- なんでも
- 鶴ヶ城公園
- 23/05/30 11:29:02
私は高校1年のときに母が亡くなった
その数年前からガンだったのをリウマチと誤診されて末期になるまで気づけなかったのがきっかけ
折り合いが悪い父と兄との3人暮らしになってしまったことに絶望して毎日泣いてた
そんなある日、夢を見た
子供の頃、母と一緒にパンを焼いた日の夢
昔住んでた小さな家で、兄が小麦粉で遊んで怒られるのも再現されてた
すごくリアルな夢で、パンの焼ける香ばしい匂いまで再現されてた
ふと、これは夢だと気づいたら、現実に戻ってしまった
ただ、そのときに意識の持ちようでずっと夢の世界にいることも可能なような気がして、夢を見たときに「これは夢だ」と思わず、夢の世界に没入するように努力した
何回か訓練するうち、夢の世界に長くいられるようになって、夢の内容もより現実と区別がつかないようなものになった
そうして1年くらいが経ったある朝、普通に目覚めたようで、どこか違う
当時はガラケーを使ってたんだけど、それで日付を見たら、母が亡くなる3日前
母の意識がはっきりしている最後の日だった
その日、私はお見舞いに行かず、後で祖母から「○○(私)に会いたいと言って泣いてたよ」と聞かされ、すごく後悔してた
その日だと気づいて、私は学校を休んで病院にお見舞いに行った
最寄り駅からバスに乗ったら乗客は私1人だけ
真っ白な霧の中を進んでいくようで、「これは夢だ」と疑いそうになったんだけど、「夢じゃない。現実だ!」と強く思ったら、霧が晴れて風景がはっきりしてきた
いつもの病院に向かう道
入院している母と面会して、ほとんどしゃべれなくなってる母に子供の頃にパンを焼いたことや、いろいろな思い出話をしてるうちにボロボロ泣けてきて、「お母さん、ありがとう。一生忘れないから。私は必ず幸せになるから」と言ったら、母も泣いて、笑顔でうん、うんとうなづいてくれた
それから3日後に母は亡くなった
だけど、私はずいぶん救われた気がして、父と兄との3人暮らしも頑張れて、大学に進んでから人生が開けてきた
今では父と2人で母のお墓参りに行って食事をするくらい仲良くなってる
今日が母の命日
結局、夢は覚めないまま、1年ちょっと過去に遡ってやり直した人生を今も生きてる
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