急上昇
今川義元
私「ねぇ、あなた、お話があるの?」
旦「なんだい? 改まって」
私「大介のことなんだけど」
旦「大介がどうかしたのかな?」
私「あの子、塾を辞めたいと言うのよ」
旦「そりゃまたどうして。こないだまで喜んで通っていたじゃないか」
私「先生に叱られて、ひどく落ち込んだらしいの」
旦「それはいけないね。何をして叱られたのかな?」
私「他の教室で授業をやっている最中、廊下で騒いだらしいわ」
旦「それは叱られて当然じゃないか」
私「あら、そうかしら」
旦「どういう意味だい?」
私「その教室では授業が長引いていたの。大介はまだ授業をやっているとは知らなかったのよ」
旦「いや、しかしだね。廊下で騒ぐということ自体が良くないんじゃないのかな」
私「授業が終わった後でも?」
旦「もちろんそうだよ。塾というのは学び舎だ。けじめをつけなければいけない」
私「あの子まだ10歳よ?」
旦「だからこそだよ。場をわきまえるということを覚えていかなければいけない年齢だ」
私「大介が塾を辞めたいと言い出したのはあなたのせいよ」
旦「どうして?」
私「あなたはいつも正論ぶって、大介の味方をしてくださらないから」
旦「それは時と場合によるだろう。廊下で騒いだことを肯定しろと言うのかね」
私「ほら、そうやって正論でねじ伏せようとする」
旦「ねじ伏せようとなんてしていないじゃないか」
私「してるわ。あなたが自覚していないだけ!」
旦「感情的になるのはやめようじゃないか。僕たちは今、大介の教育のことについて話し合っているんだよ」
私「分かってるわよ」
旦「そうか、それは失敬した。分かっているよね」
私「子供というのは、自分が間違っていても、親には味方していてほしいものなのよ」
旦「それはその通りだね。しかし、それとこれとは…」
私「別じゃない。あなたは子供の気持ちに寄り添うより先に正論が来てしまう人。自覚して」
旦「そうか……言われてみると。分かった。確かにそういう面はあるね」
私「分かってどうするの?」
旦「これから気を付けるよ」
私「あなたは亡くなったあなたのお父様にそっくりね」
旦「ここで父のことを持ち出すのはよしてくれたまえ」
私「いいえ、よさない。あなたのお父様も気持ちに寄り添うより先に正論が来る人だったわ」
旦「だから何だと言うんだ」
私「お父様と会っているとき、私がどんな気持ちだったか、あなたにお分かりになって?」
旦「どんな気持ちだったんだい?」
私「いつも息苦しかったわよ。そして、あなたもお父様そっくりになってるわ」
旦「今も僕と話していて息苦しいのかい?」
私「息苦しいわよ。正しいのはいつもあなたで私はいつも間違ってる。そう言われている気分だわ」
旦「そうか。そう感じさせてしまってすまなかったね。謝るよ。すまなかった」
私「大介もそういう気持ちなのよ」
旦「そういう、とは?」
私「なぜ廊下で騒いだのか理由を聞いてあげて。叱られてどんな気持ちだったか、まず想像してあげて」
旦「分かった。そうするよ。明日、大介とじっくり話し合ってみよう」
私「だから、それが違うのよ」
旦「何が違うんだい?」
私「気持ちに寄り添うことは話し合うことじゃないわ。大介とキャッチボールでもしてあげて」
旦「それは良い考えだね。よし、そうしよう」
私「キャッチボールしてる中で大介が自分から言い出したら、その話も聞いてあげて」
旦「なるほど。いやぁ、君の子育て論に勉強させられることばかりだよ。ありがとう」
私「やっぱりあなたって何にも分かってない」
古トピの為、これ以上コメントできません
件~件 ( 全0件)
*コメント欄のパトロールでYahoo!ニュースのAIを使用しています
ママスタコミュニティはみんなで利用する共有の掲示板型コミュニティです。みんなが気持ちよく利用できる場にするためにご利用前には利用ルール・禁止事項をご確認いただき、投稿時には以下内容をもう一度ご確認ください。
上記すべてをご確認いただいた上で投稿してください。
まだコメントがありません