トイレ大丈夫?
「生活保護を受けさせてやるから、養育費を請求するな」元夫の身勝手な要求を跳ね返したシングルマザー…よりどころとなった“法の原則”とは
2026年05月11日 09:56
弁護士JPニュース
「妻子と離婚する予定ですが、とても母子で生活できそうにないので生活保護を受けさせてやれないか」
こんな相談が、私の行政書士事務所に定期的に寄せられてきます。
一見すると「離婚相手の今後の生活を心配して、行政の手続きまで手配してあげている」と、善意解釈できるかもしれません。しかし、立場の弱い配偶者を言葉巧みに生活保護に誘導し、正当に受け取るべき婚姻費用や養育費を放棄させ、本来自らが負うべき経済的責任を不当に免れる狡猾な手口である場合もあります。
実際に、離婚、別居の話し合いの渦中で、配偶者から、
「弁護士が役所に同行して生活保護を受けられるように手配してやるから、養育費も婚姻費用も請求しないでほしい」
といった言葉を投げかけられたというケースが、頻発しています。
今回は、離婚や別居の場面で横行する「生活保護の不当な利用を前提とした権利放棄の強要」に対して、泣き寝入りせず、自分と子どもの身を守るための正しい法的知識について解説します。(行政書士・三木ひとみ)
■毅然とした対応で正当な権利を勝ち取った事例
夫から上述の言葉を投げかけられたのは、妊娠発覚後に夫の不貞行為が発覚し、別居することになったシングルマザーのマリカさん(仮名・30代)です。パートナーに裏切られ、深い悲しみと今後の生活への不安で精神的に最も脆弱になっているタイミングでした。
マリカさんは藁にもすがる思いでいくつか公的な相談窓口に足を運んだものの、どこへ行ってもマニュアル通りの対応や、「まずはご夫婦で話し合って」「夫婦喧嘩は犬も食わない」などといった意味のない言葉ばかり。法的な知識もない妊婦は、孤立無援の状況に陥りました。
絶望のどん底にいたマリカさんを立ち上がらせたのは、夫への強烈な「怒り」でした。
つづく
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No.4 主 トイレ大丈夫?
26/05/11 14:51:42
■福祉事務所も厳しく対応、「安易な合意」の危険性
行政側(福祉事務所)も、こうした責任逃れによる安易な保護の利用には慎重な対応をとっています。
生活保護手帳別冊問答集には、離婚していない別居中の世帯から保護申請があった場合、単に別居という理由のみであれば、生活の維持はまず当事者間で解決すべきことを助言することとしています。
そして、夫に資力があるときは「婚姻費用の分担に関する調停、審判の申立て等を家庭裁判所に対して行うよう助言」することと明記されています。つまり、行政もまずは法的権利を正当に行使するよう促すのです。
なお、当事者間の合意に基づいて生活保護利用者が自らの生活を犠牲にして保護費の大半を権利者に支払うような合意をした場合、保護実施機関は「権利者による経済的搾取が疑われる」として、経済的虐待からの分離などを検討すべきとしています。生活保護はあくまで当事者の最低限度の生活を保障するものだからです。
■安易な同意はしないこと、正しい知識で防衛を
本来であれば、配偶者からの適正な婚姻費用や養育費によって自立した生活が送れたはずの人が、相手方の責任逃れによって生活保護に陥る事態は、ひとつの家庭の不幸に留まりません。
生活保護制度は国民の税金によって支えられる「最後のセーフティーネット」であり、支払う能力のある者の個人的な経済的責任を公的負担に肩代わりさせる行為は、制度の趣旨を揺るがすものであり、社会全体に負担を押し付ける看過できない行為なのです。
「代わりに生活保護の手続きをしてやる」という言葉の裏には、あなたから正当な権利を奪い、自身の経済的負担を免れようとする意図が隠されているかもしれません。
離婚や別居という極限のストレス状態にあっても、決して相手のペースに乗せられて安易な書面にサインしないことです。まずは弁護士や公的な相談窓口を頼ってください。
外部のサポートを得ながら、自らの権利を正しく主張し相手の不当な要求を退けることは、子どもの尊厳を守り、新しい人生を安心して歩み出すための、確かな一歩となるのです。
https://www.ben54.jp/news/3488
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