あらゆる訃報を利用する陰謀論者たち…根拠なく「コロナワクチンのせい」【SNS】

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  • 23/11/03 18:04:58

マシュー・ペリーの死を利用する陰謀論者たち。根拠なく「コロナワクチンのせい」

2023.11.01

米ドラマ『フレンズ』のメインキャスト、チャンドラー役の俳優マシュー・ペリーの突然の訃報が10月末に報じられた。詳しい死因は明らかになっていないが、このニュースに反ワクチン活動家たちが飛びつき、SNSで誤った認識を拡散している。

米ドラマ『フレンズ』のスター、俳優マシュー・ペリー(享年54)の訃報が世間に出回るまで、そう時間はかからなかった。TMZがあまりに早く彼の死を報じたため、パパラッチが悲嘆にくれる両親の姿を写真に収めようと、現場となった自宅周辺に早々と陣取っていたからだ。

有名人の死に際するニュースの氾濫、メディアの捕食的なルーティーンは、もはや予想がつく。タブロイド紙は、緊急通報用電話番号の通話記録、名の知れた友人の証言、検視報告書、遺体の画像までもこぞって入手しようとする。激しい競争のなか、すべてが図々しく無礼極まりないやり方で報じられる。だが、新型コロナウイルスのパンデミックをきっかけに出現した新たな動きと比べると、これはだいぶ古風に思える。

◆悲報に飛びつく反ワクチン活動家

過去数年間で、反ワクチン活動家たちがこういった悲報に飛びつくようになった。明確な根拠がないまま、あらゆる種類の「予期せぬ死」が新型コロナウイルスのワクチンの副反応によるものだと主張するのだ。活動家たちは「#DiedSuddenly(突然死んだ)」というハッシュタグを使い、X(旧Twitter)で根拠のない説を広めようとしている。

この現象は、ソーシャルメディアに限ったことではない。右翼のラジオ司会者ステュー・ピーターズが2022年11月、映画『Died Suddenly』を公開し、誤情報を押し広げる新たな手段を生み出した。

今年1月、NFL選手のダマー・ハムリンが試合中に心停止を起こし、重篤な状態に陥った。Fox Newsの元司会者タッカー・カールソンはこのニュースに関して、番組でゲストの憶測に乗っかり、ワクチンによる心筋炎が原因だとメッセージを増幅させた。ハムリンの医師はのちに、心筋梗塞が原因だと断定している。

#DiedSuddenly運動は有名人を標的にすることが多い。これまでに、サッカージャーナリストのグラント・ワールや、リサ・マリー・プレスリーなどが一方的に関連付けられてきたが、一般人が狙われる場合もある。愛する人の死因について嘘を広められ、遺族の日々はより暗いものになる。顕著なのは、ジャーナリスト、ビリー・ボールの事例だ。ボールは今年初め、6歳の息子を事故で亡くした。#DiedSuddenly信者は医学的証拠や良識をいっさい無視し、子どもの死の責任はボールにあると愚弄した。

#DiedSuddenly運動の新たなターゲットはマシュー・ペリーだ。

ペリーの死因は不明で、ワクチン接種履歴との関連を示す証拠もない。しかし、訃報が世に出てから数時間で、ペリーのWikipediaページには死因とワクチンとの関連を想起させる記述が加えられていた。すでに削除されているが、次のように書かれていた。

「ペリーは2023年10月28日に死亡。溺死したとみられている。COVID-19ワクチンの合併症によって溺死したかは不明である」

代替医療ブロガーのエリン・エリザベス、反イスラム活動家のローレン・ルーマー、右翼ソーシャルメディア・パーソナリティのフィリップ・ブキャナン(通称「Catturd2」)など、反ワクチン派もソーシャルメディアに飛びつき、ペリーの死とワクチンの副反応を結びつけた。



Next >>1◆人助けをしようとしていたペリー

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    • 23/11/03 18:05:23

    ◆人助けをしようとしていたペリー

    #DiedSuddenly運動がペリーを次のアバターに選んだのには、倒錯した理由がある。ペリーは長年、自身の医学的問題、特に長期にわたる薬物の使用について、公に語ってきた。2022年出版の自伝『Friends, Lovers, and the Big Terrible Thing』(原題)では、薬物とアルコールが健康に深刻な影響を及ぼし、その結果、十数回にわたる胃の手術や昏睡状態を経験した過去について、数多くのページを費やしながら、率直に綴っている。

    自著の宣伝で、ペリーは自分の経験を明かすことがほかの人たちの助けになればと語っていた。「わたしが死んで最初に語られるのが『フレンズ』であってほしくない。人を助けたことについて語られるようにしたい」とあるインタビューでは口にしている。ペリーは晩年、自身の健康問題について語ることで、ほかの人たちが自分と同じように苦しまないで済むよう啓発活動をしていた。それだけに、恐怖をあおり、あてつけがましく真実を隠蔽しようとする悪意ある動きが、ペリーの死にまとわりついてしまうのは不愉快だ。

    これは異常な事態ではない。#DiedSuddenlyは、わたしたちの文化にはびこる、現在進行形で悪化している“病”の最新の症状だと認識するのが適切だ。2012年に26人が殺害されたサンディーフック小学校銃撃事件はでっちあげだとする陰謀論や、そのほかのコロナ否定論と同様、#DiedSuddenly運動は制度や専門家への不信を糧としている。陰謀論を信じる人たちは自身をいじめっ子ではなく、嘘を正す“真実の語り部”だと考えている。

    今回ペリーが標的となってしまった#DiedSuddenly運動は今後も続くだろう。特にXは、同コミュニティにとって安全な避難場所となっている。「Matthew Perry died suddenly(マシュー・ペリー 急死)」で検索すると、陰謀論に加担する何十もの認証済みアカウントがヒットする。Xのモデレーション・プロセスに大きな変更がない限り、それは変わらない。たとえイーロン・マスクが新たな人生の目標を「医療に関する誤情報の撲滅」にしたとしても、この問題はどのSNSプラットフォームにも及ぶだろう。

    この状況に抵抗するのを無駄だとみなすのは、ペリーに失礼だ。ペリーは何より、自分の物語を正直に語りたがっていた。彼の健康に関する嘘に対抗することは、彼のライフワークを称える行為そのものだ。

    (WIRED US/Translation by Rikako Takahashi)

    ※『WIRED』によるソーシャルメディアの関連記事はこちら。

    【写真】10月28日に54歳で亡くなった、米ドラマ『フレンズ』で知られる俳優のマシュー・ペリー。

    WIRED JAPAN
    https://wired.jp/article/matthew-perry-death-died-suddenly-conspiracy-theory-online/

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