早くパンツはいて!
「インターナショナルスクールに行かせる親」の盲点…早期の英語教育が脳と心に及ぼす"想定外のダメージ"
2026.03.12
文教大学教育学部/成田 奈緒子
公認心理師・臨床心理士/上岡 勇二
■小さいうちから英語に触れさせるのはNG
×小さいうちから英語に触れさせてバイリンガルを目指す
○まずは母語で感情を表現できるようにする
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【エピソード】
アンは生まれたときから、英語の歌や映像が流れる家で育っています。アンの母親が読んでくれるのは英語の絵本。母親はかつてアメリカに留学していたこともあり英語が得意です。海外で働くことに憧れを持っており、アンのことをバイリンガルに育てたいのです。
アンは自然と英語の歌を歌い、きれいな発音で英単語を言えるようになりました。しかし、幼稚園で気持ちを聞かれるとウッと詰まってしまいます。混乱してものにあたったり、泣きわめいたりすることもしょっちゅうです。
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(略)
■英才教育が子どもの脳にダメージを与えるワケ
確かに、幼児期の脳は柔軟で新しい言語に抵抗がありません。(略)
しかし、脳育ての観点から言えば、バイリンガル教育は非常に難しいと言えます。一歩間違えれば、子どもの脳に悪影響を及ぼすこともあるので注意が必要です。
脳の前頭葉に、「ブローカ野や」という言語処理をつかさどる部分があります。幼い頃から第2言語に触れてうまくバイリンガルに育った人の脳は、二つの言語をつかさどるブローカ野の領域がより近接していることがわかっています。
近接しているということは、二つの言語を極めて自然に行き来して使えるということです。側頭葉にある言語理解をつかさどる「ウェルニッケ野」に関しても同じ現象が見られることが報告されています(Nature 388, 171p, 1997)。
続く
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No.1 主 早くパンツはいて!
26/04/05 17:33:44
■母国語によって母親の感情や愛情が伝わる
しかし、これがうまくできずに両言語を扱う領域が離れると、スムーズに行き来できず、親が期待する「英語と日本語が『どちらも得意』」とはなりにくくなる可能性があるのです。下手をするとどちらも不得意、という中途半端な状態になり、どちらの言語であっても学習がうまく習得できにくくなります。
日本語がスムーズでありつつ、ネイティブ並みに英語を扱えるように育つこともありますが、うまくいかない例も多いです。安易におすすめはできません。
とくに幼少期は、母親の母語で育てることを私たちはおすすめしています。母の感情表現や細やかな愛情表現などを子どもに伝えるのには、母が慣れ親しんだ言語が一番適切です。これにより、2歳頃までに愛着形成ができると言われています。それができなかった場合、生涯にわたって社会性や心の健康にトラブルを抱えるおそれもあります。
日本語なら「あ~、それ触っちゃダメ!」「ダメダメ、危ないから手を放して!」などのように表現豊かに言えるところを、英語ではただ「Don’t touch」になってしまう。
続く
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No.2 主 早くパンツはいて!
26/04/05 17:34:21
■インターナショナルスクールも避けるべき理由
「ちょっとここに座っててね」「座ってごらん」が「Sit down」になってしまう。英語がそれほど流暢でない人が英語で育てようとすると、どうしても表現の幅が狭くなり、繊細な感情が伝わりにくい言葉になってしまいます。
近頃は、夫婦ともに日本人だけれど、子どもをインターナショナルスクールに通わせるため、家庭では英語のみで子育てをしているという方が結構多くおられるようです。インターナショナルスクールは日本に海外赴任している外国籍の子が通う学校ですが、近年、両親とも日本人でも受け入れてくれるところが多くあります。
ただし、授業は当然英語で行われますし、一部の学校は「日常的に日本語を使用している人はNG」だったりします。このような家庭ではあえて日本語禁止で頑張って育てます。子どもは、英語を流暢に話せるようにはなる一方で、逆に親子間での言語による感情のやりとりはとても難しくなる場合があります。
■子どもの才能と自己肯定感を奪うかもしれない
また、ネイティブの同級生たちとの文化ベースの違いもあり、真の意味での相互理解が中途半端になることもあります。
そのあげく、最悪のケースでは、子どもが自分の失敗を親のせいにしてなじる、親に期待をしなくなり大学進学を機に音信不通になる、ひどく落ち込んで自分を責め続けるなどの状態が出現します。
日本で子育てをしている外国人の方も、同じ問題に行き当たります。日本語が母語でないため、子どもに伝えるときに「チャントシテ!」「ダメデショー」といった言葉の繰り返しになってしまい、親子間の感情の伝達に齟齬ができるのです。
仕事との兼ね合いがあり、海外で子育てをする方など、事情はさまざまだと思いますが、幼少期、せめて家庭内では母親の母語で子育てをすることをおすすめします。
https://president.jp/articles/-/110261
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