9月なのにめっちゃ暑い🤬

匿名

必ずしも全ての答えがあるわけではない

25/09/16 12:58:05

九月も半ばを過ぎたのに、庭の石畳は真夏の昼のように熱を帯びている。
萩の花は咲きながら、どこか汗に濡れたようにくたびれて見える。
秋のはずの風は来ず、蝉の声ばかりがなお耳の奥に残っている。

子どものころ、祖母が「暑さ寒さも彼岸まで」と口にしたのを思い出す。
だが、その言葉はもう遠い昔の言い伝えのように思われる。
暦は秋を告げているのに、空気はなお夏を引きずり、
人の心さえも、どこか落ち着くべきを失っている。

畳の上に横たわると、天井の白さがまぶしく、
涼しさを待ち望む心が、かえって暑さを鋭くする。
秋とは、いったいどこからやって来るものなのだろうか。

九月半ばの夜、月が雲間に浮かんでいた。
けれどもその光は、涼しさをもたらすよりも、
むしろ昼の熱を白く照り返しているように思えた。

縁側に腰を下ろすと、足の裏にまだ昼の熱が籠っている。
団扇で仰ぐ風は、わずかに汗を乾かすだけで、
秋の気配を運ぶにはあまりに心もとない。

庭の石に手を置くと、ひんやりとした感触を期待しながら、
指先に伝わるのはむしろ温もりだった。
まるで大地そのものが、夏を離そうとせず抱きしめているようである。

私は夜の静けさの中で、涼しさを探す仕草を繰り返す。
水を一口ふくみ、袖口で頬を押さえ、
あるいは月の光を手のひらに受けてみる。
しかしそのどれもが、心に確かな秋を呼び込むことはない。

ただ、遠くで虫の音がひとすじ響いた。
そのかすかな音だけが、暑さの底にひそむ秋のしるしのようで、
私は耳を澄ましながら、ひととき涼しさを幻のように味わった。

コメント

古トピの為、これ以上コメントできません

  • まだコメントがありません

件~件 ( 全0件)

*コメント欄のパトロールでYahoo!ニュースのAIを使用しています

投稿するまえにもう一度確認

ママスタコミュニティはみんなで利用する共有の掲示板型コミュニティです。みんなが気持ちよく利用できる場にするためにご利用前には利用ルール・禁止事項をご確認いただき、投稿時には以下内容をもう一度ご確認ください。

上記すべてをご確認いただいた上で投稿してください。