NEW 松居一代様を斬る 2 へのコメント(No.89905

  • No.89731 匿名

    21/08/07 10:38:30

    >>89696
    土曜日というのに、今朝も外からのヘリコプターの音がいつもに増して癪に障る。K代は寂れた小さなベランダに脚立を置いた。
    境界線に新たに建てられた豪奢なハイパーテションの上から、僅かだが隣の様子が伺える。 

    夢にみた白亜御殿がそこに佇んでいるのだ。
    車寄せには白いロールスロイスが見える。
    どうやら息子(娘)夫婦が孫を連れて遊びに来ているようだった。思わず自分は息子に会ったのはいつだったかを思い出そうとしたが、
    すぐに諦める。更に体を乗り出し精一杯眼をこらしてみる。庭に上品なクリームやアイボリーのイングリッシュローズが見事だ。
    中から時折『お婆ちゃま!』と子供達の笑い声と賑やかな声が漏れ聞こえてくる。

    あぁ…ついついため息が出てしまった
    夢に見た幸せがそこにある事を
    K代は認めたくなく、唇を噛み締めるのであった…

  • No.89905 匿名

    21/08/07 13:37:27

    >>89731
    足場の幕の向こうから、雨粒が窓に当たる様子が見えた。テレビの音から離れたせいか、雨音だけがガランとした室内に虚ろに響き始める。
    "あっ"早朝に置いた大事な盛り塩!
    急いで玄関でサンダルを履き、気に入りの赤い縁のビニール傘を手に取ると、一気に小さな階段を降りた。
    案の定、盛り塩は雨に形を崩しているようだ。
    片手に傘を差したまま、しゃがみこむと、
    水分を含んだ塩が綺麗に輝いて見え、無意識にひと掴み手に取ってみる。
    途端、20年前の映像が走馬灯のように
    脳裏を走り出した。意気揚々と新しい家庭を
    この地で生み出すべく、希望と期待に胸を膨らませていたあの日、あの時、そして今。
    いつのまに強く掴んだはずのものが、
    指の隙間から流れ落ちてしまったのか…
    いや、違う、もっと幸せになるんだ!
    と頭を激しく振ったのと同時に、手から先ほど
    掴んだ塩が滑り落ちた。足元を見下ろすと、
    土色に滲んだ塩の粒子がすっかり煌めきを失い、灰色のアスファルトに流れ始めていた…

コメント

ニックネーム

必須

全角20文字以内

画像投稿時にOpen AIを使用して投稿の可否を判断しています

コメントを書く

広告

返信コメント

  • No.89914 匿名

    21/08/07 13:45:33

    >>89905
    お待ち申し上げておりましたっ!!!
    素晴らしいっ!
    雨の中、呆然と佇むK代の姿が浮かびます!
    是非、また続きをお願いします!


    せっかくの文章がこのままだと流れてしまうのが
    もったいないです
    前回のものとこれが流れてしまわないように
    する方法はありませんか?

1件~1件 ( 全1件)

投稿するまえにもう一度確認

ママスタコミュニティはみんなで利用する共有の掲示板型コミュニティです。みんなが気持ちよく利用できる場にするためにご利用前には利用ルール・禁止事項をご確認いただき、投稿時には以下内容をもう一度ご確認ください。

上記すべてをご確認いただいた上で投稿してください。