- なんでも
- 井の頭恩賜公園
- 23/04/17 01:00:31
報酬額は一回50〜100万円。
「見張る役」「物を運び出す役」って綺麗に段取りを立ててウチはやってる。民家なら5分、店舗でも6分以内には終わらせますし、基本的に失敗することはないですよ。
男の口ぶりは軽快だった。簡単なアルバイトであるかのような錯覚を受ける。
それでもあえて不安げに尋ねると、男は畳み掛けるように説得してきた。
塩田)叩きの経験はないけど、それでも大丈夫ですか?
--実は昨日も1件叩きに行ってて、6人で行ったんですけど、経験者は1人だけでしたよ。ほとんどが素人。隠キャみたいな子もいたし。捕まるリスクだって、UD(※特殊詐欺の受け子・出し子)より全然低いから。俺らも2年前くらいまではUDの募集してたけど、今はもう全く稼げない。UDで捕まるリスクが10なら、叩きは3くらいですよ。
警察庁の犯罪統計によれば、2022年に警察が認知した強盗の被害件数は1148件。それに対し検挙件数は1060件だった(検挙率92.3%)。警察が認知していない事案もあるだろうが、少なくとも強盗の実行犯はほぼ確実に捕まるというのが統計的事実だ。しかしこの時点では連続強盗の犯人はまだ捕まっていなかった
塩田)3人組の叩きが関東で起こってる、あれも捕まってないですよね?
--その3人がすごい優秀ってのもあります正直。ちゃんとリスクヘッジしっかりしてるっていうか。
塩田)え、3人組と〇〇さんは関係ないでしょ?
--いや全然関係ありますよ。だってあのグループ動かしてるの僕らですから。いま関東で起こってる叩きのほとんどの人間は僕が入れてるんで。
一連の連続強盗の犯行グループは自分が動かしているという。本当か、自分を大きく見せたいがための嘘かは分からない。
そして男は「もし他に質問がなければ」と言って、テレグラムで面接票を送ってきた。
面接票は、住所や氏名に加え「実家の住所」や「両親の連絡先」まで記載するものだった。渡せば、私だけでなく家族にも危険が及ぶかもしれない。これ以上の取材は難しいか…そう思ってスタジオを出た直後-
「東京・狛江市で強盗殺人」の速報が飛び込んできた。私はカメラマンを呼び戻し、再び男に電話をかけた。
塩田)何で殺したんですか…?
--うーん、多分、やかましかったんじゃない?
男は笑いながらそう答えた。
塩田)実は私TBSの記者なんです。
--え、そうだったの?なんだそれだったら最初っから言ってくれれば良いのに。
塩田)今回のことで警察に出頭する考えはない?
--全然ないです。あの…愚問だと思いますよその質問、悪いことしてる連中に聞くのって。
男の口ぶりは変わらない。脅し文句の一つも予想していた私は拍子抜けした。
さらに私は、連続強盗の指示役とされる
フィリピンの収容所にいる4人の男のことを尋ねた。
--あいつらのことはよく知ってるけど、捕まったところで、強盗はなくならないですよ。背後にはもっと大きな組織がいるはずなんで。指定暴力団・半グレって連中ですね。だから、なくなる訳がないんです。
この電話を終えたあと、私はテレグラムで「実際に会って話を聞きたい」と伝えた。
危機管理が足りないですよ
塩田さん
これ自分じゃなくてもっとヤバい奴だっ
たら
あったら攫われて殺されますよ
これが男からの最後のメッセージだった。
日本って終わってるよね、
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