ひよこ鑑定士
“内部告発”後に解雇され「無効」主張も…会社は「私憤を晴らす目的」と反論 裁判所が「従業員の訴え」を認める基準とは
2024年9月24日 9時58分
弁護士JPニュース
兵庫県の斎藤元彦知事に対する不信任決議案が19日、県議会で可決・成立した。
知事の問題が明らかになったきっかけは、県職員による「内部告発」。この職員は知事のパワハラなどを匿名で告発したが、これが公益通報として扱われず、告発者の特定、懲戒処分につながったことがひとつの原因となり、自死に追い込まれた。
組織の不正を告発した人物が不利益を被るケースは、残念ながら散見される。今回紹介する判例で、従業員は勤務先のある検査結果を見て「これは改ざんれているのでは...」との疑惑を持った。それを上司に問うたが納得のいく説明が得られず、週刊誌にリークしたのである。
これを理由に解雇された従業員が提訴。結果、裁判所は「解雇は無効」と判断した(水戸地裁 R6.4.26)。従業員が合理的な疑いを持ってリークしたのであれば、会社が不利益処分を課すことはできないことを示した一例だと考える。
なお、この従業員は「補助金の不正受給疑惑」についても検察に告発している。以下、事件の詳細だ。
つづく
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No.3 主 ひよこ鑑定士
24/09/27 08:28:58
裁判所の判断
Xさんの勝訴である。
■ 週刊誌へのリーク(改ざん疑惑)
裁判所の判断の概要は以下のとおりだ。
・書面の記載内容から、組合が漁獲物の流通量を確保するために、放射性物質の数値を実際よりも低い値で公表したのでは...とXさんが疑念を抱くことは必ずしも不合理ではない
・故意に虚偽の情報を提供したものではない
・およそ合理的な理由なく組合の信用を毀損する行為ではなかった...etc
■ 検察庁への告発(補助金の不正受給疑惑)
裁判所の判断の概要は以下のとおりである。
・カラ出張を疑うことも全く不合理なことであったとまではいえない
・補助金の受給に不正な点があるのでは...と疑うことは不合理ではない
・告発が全く根拠を欠く不当なものであったとは認められない
会社は「Xさんは上司に対する私憤を晴らす目的で告発した」と主張したが、裁判所は「告発が、上司に対する私憤を晴らすという個人的な目的によるものとあったとはいえない。告発内容がおよそ合理性を書いていたということはできず、公益通報としての側面も有していた」と判断した。
■ バックペイ
裁判所は会社に対して、約1000万円(約3年分の給料)をXさんに支払うよう命じた。このように、解雇が無効と判断され、過去にさかのぼって給料がもらえることを「バックペイ」という。具体的には【解雇された日から → 訴訟になって → 判決が確定する日までの給料】のことだ(民法536条2項)。
最後に
会社や上司を陥れる目的でウソの情報を外部にリークすることは言語道断であるが、今回のように、しかるべき書類を根拠に【合理的な疑い】を持った上で、会社に改善を申し入れても動かないようであれば、情報を提示して外部の力を借りることも違法とはならないと考える。
https://news.livedoor.com/lite/article_detail/27242290/
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