- なんでも
- 宇喜多秀家
- 21/04/10 11:11:45
「フジと日テレ」の外資比率が、東北新社を超えても許される理由
2021.4.2 4:17
武田良太総務相は3月26日の閣議後の記者会見で、放送事業会社「東北新社」の衛星放送事業の一部の認定を5月1日付で取り消すことを明らかにした。放送法で定める外資規制により、外国人等議決権割合が20%を超えていたにもかかわらず、事実と異なる申請を行っていたことが理由だ。だが、外国人による株の保有比率を見ると、東北新社よりも高いのがフジ・メディア・ホールディングスと日本テレビホールディングスの2社である。東北新社の問題をきっかけに、今後、放送業界の外資規制に注目が集まりそうだ。
■各国で放送事業者に外資規制が設けられている理由
2021年3月23日に行われた武田良太総務相の定例会見で、記者からは次のような質問が上がった。
「東北新社は免許を取り消され、他方、(外国人等議決権比率が外資規制を超えている)フジテレビと日本テレビが見逃されているのはどういうわけでしょうか。法の下の平等や公平性、公正性に反するように思われます。理由をお聞かせください」
だが、これに対し、武田大臣は「事実関係をよく確認した上で、適切に対処してまいりたい」とだけ述べ、具体的な対応については言及しなかった。
わが国では、電波法や放送法により放送会社の外国人等議決権割合は5分の1(20%)を超えてはならないと定められている。放送業者に対する外資規制が行われている理由は、放送が世論に及ぼす影響を考慮した安全保障上の理由による。放送業者に対する外資規制は、わが国だけでなく、アメリカ合衆国でも欧州でも類似の制限が設けられている。
電波法第5条3項は、認定放送持株会社の欠格事由として、放送法5条1項に定める外国人等の議決権割合が全ての議決権の5分の1を超えないこととしている。
だが、外国人直接保有比率が、5分の1を超えている企業は、東北新社だけではない。2021年3月26日において、フジ・メディア・ホールディングス、日本テレビホールディングスの外国人直接保有比率はそれぞれ、32.12%、23.77%と、発行済株式総数の5分の1を超えている。(略)
実際に日本テレビホールディングスの状況はどうなっているのか。
同社のプレスリリース(2020年4月17日)によれば、2020年3月31日の算定となる総議決権個数は、242万9423個。そのうち、外国人等が行使できる議決権個数は48万5884個と、外国人等議決権割合は19.99%(正確には、19.99998%)となり、欠格事由を回避している。また、同社の有価証券報告書には、名義書き換え拒否をした議決権個数は10万8693個だったことなどが記載されている。
ところが、東北新社は外国人等が行使できる議決権個数の割合が全議決権個数の5分の1を超えていたにもかかわらず名義書き換え拒否の処理を行わなかったため、欠格事由に該当することになった。初歩的なミスだが、法律は法律だ。衛星放送の認可が取り消しになるのは当然であり、東北新社の衛星放送認可取り消しの理由は、これ以上でもこれ以下でもない。
>>1に続く
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