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学校に行けない子どもたちが農作業を通じて人と出会い、巣立っていく-。そんな畑づくりに挑戦している母親がいる。福岡県新宮町の上村ゆみ子さん(38)は、中学生で不登校になった長女(17)の居場所を探し求め、町内の耕作放棄地を自ら耕した。友達になってはもらえないだろうかと、同じように学校に通えない子たちにも呼び掛けた。その熱意に、立花高(福岡市東区)の生徒や周辺住民たちは引き寄せられた。「うずくまっている子が一歩を踏み出せる畑に」。土を踏みしめた人たちの思いが、つぼみをつけ始めた。
上村さんの長女が突然、中学校に登校できなくなったのは3年前。いじめを受けたわけでも叱責(しっせき)されたわけでもない。「誰かが誰かの悪口を言っている、そんなクラスの雰囲気が息苦しくなった」
どこかに長女が過ごす場はないかと、上村さんは、農業と障害者就労をつなぐ「すまいるファーム」(同県糸島市)の木村耕平さん(43)に相談した。「不登校生徒の居場所としての農園、ありじゃない?」と賛同した木村さんは糸島市から農機具を持ってきて、新宮町での畑づくりを手伝ってくれた。
「同じように学校に行けない子どもたちなら、娘も仲良くなれるのでは」。2020年、そんな思いで不登校支援グループを設立。ハワイの言葉で「花を咲かせる」を意味するという「kauhora(カウホラ)」と名付けた。ホームページで農作業の参加を呼び掛けると、校舎に足が向かない小学生から大学生まで10人ほどが畑を訪れるようになった。
立花高の斎藤真人校長とも知り合ったことで、農業体験授業の一環として生徒が毎週金曜日、畑でのサツマイモ作りを手伝う。
この春に同校を卒業した田尻奎矢(けいし)さん(18)は中学生の頃、からかいをきっかけに登校できなかった時期がある。一緒に作業しながら、誰とでも同じ目線で話す上村さんを慕う。「自殺のニュースを見るたびに、つらさを抱える子に何かできないかと考えていた。全力で取り組む大人がいるんだなと感じた」。この畑で年下の子と話すのが好きな自分にも気付き、保育の専門学校へと進んだ。
「食べ物ってこうやってできるんだ」と気付きを得たのは臼井匠さん(18)。土作り、収穫、袋詰め…。農業には多くの過程がある。自動車整備の専門学校に進み、将来は農機具の整備に携わりたいと考え始めた。
立花高と連携して不登校児の居場所づくりに取り組む美和台校区(福岡市東区)の住民も草刈りなどを買って出た。上村さんの畑に隣接して校区の農園も造った。多くの住民が加わり、子どもたちと声を掛け合いながら農作業に汗を流す。
不登校の長女のためにと始めた畑だったが、長女は別の道を自分で選び、歩き始めた。塾に通って勉強を続け、現在は通信制高校で学ぶ。小2から続けるダンスが心の支えになり、今では教室でレッスンを受け持つほどになった。
不登校になった頃の長女には、上村さんも「私の意見を否定してくる」存在に見えた。だが、子どもの心理などを勉強しながら畑づくりに奔走する母親の姿をみて、親子の距離が変わった。「ときには批判を受けてくじけて帰ってくる母に、私は『大丈夫』って言うことしかできない」。そんな、もどかしさも感じる。農作業はしないが、母と仲間たちの写真を撮りに、時々畑に行く。
「母も学びながら進んでいる。私を受け止めてもらえる安心感が生まれ、今は同志みたいな間柄かな」。青空の下、日焼けした母と子どもたちがイモを手に満面の笑みを見せる。ここから歩みを進めた長女は、今しかない時をカメラに収める。
(今井知可子)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ed43770fca0f37c492809688e541ef24021e0932?page=2
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