ビルボード運営が警鐘「チャート操作目的の再生では、音楽を“聴く”とは言えない」

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  • カモミール(逆境に負けぬ強さ)
  • 22/08/20 10:19:09

Billboard運営が警鐘「チャートハック目的では、音楽を“聴く”とは言えない」

2022.08.06 12:00

日本版Billboardとして、2008年からヒットチャートをスタートさせたBillboard JAPAN(ビルボードジャパン)。

CDセールスやダウンロード数、ストリーミング数のみならず、動画の再生数やツイート数、カラオケで歌われた数など、複数の指標に独自の係数を掛け合わせて合算。総合ソングチャートとして算出している。

グッズや握手券など、音楽以外の付加価値によって上下しやすい単一のセールスランキングと比べ、Billboardのチャートは複合的な観点からつくられ、より“音楽的”であると評価されてきた。(略)

その一方、ここ数年ますます影響力を強めているのが「ファンダム」の存在である。

熱狂的なファン集団やその文化を指すファンダム。そのエネルギーは音楽産業に光をもたらす反面、意図的にチャートを操作しようとする動きが散見されるなど、シーンに影も落としている。(略)

■受動から能動へ 音楽シーンに台頭するファンダム

「音楽の楽しみ方が顧客参加型になってきたのは、とても良いことだと思います。(略)様々に楽しめる環境をつくるのは、非常に大事なことだと思っています」

Billboard事業本部上席部長・礒﨑誠二さんはそう語る。

2020年代、BTS「Dynamite」が米Billboardの「Hot 100」で初登場1位を記録したのをきっかけに、音楽シーンに可視化されたファンダムの存在。

現代のファンダムは(略)、自律的・積極的な活動を行う。例えば、Twitterやブログでアーティストの魅力を広めたり、TikTokでアーティストの楽曲を使用したカバー動画をつくるなど、自発的に周囲に発信しようとする。

このように、ファンが自律的・積極的に音楽シーンへコミットしようとするという流れは、古くからメディアやレコード会社などが望んでいたことでもある。(略)文化としてもマーケティングの観点からしても重要なものとされた。

しかし、ファンダムの能動的な活動が音楽シーンを盛り上げている反面、見過ごせない動きもある。

■「曲名・アーティスト名」を付けた“ノイズ”なツイートの連投

Billboard JAPANは、2013年よりTwitterでの話題を指標に導入している。これは本国アメリカのBillboardに先立った動きだ。

(略)日本はラジオ局が少なく、そこでの音楽的なリアクションをカバーしきれていないという問題があった。それを補うため、Billboard JAPANは、ユーザーのリアクションのデータとして、Twitterを指標に取り入れた。

「レコード協会の調査によれば、CDシングルを新規購入した理由として口コミはかなりの割合を占めています。そのため、口コミとしてTwitterは導入当初係数を高めに設定していました」(礒﨑さん)

Billboard JAPANは、ツイート数のカウント方法について、アーティスト名と曲名どちらも書かれているツイートが集計対象であることを公表している。しかし、Twitterは実際のツイート内容とは無関係のハッシュタグを使用したり、単語のみでツイートしたりできる。

特に、ある時期から特定のアーティストをチャート入りさせることを目的に、ファンダムが意識的に楽曲名とアーティスト名をツイートする流れが大きくなった。Twitterで楽曲名を検索すると、ノイズやスパムとしか感じられない投稿も散見されているのが現状だ。

礒﨑さんも「ファン以外のユーザーが見て、どう思うかというところまで考えたほうがいい」と懸念を隠さない。(略)



続き >>1 「再生数目的では音楽を『聴いている』とはいえない」

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    • カモミール(逆境に負けぬ強さ)
    • 22/08/20 10:19:52

    ■「再生目的では音楽を『聴いている』とはいえない」

    ファンダムによる数字稼ぎは、Twitterのみならず、あらゆるプラットフォームで組織的に行われている。例えば以前、経済誌『Forbes』がBTSの事例を取り上げていた(外部リンク:https://www.forbes.com/sites/bobbyowsinski/2020/08/30/music-stream-mainpulation/?sh=7addb1dd3dd0)。

    (略)

    Billboard JAPAN編集長の高嶋直子さんによれば、その動きは、いまや総合チャートにまで影響を及ぼすようになってきたという。

    「『キャンペーンによって特定のサービス内だけで再生数を伸ばしている楽曲が、本当に社会的に浸透していると言えるのか?』という議論は、私たち運営の間でも長く行われてきました。(略)」

