を伝染させるかだ。だが子供の症例は比較的少ない。このため信頼できるデータが足りず、専門家の意見も割れているため、確たる結論が出ない。
米国疾病対策予防センター(CDC)が新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の小児例約2500件を調べた他のサイトへところ、多くは軽度・無症状だった。同センターは「症状が比較的軽い患者、無症状の患者は病気の伝染において重要な役割を果たす」と述べた。ただその検体にデータの欠落が含まれていることも指摘した。
欧州疾病予防管理センターは、子供とウイルス伝染力の関係については「依然、不確実な部分がある」として、より慎重な姿勢を取る。
ダニエル・コッホ氏は、感染症専門の国内の小児科医との話し合いに基づいて発言していると強調した。
その1人、医師のクリストフ・ベルガー氏はドイツ語圏の日刊紙NZZに「子供と青年が新型コロナウイルス流行の主要な媒介者ではないことを示す、複数の証拠がある」と語った。
仏アルプスで新型コロナウイルスに感染し、その後死亡した9歳の男児は、感染後170人以上と接触したがウイルスはうつしていなかった。症例を調査した専門家は、ウイルスの伝染において、子供たちは重要な要素ではないと結論付けた。
男児はインフルエンザと風邪にも感染したが、体内のウイルス量は少なく(あるいはウイルス粒子がほとんどない)、症状は軽かった。この感染レベルの低さが、周囲に伝染しなかった理由かもしれない。
主要調査員の1人、フランス保健局の感染症学者コスタス・ダニス氏は「これは多くの子供たちに起こりえる」と指摘する。 「感染することが少ない、あるいは症状が軽いので、病気を周りにうつす可能性は低くなる」
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