永徳
新型コロナ、なぜ希望者全員に検査をしないの? 感染管理の専門家に聞きました
2020/2/26 12:35
新型コロナウイルス(COVID-19) 、不安でたまらないのに医療機関に行っても検査をしてくれないという不満の声があちこちから聞こえてきます。
なぜ医師は検査をしてくれないのか、そもそもその検査に意味はあるのか、感染対策のプロである聖路加国際病院、QIセンター感染管理室マネジャーの坂本史衣さんに一から教えていただきました。
※インタビューは25日から26日午前にかけてメールとスカイプを使って行い、その時点の情報に基づいています。
■目次
・そもそもどんな検査なの?
・検査の精度はどれぐらいなの?
・検査で陽性ならどうなるの?
・検査の意味は変化しているの?
・広まる陰謀論「日本で検査が少ないのは政府が感染者数を少なく見せたいからだ」
・では私たちはどのように行動したらいいのか?
>>1 そもそもどんな検査なの?
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No.6 主 永徳
20/02/27 15:03:42
■では私たちはどのように行動したらいいのか?
ーー検査を受けられないと不安を抱いている人は、ただの風邪なのか新型コロナウイルスなのか自分で見分けられず、悪化する心配があるからでしょうね。自宅で様子をみることに危険はないですか?
ただの風邪なのか、COVID-19なのかは病院で診察を受けても見分けることが困難です。検査をしても確実に診断ができるとは限らず、仮に感染していたとしても治療の方法はありません。
心配かもしれませんが、知っておいていただきたいのは、感染者の80%は軽症で、1週間ほど風邪のような症状が続いて治ってしまうということです。また、お子さんはなぜか感染者も重症者も非常に少ないですし、妊婦さんも今のところ重症化しやすいという報告は出ていません。
重症化する危険があるハイリスクな人は、だいたい50歳より上の方や持病のある方ですが、COVID-19の進行は比較的緩やかですので、風邪症状が出たら慌てずに休養し、症状を注意深く見守ってください。
ーー一般の人はどのような症状がどれぐらい続いた時に、受診や検査を考えたらよろしいですか?
厚労省が受診の目安を公表しています。
[画像]厚生労働省 厚労省が公表している相談・受診の目安
大切なのは体調が悪いな、と思ったらまずは無理せずに休むこと。そして、37.5℃以上の発熱が4日(高齢者や持病のある方は2日)以上続く場合や、息苦しさが出てきたら、まずは帰国者・接触者相談センターに相談してください。それが医療機関をパンクさせないためにも重要です。
ハイリスクの方と同居されている方に風邪症状が見られたら、こまめな手洗いと咳エチケットを行います。
また、ハイリスクの方とはなるべく(目安としては手が届かないくらいの距離まで)離れて過ごします。家は時々窓を開けるなどして換気を行い、ドアノブなどの手でよく触るところを家庭用洗浄剤やアルコールなどで時々拭くと良いでしょう。
ーー全国的な流行はもう阻止できないところまで来ているのでしょうか。
現在国内では一部の地域で感染者の集積(クラスター)が発生している状況で、全国に感染者が広がっているわけではありません。政府は、全国的な流行の拡大を食い止めるには、この1~2週間が踏ん張り時だと言っています。
私たちにできることとして、家に帰ったらすぐに手を洗うこと、咳エチケットをすること、なるべく人込みに行かないこと、具合が悪かったら休むことなどがあります。このようなちょっとした行動の変化がヒトからヒトへの伝播を防ぐことにつながります。まだ希望を捨てる段階ではありません。
https://this.kiji.is/605241957197562977?c=392907644552086625
【坂本史衣(さかもと・ふみえ)】聖路加国際病院QIセンター感染管理室マネジャー
聖路加看護大(現・聖路加国際大)卒、米コロンビア大公衆衛生大学院修了。Certification Board of Infection Control and Epidemiologyによる認定資格(CIC)取得。日本環境感染学会理事、厚生労働省 厚生科学審議会専門委員などを歴任。著書に『感染対策40の鉄則』(医学書院)、『基礎から学ぶ医療関連感染対策』(南江堂)など。https://researchmap.jp/fumienum
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No.1 主 永徳
20/02/27 15:01:13
■そもそもどんな検査なの?
ーー新型コロナウイルスが流行し始めてから、「PCR検査」という言葉をよく耳にするようになりました。どんな検査か教えていただけますか?
患者さんから採取した検体(鼻やのどを綿棒で拭った液)のなかに新型コロナウイルスの遺伝子があることを、遺伝子を増幅させることで確認する検査です。
ーーどこで検査しているのですか?
厚生労働省によれば「これまで、国立感染症研究所や検疫所だけでなく、地方衛生研究所、民間検査会社や大学などの協力を得ながら、令和2年2月18日時点で1日3,000件を上回る検査体制を維持・獲得してきました」となっています。
大学病院など設備が整っているところは病院で検査が可能ですが、全ての病院で検査ができるようになっているわけではありません。民間の検査会社も厚労省からの依頼で検査を受けつけているので、病院から直接依頼はできません。
ーー結果が出るまでどれぐらい時間がかかると言われているのでしょうか?
現在病院でPCR検査を行うことはできないので、医師が検査が必要と判断したら、保健所に書面と電話で依頼し、必要と認められれば保健所が病院に検体を取りに来て、検査センターまで運び、そこから検査が始まることになります。
現在活用されている「リアルタイム RT-PCR」という方法では、検査自体は5~6時間かかります。
検査自体の所要時間は約5時間ですが、検体の受け取りから結果の報告までにそれ以上の時間がかかるため、当日中に結果が出ることは稀です。
結果の判明について厚労省は「結果が判明するまでの期間は状況によりますが、1日から数日かかります。」と言っています。その通りであると思います。
また、一度に多数の検体が検査センターに搬入されると待ち時間がさらに長くなり、結果報告までに2日ほどかかることもあります。そのため、検査をすることになった患者さんの多くは、軽症でも入院を必要とすることになります。
ーー検査は高額と言われていますが、どれぐらいかかるものなのでしょうか?
行政検査として行う場合に患者さんや病院への費用負担は生じません。実際に人件費や材料費を合わせてどの程度の費用がかかっているのかは明らかにされていません。
(続く)
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