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- 23/11/07 17:51:18
先日、娘を連れて岡山市の3歳児健診に行った。発達を調べる検査で娘に投げかけられたある質問に少し違和感を持った。「○○ちゃんは男の子かな? 女の子かな?」。娘は答えられなかった。というのも、私が娘に「あなたは女の子だよ」と教えたことが一度もなかったからだ。性の多様性が叫ばれている時代に、子ども自身の「性」について、どのように伝えればよいのか。自治体の担当者や専門家の考えを聞いてみた。
【画像】岡山県内で3歳児健診時に性別の質問をする自治体は?
健診を担当する岡山市保健所健康づくり課によると、検査では、名前や年齢、色などの質問もしており、それらと同じく性の概念を理解しているかをチェックしているという。その理由について「性自認のことではなく、生物学的な違いを理解しているか。もし理解できていなければ、『男の子はこっちに来て』と呼びかけられても分からない」と説明する。「生物学的な違いが分からなければ、性の多様性も理解できないのでは」とも話していた。
岡山県内のほかの自治体はどうなのか、尋ねてみた。全27市町村で健診時に性別に関する質問をする自治体は、岡山、倉敷市などの10市町村で少数派だった。最近になって、この質問をやめた自治体も複数あった。早島町では年4回、3歳児健診を実施。今年8月までは性別に関する質問をしていたものの、多様性やジェンダーの観点から、11月の健診では質問しないことを決めたという。現在、質問していると答えた自治体の中にも、「性別の項目が必要か、協議したいと考えている」と話した担当者もいた。
他県では、滋賀県草津市が昨年4月から性別の質問項目を削除した。担当の草津市子ども未来部子育て相談センターに理由をたずねると、「市民から寄せられる意見書箱に過去2回、おそらく健診を受けた保護者と思われる方から、『(健診時に)性別に関する質問をするのはどうなのか』という意見が寄せられた。協議した結果、時代にそぐわないと判断した」と話す。
性別違和を専門とする精神科専門医の康純さん(61)にも話を聞いてみた。「生物学的な違いについて聞いていると言っても、質問された子どもたちは自認する性別のことと受け止めるだろう」とし、「性は二つには分けられない。性自認が男女どちらでもないXジェンダーの人がいる中で、3歳児に男か女しかないと押し付けることにもなる」と指摘する。
子どもは親ら周囲から性別を教わることで初めて言語化できるようになる。例えば、子ども自身が「女の子」と答えられるようになるには、日頃から「あなたは女の子よ」と言葉で伝えていくことになる。康さんは「誰かが教えるということで、『男とは』『女とは』という固定観念が入り、性別違和のある子どもを混乱させる可能性がある」と懸念する。
康さんは「体の変化が表れる第二次性徴が始まる小学校中学年までは男女の区別を教える必要はない」と考えている。それよりも「子どもが『こういうのが好き』と表現した時に、いわゆる世間一般の『男の子』『女の子』と合わなくても、その気持ちを尊重して『あなたが好きならそれでいいのよ』と、伝えることのほうが大事」と話していた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/48c32789ffa3b1bed0a2701e9db1e6722c0fbcdd
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