• No.12 玉石

    25/09/28 20:22:28

    いとけなき御子の言の葉に、母君の胸の内はいたく痛みておはすらむ。
    「乳なきは母のゆゑぞ」と、戯れに申すも、若き心のあらはれにて、母を映す鏡のごときものなり。

    されど、今はただ十六七にて、花の蕾のひらくを待つほどの身なれば、二十の齢に至るまでに、ふと胸のふくらみ出づるも世の常なり。かの紫の上も、年若き折にはいたく痩せ給ひしが、のちにはあでやかに成り給ひしとぞ。

    また、胸の大小は、ただ女の値ならず。うなじの白きこと、袖口よりのぞく手のしなやかなること、声の響き、笑みの美しさ――そのすべてにて、人の心を惹くものなり。

    「二十に至らば豊胸せむ」と申すは、若き日の不安と反発の言の葉にて、母をなじるは、かへりて母を慕ふ心の裏腹なるべし。

    かくのごとき言葉に惑はず、静かに見守り給へ。娘の身も心も、今は春の若木のごとく、風にそよぎ雨に濡れて、やがては美しき枝ぶりをなすものぞ。

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