• No.1 読書感想文

    17/09/04 16:13:09

    「一番の問題は、キャスティングの主導権がテレビ局でなく、大手のプロダクションにあること。芝居が出来るか、出来ないかなんかどうでもいい。このタレントでこういうストーリーで行きたい。いわゆるプロダクションによる『行政』で決まっていく。BSのドラマが顕著なんだけれど、一部の大手プロダクションの息の掛かった俳優ばかりキャスティングされている」

    プロダクション主導でキャスティングが決まっていくことは、関係者の間では「行政」あるいは「事務所行政」と呼ばれている。

    キスさえ「事務所NG」が入る

    本来、キャスティング――配役は、ドラマの根幹に関わるものだ。

    アメリカやヨーロッパの映画、長編テレビドラマではまず脚本があり、その配役を決めるためのオーディションが行われる。有名無名を問わず、俳優はそのオーディションを受けて、その役柄に合うかどうかを制作者側に判断してもらうことになる。

    前出のプロデューサーは、冷ややかな口調で言う。

    「だから、日本とどんどん差が開いていく。アメリカの場合はいい役柄を掴めば、スターになれる。だから俳優も努力する。しかし、日本の場合は役柄に合っていようがいまいが関係ない。プロダクションの力関係で配役が決まるから。

    よくある設定に、自信なさげで地味な女の子が、眼鏡を取るとすごく綺麗だったというパターンがある。でも、そもそも日本のドラマでは明らかな美人を配役しているので、ストーリーに説得力がなくなる」


    難しいドラマは観てもらえない

    本来、脚本はオーケストラにおける楽譜のようなもので、作品の骨格と言ってもいい。

    黒澤明の映画『七人の侍』などの脚本で知られる橋本忍は、著書『複眼の映像』の中でこう書く。

    〈 通常、私は脚本直しをした監督とは、二度と組むことはない。第一線級の監督は脚本の直しなどはしない。脚本を直すのは、腕のない二流もしくは三流監督の、偏狭な私意や私見に基づくもので、脚本にとっては改悪以外のなにものでもなく、私たちはこうした無断改訂の常習者を「直し屋」と呼ぶが、「直し屋」はそれが習性で、脚本が誰であれどんな作品であれ、改作をやめない。だから私は相手が「直し屋」と分かると、徹底して仕事を忌避する 〉

    つづく

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