妄想族会議開催中。 へのコメント(No.141

  • No.141 しらたき係長

    N701i

    06/10/24 10:05:43

    次の日

    彼女は

    いなかった。

    僕がこのマンションに越して来てからこの時間のこの場所で彼女に会わないのはこれが初めてだった。

    イヤな予感がした。


    その日の昼休み。

    僕は近くのコンビニに弁当を買いに出た。

    いつもより多めの客で店はとても混雑していた。

    会計を済まし、店を出ようとした時、
    ドン と他の客と肩がぶつかり、手に持っていたビニール袋を落としてしまった。

    「あ、すいません。」

    あわてて袋を拾い、顔をあげる。

    「いえ…こちらこそ。」

    一瞬、目が合う。
    深々と帽子をかぶり眼鏡をかけたその人は気まずそうにパッと僕から目をそらす。

    「妄想さん…?」

    僕は言った。


    左目が赤紫色に腫れ上がり、唇が切れてすり傷になっているその顔は、瞬時にはわからなかったが間違いなく彼女だった。

    僕は彼女の顔に背筋がぞっと凍り付く。

    彼女はパッと走り出そうとした。

    僕はとっさに彼女の腕をつかんだ。

    「離して!」

    彼女が僕の手を振りほどこうとしたので、僕はつかんだ手にさらに力を入れ、ぐいっと彼女を僕の方に引き寄せた。


    「なにがあった?」

    僕は怒りを押し殺し、静かに彼女に問い掛けた。

    「なにも…なにもないわ…。ちょっとぶつけただけよ。」

    彼女は僕と目を合わさず声を震わせながらそう答える。

    胸が張り裂けそうだった。

    さらに彼女が僕の手を振りほどこうともがく。

    離すものか!絶対に。

    僕は抵抗する彼女の腕をつかんだまま

    「行くぞ。」

    と 歩き出した。

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