• No.1 和菓子職人

    24/10/12 18:14:48

    <歴史からの教訓>

    第2次世界大戦末期の1945年8月、米国が広島と長崎に投下した2発の原子爆弾は多数の命を奪い、その後もやけどや放射能の障害で命を落とした。同年12月までに20万人以上が死亡したと推計されている。現在の核兵器は、当時使用されたものよりはるかに強力だ。

    日本被団協による活動の成果もあり、広島と長崎の惨劇は「核兵器を再び使うことは許されない」という強力な歴史的教訓として認識されてきた。

    公式な核保有国のロシア、米国、中国、フランス、英国は2022年1月、「核戦争に勝者はおらず、決して戦ってはならないことを確認する」と共同声明を発表した。

    しかし、そのわずか1カ月後、ロシアはウクライナへの全面侵攻を開始し、核使用のリスクが再燃した。侵攻当日、プーチン大統領は「ロシアに干渉すれば歴史上前例のない結末を迎える」と警告し、同年9月には「米国の広島と長崎への核攻撃が前例を作った」と発言した。

    23年1月、米科学誌の原子力科学者会報は「世界終末時計」の針を人類滅亡の時を示す真夜中へさらに近づけた。

    それ以降もロシアはベラルーシに戦術核ミサイルを配備することを発表し、核演習を繰り返し、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を撤回した。

    核軍縮の専門家は、核実験を行えば劇的なエスカレーションを引き起こす可能性があると警戒している。プーチン大統領も、米国が核実験をしない限りロシアも再開しないと主張している。今世紀に入って核実験をしたのは北朝鮮だけだ。

    冷戦終結後に築かれた軍備管理の枠組みが崩れつつある今、核兵器の専門家たちは、ロシア、米国、中国を含む新たな核開発競争の加速を懸念している。米ロ間に唯一残る核軍縮合意「戦略核兵器削減条約(新START)も、26年2月に期限を迎える。

    17年にノーベル平和賞を受賞した国際NGO、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の元事務局長ベアトリス・フィン氏は、日本被団協の受賞の知らせを聞いて涙を流したと短文投稿サイトXに書き込んだ。

    「核兵器がもたらす恐怖を直接経験した生存者たちが、今も私たちと共に生きている。私たちは今こそ行動しなければならない」と彼女は投稿で訴えた。

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