    キャンペーンを実施した期間だけ短期的に再生数が伸びたとしても、他のダウンロードやCDの売上に影響するには至らないケースも多い。それは果たして、ヒットに繋げるための正しいアプローチと言えるのだろうか。

    「アーティストの夢を叶えようとするファンダムの熱量は大切にしたい部分もあるのですが、それが行き過ぎてしまうと、『再生する』ことが目的となってしまいます。それは新たなファンの流入を阻害することに繋がりかねないですし、音楽を聴いているとは言えないのではないでしょうか」(高嶋さん)

    ■ファンダムに問う「チャートハックは楽しいですか?」

    「ファンダムの人たちが、あの手この手でチャートをハックしようとしていることは知っています。逆に聞きたいんですが、それって楽しいですか?(略)

    いつの間にか、ファン活動がアーティストに奉仕するという『労働』に形を変え、“推し疲れ”という言葉さえ生んでてしまっている。(略)」(礒﨑さん)

    好きなアーティストを外へと広げたい、有名にしたいと願うファンダムの活動が、かえってファンダムの外側との壁を厚くしてしまっている側面もある。

    ファンダム内部の熱量が強ければ強いほど、外側の人間からは狂信的に映り、それがアーティストや楽曲そのものの純粋な評価を歪めてしまいかねないからだ。(略)

    「誰も好きじゃなくても、自分がすごく好きなものを好きと言える世の中になってほしいです。それに対して私たちができることは、特定のジャンルに囚われないことや、知名度が高くないものも等しく発信していくことだと思います」(高嶋さん)


    続く

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    • カモミール(逆境に負けぬ強さ)
    • 22/08/20 10:20:07

    ■Billboard運営が考える、ヒットチャートの存在意義

    (略)

    様々な思惑がヒットチャートを取り巻く中、上位にランクインした作品を見て「これがヒットしている曲なのか」と素直に捉える一般リスナーも多いだろう。

    その構造が事実としてあるからこそ、アーティスト/レーベル/ファンダムは、意図的にヒットチャートに働きかけようとする。(略)

    「『これがヒットの順番です』と、アーティストや多くのスタッフが関わってつくられた創造物に対して順位付けをするヒットチャートには、とても重い責任があります。そのため、私がチャートを設計する上で最初に考えたことは、できるだけ属人的な判断を除外することでした」(礒﨑さん)

    (略)

    「どこにも忖度しておらず、純粋に『楽曲やアーティストの社会的浸透度を表すためのチャートを運営している』というスタンスを維持したいと思っています。(略)」 (高嶋さん)

    ■ヒットチャートは誰のためのもの? Billboard運営の答え

    (略)
    そんな中で、これから押し上げていく必要性を感じているのは、デビューから3~5年経った中堅層のアーティストだという。

    「新人としてのプロモーションが一段落したアーティストが、うまく次のヒットを飛ばせないというケースが多いんです。しかし、中堅層のアーティストが出しているYouTubeやストリーミング数も、デジタルの市場の拡大に連れて実際は伸びているはず。

    そこを上手く引っ張り上げられれば、ヒットチャートもより活性化するはずなんです。どうすればそういった曲が聴いてもらえる環境になるのかを次の目標として掲げています」(礒﨑さん)

    ヒットチャートとしてランキングが提示されたとき、私たちはそれを「正解」として受け取ってしまいがちだ。しかし、それはあくまで決められた指標から切り取られた一つの結果にすぎない。

    「私たちは『ヒットチャートとして権威になる』という発想を持たないようにしています。エンターテインメントを提供している意識なんです。Billboard JAPANのチャートがこうだから『正解』ではなく、『本当はこの曲の方が良い』という会話が生まれるキッカケであってほしいと思っています。

    ヒットチャートを運営していく上で私たちがずっと考えているのは、『ヒットチャートは誰のものか?』ということです。

    そしてそれはやっぱり、音楽ファンやリスナーのためのものであると思います。過剰な行動に対しては調整しますが、チャートにユーザーが参加する余地は残したいと考えています」(礒﨑さん)

    ヒットチャートをそのまま鵜呑みにするのではなく、それをどう解釈するか。どう楽しみ、どう新たな音楽と出会っていくか。音楽シーンのこれからは、リスナーの手にも握られている。

    取材・文:満島エリオ 編集:都築陵佑

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