ワクチン接種率が高い州ではコロナ死亡が減少【米国】

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  • スウェーデン・クローナ
  • 23/01/05 17:25:13

ワクチン接種率が高い州ではコロナ死亡が減少 米国の研究

2023/1/4

日経Gooday
- 話題の論文 拾い読み!

 米国で新型コロナウイルスのワクチン接種率が高かった州では、低かった州に比べてコロナによる死亡や超過死亡が少なく抑えられていたことが、米国の研究(*1)で分かりました。

◆OECD20カ国と、米国内の接種率上位10州と下位10州を

 新型コロナウイルス感染症との闘いは、ワクチンの登場により大きく変化しました。しかし、変異株の相次ぐ登場は、ワクチンの効果を脅かしつつあります。

 そこで米Brown大学公衆衛生大学院のAlyssa Bilinski氏らは、ワクチン接種が広まる一方で、デルタ株とオミクロン株の流行が拡大していた2021年6月から2022年3月までの時期について、ワクチン接種率と新型コロナウイルス感染症による死亡率、および、超過死亡率(*2)を比較することにしました。

 デルタ株流行期間は2021年6月27日から2021年12月25日までとし、オミクロン株流行期間は2021年12月26日から2022年3月26日までとしました。

 分析対象とした国と地域は、OECD(経済協力開発機構)加盟国のうちの20カ国(2021年の人口が500万人を超えており、人口1人あたりの国内総生産が2万5000ドル超の国)と、米国、および、米国内各州のうちワクチン接種率の上位10州と下位10州です。ワクチン接種率は、2022年1月時点で2回以上の接種を終えていた人の割合としました。

 米国における新型コロナウイルス感染症の死亡率、総死亡率、ワクチン接種率に関するデータは、米疾病管理予防センターから入手しました。他国については、新型コロナウイルス感染症死亡率のデータはWHO(世界保健機関)から、総死亡数に関するデータはOECDデータベースから、ワクチン接種率に関するデータはオンラインデータベースOur World in Dataから得ました。あらゆる死因による超過死亡数は、2015~2019年のデータをもとに予測された総死亡数と、2021年6月27日以降に実際に観測された総死亡数の差として算出しました。

◆上位10州のコロナ死亡率は下位10州のほぼ半分

 米国では、デルタ株とオミクロン株の流行期に計37万298人が新型コロナウイルス感染症により死亡していました。死亡率は10万人あたり111.6人で、デルタ株流行期間は10万人あたり60.9人、オミクロン株流行期間では10万人あたり50.6人でした(次ページ表1)。米国内でワクチン接種率がトップ10に入った州の コロナによる死亡率は、10万人あたり74.7人で、下位10州 (10万人あたり146人)のほぼ半分でした。

 米国のワクチン接種率の上位10州と同じ接種率が米国全土で実現していたなら、米国全体で12万2304人(デルタ株流行期に10万8916人、オミクロン株流行期には1万3388人)が新型コロナウイルス感染症による死を免れたと推定されました。


*1 Bilinski A, et al. JAMA. 2022 Nov 18. doi: 10.1001/jama.2022.21795. Online ahead of print.
*2 超過死亡:例年のデータから予測される総死亡数と、実際の総死亡数の差。戦争や飢饉、大規模な自然災害、感染症の大流行などがあると超過死亡は増加する。




>>1に続く

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    • スウェーデン・クローナ
    • 23/01/05 17:25:39

    【表1】ワクチン接種率が高かった上位10カ国と米国の新型コロナウイルス感染症死亡率
    (出典:Bilinski A, et al. JAMA. 2022 Nov 18.)


     米国とOECD加盟20カ国を比較すると、米国の新型コロナウイルス感染症による死亡率は、デルタ株流行期間とオミクロン株流行期間のいずれにおいても、OECD加盟20カ国のどこよりも高くなっていました。

     超過死亡率についても同様の傾向が見られました。OECD加盟20カ国のうち、10万人あたりの超過死亡率を算出できた14カ国の、デルタ株流行期とオミクロン株流行期のあらゆる原因による超過死亡率は、すべて米国より低くなっていました。超過死亡率が最も低かったニュージーランドでは、デルタ株流行期が10万人あたり-7.6人、オミクロン株流行期は10万人あたり12.7人で、これらの期間を合わせても5.1人になりました。もし、米国がニュージーランドと同じ超過死亡率だったとしたら、全体では46万5747人(デルタ株流行期には35万4910人、オミクロン株流行期には11万837人)が死亡を回避できたと推定されました。

     これらの国々では、新型コロナウイルス感染症の診断基準、新型コロナウイルス感染症による死亡の把握方法などが異なるため、ワクチン接種率が高い国ほど死亡率が低いことを示す明確なデータは得られませんでした。一方、米国内の各州のデータは、基本的に同じ基準を用いて収集されているため、ワクチン接種率との関係が検討しやすくなります。米国内の比較においては、接種率が高い地域ほど死亡率は低くなっていました。

     著者らは「国民全体のワクチン接種率を引き上げるための啓発活動を行いつつ、ワクチンの追加接種を優先的に受けるべき人々に接種を促すことや、その他の感染予防、重症化予防のための対策を行うことが、死亡の回避においてこれからも必要になる」との考えを示しています。

    大西淳子=医学ジャーナリスト

    https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/15/050800004/122600209/?ST=m_medical

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