• No.2 金木犀

    17/11/09 10:14:02

    >>1からの続き)

    これはまったく我々の常識では考えられないことで、どうもおかしいと思っていたら、この立ち退き要求のシ側の中心人物となっている人は、私には本当のことかどうかはわかりませんが、どうやら日本人でないというウワサです。

    そしてでは、何のために立ち退きを要求しているのかというと、聞くところによれば、要するに記念館に展示されている展示物がほしいのだそうです。建物収去の場合、中にある動産は、建物の一部とみなされて、単に処分の対象にしかなりません。つまり、ゴミとして扱われます。

    ところが記念館というのは、建物に価値があるのではなくて、その展示物に価値があるわけです。そしてその展示物は、国外に持ちだしてオークションにかけると、途方もないお金がつきます。

    先般もあったのですが、ある縄文式土器を展示している記念館が廃館になりました。その記念館に保管されていた縄文式土器は、いつのまにか海外に持ちだされ、ヨーロッパでオークションにかかりました。土器ひとつで、いくらの値がついたと思われますでしょうか。なんと、たったひとつが、1億5千万円です。

    記念館というものは、展示物はほとんどの場合、集合物として管理され、目録などは作成されません。目録をつくり、時価評価したら、課税対象になってしまうからです。ですから、個々の展示物については、どこまでも集合物のうち、として管理されています。これは全国の記念館のほぼ全部がそうしています。

    このような記念館が、いま、日本全国に約5700箇所あります。そしてその多くが、いま、新渡戸記念館同様、廃館問題に直面しています。

    要するに、歴史的な背景(文化)が大事なのか、目先のカネが欲しいのかという、これは価値観の問題といえます。十和田市役所の全部がおかしいとか、悪いとかではないのです。市のごくひとにぎりの、もっというなら、たったひとりの市の権力を壟断する者が、自身の私腹を肥やすために、いきなり記念館の取り壊しを言ってきているわけです。

    もし、市の、この権力者の言うとおりにしていたらどうなるか。新渡戸記念館は取り壊され、そこに所蔵されてる貴重な品の数々はコンテナに詰め込まれて行方不明になります。実際、権力者側は、「展示品をよこせ」というばかりで、ではどうするのかという行方については、一切、何も答えません。しておそらくは、数ヶ月のうちに、ヨーロッパでオークションにかかることになろうかと思われます。

    なにせ記念館の展示物というのは、全国どこでもそうですが、簿価は、タダですが、現実の経済的価値は一品が数百万円から億円単位の値打ちものばかりなのです。

    まして世界的に有名な新渡戸稲造博士の遺品に加えて、570年前の黄金を散らした甲冑など、記念館にあるのは、蒐集家なら、垂涎の品ばかりなのです。
    それで、儲かるのはいったい誰なのでしょうか。誰の懐にお金がはいるのでしょうか。

    (続く)

  • No.3 金木犀

    17/11/09 10:15:58

    >>2からの続き)

    記念館には、取り壊して新たに建て直すという選択と、耐震補強するという選択があります。どちらも費用がかかります。しかし、誰がどう考えても、耐震補強工事の方が安く済みます。しかも新渡戸記念館は、シンプルモダンという建築技術で世界の建築に大きな影響を与えた故・生田勉博士の建築なのです。建物自体が、実は文化的価値が非常に高いものなのです。

    そうであるにも関わらず、なぜ市は一方的に取り壊しだけを主張するのでしょうか。その意図は何でしょうか。市は、裁判になったいまでも、いまだにその具体的な説明ができないでいます。

    要するに、市の「廃館決定」という行為は理屈が成り立たないのです。なぜなら、ただカネにしたいというだけだからです。

    しかも、十和田市は、この「廃館決定」に関して、いまだに、裁判用の内容証明一本があるだけで、廃館に関する市の通達もなければ、廃館決定に至る経緯を書いた紙もありません。普通、ボトムアップで廃館の企画を通そうとするなら、そのための企画書、計画書があるはずです。それさえもないのです。

    ないのに、事実上、廃館が決定されたことを前提に、市の記念館駐車場は建物が勝手に取り壊され、駐車場は閉鎖され、(この駐車場敷地も新渡戸家の所有です)、管理棟にあった物品は、敷地内に投げられています。

    十和田市は文化を失ってしまったのでしょうか。
    十和田市の歴史、稲生川開拓の歴史を捨ててしまったのでしょうか。
    新渡戸記念館は、いま、十和田市を相手に戦っています。
    戦いの方法は裁判です。

    裁判にはお金がかかるし、その裁判係属中、記念館内に所蔵された記念物の保護のため、空調等のメンテナンスにも、お金がかかります。そこで新渡戸記念館では、所蔵文化財の保存・活用による博物館活動に対する募金を行っています。みなさまの少しでもお力添えをいただけたらと思います。

    詳細は↓です。
    http://www.nitobe.jp/assets/pdf/20151101.pdf

    ■新渡戸記念館ホームページ
    http://www.nitobe.jp/
    (このホームページも、市が勝手に市のページを閉鎖したために、記念館側で独自に作成したものです)

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