兵庫県知事問題「告発者捜しがなければ自殺は防げた」 上智大学教授語る

匿名

税理士

24/10/09 23:30:01

兵庫県知事問題「告発者捜しがなければ自殺は防げた」 上智大学教授語る

2024.10.4
日経ビジネス

【この記事の3つのポイント】
・告発文書は根拠に基づいており、保護されるべきだった
・告発者の捜索と不利益扱いは「公益通報者保護法」に違反
・再発防止に向け行政処分や刑事罰を設ける必要がある



 兵庫県議会による不信任決議を受けて失職した斎藤元彦・前兵庫県知事。失職前の9月26日に開いた記者会見では、3年間の県政における自身の実績をアピールし、自身のパワハラ疑惑などを告発された文書について「初動対応も含め問題はなかった」との認識を改めて示した。

 ただし専門家からは、斎藤氏による告発者捜しや通報者の懲戒処分、強権的な事情聴取などについて、内部告発者を保護する「公益通報者保護法」への明確な違反であると指摘する声が相次ぐ。 

 告発者が自ら命を絶つという、最悪の結果を招いた今回の問題。立ち返るべきは斎藤前知事の道義的責任とともに、公益通報制度のあり方だ。公益通報制度に詳しい専門家として兵庫県議会調査特別委員会(百条委員会)に参加した、奥山俊宏・上智大学教授に話を聞いた。


>>1■告発文書は「根拠に基づいている」

コメント

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  • No.1 税理士

    24/10/09 23:30:43

    ──奥山教授は百条委員会で、問題の発端となった前西播磨元県民局長=7月に死亡=による告発文書について、兵庫県が公益通報として扱わず処分を決めた対応が公益通報者保護法に違反するという見解を示しました。改めてそのポイントと理由を教えてください。

    上智大学教授・奥山俊宏氏(以下、奥山氏):大きく分けると、公益通報者保護法における告発者の「不利益扱いの禁止」、そして「体制整備義務」に違反していると考えます。 

    ■告発文書は「根拠に基づいている」

     4月に告発文書を見たとき、知事の違法行為を指摘する内容が具体的で、これはでっち上げではなく、根拠に基づいて書かれているのではないかという印象を受けました。その後の経緯を見ると、外形的な内容はおおむね事実関係に一致していることが明らかになりました。斎藤前知事が会見で述べたような、文書が「嘘八百」という指摘は当たりません。

     仮に全くの嘘であれば話は別ですが、今回の告発は公益通報として、まさに守られるべき声に該当すると考えています。その上で、告発者を懲戒処分にした判断は、告発者を不利益扱いしてはいけないという条項に違反しています。

     もう一つ、論点として考えるべきは「告発者捜し」についてです。301人以上の事業者においては、そもそも公益通報者は探索されてはならないのです。それは公益通報者保護法の指針で明文化されています。兵庫県は、告発者の探索がなされないための体制の整備を怠った、つまり「体制整備義務」に違反するということです。

  • No.2 税理士

    24/10/09 23:31:20

    ──斎藤前知事は告発文書について、「真実相当性(真実と信ずるに足りる相当の理由)」がないため、公益通報として保護の対象とはならないと主張しています。

    奥山氏:例えば、知事側近の部長が業者にコーヒーメーカーを送らせ、実際に半年間、その管理下に置いていたことが明らかになっています。視察やPRなど公務の対価として知事周辺の個人によってコーヒーメーカーが受領された、そのように信ずるに足りる相当の理由があるように思われます。額が小さいので刑事立件されることはないでしょうが、だからといって、収賄罪の成立が妨げられるわけではありません。昔、東京地検特捜部が大手銀行や証券会社の幹部らによる大蔵官僚や日本銀行課長への接待を贈収賄事件として立件したことがありましたが、その際には、1件1万3千円程度の飲食接待も含め接待を1件ずつ贈収賄該当の行為ととらえ、それを積み上げる方式がとられていました。

     兵庫県側の説明も、その都度で変遷しています。当初は4月4日以前に前西播磨県民局長が報道機関に送付した文書は「公益通報に当たらない」という趣旨の話をしていました。この主張が間違っていることは明白です。その後、兵庫県は真実相当性という議論を出してきたんです。

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    □上智大学教授・奥山俊宏氏
    1989年、東京大学工学部を卒業後、朝日新聞に入社。東京社会部、大阪社会部、特別報道部などで記者を務めたのち、2013年から朝日新聞編集委員。22年、朝日新聞を退職し、上智大学文学部新聞学科の教授に着任。24年9月5日、兵庫県議会調査特別委員会(百条委員会)に公益通報者保護制度に詳しい参考人として出席した。(写真=遠藤 素子)

    https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/100400586/

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