鍋島直茂
スパイ行為を要求、家族を“人質”に…在日ウイグルに中国の抑圧
2020/10/19 15:30
西日本新聞
【写真】「なぜこんな圧力を受けないといけないのか」と怒りをぶちまけるハリマト・ローズさん=8月下旬
中国・新疆ウイグル自治区出身で、今は日本に暮らす少数民族ウイグル族が中国当局の圧力にさらされている。当局側は故郷に残る家族を“人質”に取り、日本で反中国活動に関わるウイグル族組織の情報を流すよう「スパイ行為」を要求。自治区に住む両親が収容施設に送られ、仕送りを断たれた留学生もいる。中国の抑圧政策が在日ウイグル社会にも影を落としている。
関東でウイグル料理店を営むハリマト・ローズさん(46)に、故郷からテレビ電話が掛かってきたのは5月上旬。自治区北部のチョチェク市に住む兄(56)があいさつもそここそに画面の向こうから切り出した。「日本で反中デモに参加したのか。地元政府の人がそう言っている」。「記憶にない」と答えると「毎週末、おまえの家に在日ウイグル族が集まっているというのは本当か」とたたみかけた。
ハリマトさんは2005年に東京の大学院へ留学し、修了後、日本に定住。18年に中国政府がテロ対策を名目に約100万人に上るウイグル族らを収容施設に送ったと報じられると、抗議の声を上げ始めた。今は日本ウイグル協会の幹部として抑圧政策の撤回を訴える。こうした活動は兄には伝えていなかったが「そんな組織には参加しないでくれ。私たち家族のことも考えてほしい」と求めてきた。
よく見ると兄は周囲に目配せするなど落ち着きがない。不審に思ってひそかに動画撮影すると、10分ほどして画面に地元の治安当局者を名乗る漢族男性が現れた。「君の行動は全部把握しているから、ごまかさなくていい。私たちはいい友達になれる」と笑顔を浮かべた。「日本で活動するウイグル組織について知りたい。力になってくれ。君は祖国・中国に貢献しなければならない」と迫った。
男性は日本ウイグル協会の幹部人事や活動計画、世界的なウイグル組織とのつながりのほか、19年6月に習近平国家主席が訪日した際の抗議デモを誰が企画したかを知りたがった。ハリマトさんは「後日連絡する」と電話を切ったが、どう対応すればいいか考えはまとまらなかった。
大学時代に父を亡くしたハリマトさんにとって兄は「一番大切な人」。結婚もせずに税務署に勤めながらハリマトさんら7人の弟と妹を育ててくれた。画面越しの兄は殴られたのか顔が腫れ、体の節々が痛そうだった。「答えないと兄がどんな目に遭うか分からない。でも一度協力したら要求はエスカレートするだろう」。家族にも打ち明けられず、近くの公園で一人、頭を抱える日々が続いた。
◆ ◆
再び兄から連絡が来たのは1カ月後の6月上旬。ハリマトさんは「明日なら話ができる」といったん切り、日本のテレビ局に連絡。テレビ電話のやりとりを撮影してもらうことにした。スパイ行為を求める生々しい様子が報じられれば、中国当局も圧力をかけづらくなると考えたからだ。
翌日のテレビ電話で、ハリマトさんは「本当に政府の人なら証明書を見せてほしい」と要求。撮影されているとは知らない男性が示した身分証には、情報機関の国家安全局を表す「国安」の文字が記されていた。
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No.1 主 鍋島直茂
20/10/26 11:56:56
日本に住むウイグル族の多くは中国のパスポートを持つ。有効期限が切れたら在日中国大使館で更新しなければならないが、兄は「おまえが協力しない限り更新しないよう在日中国大使館に伝えたそうだ。祖国に貢献してくれ」と訴えた。一方、国家安全局の男性は「協力してくれたら、君の家族には何も問題は起きない。日本への帰化申請やパスポート更新もスムーズにできるだろう」と繰り返した。アメとムチを使い分けながらスパイ行為を迫る電話は約30分続いた。
ハリマトさんは「しばらく考えさせてほしい」と述べて会話を終え、すぐに通話アプリを削除。その後、やりとりの様子は報道番組で放送された。「協力してもしなくても、彼らは圧力を強めてくる。勇気を出して対抗するしかない」と決意を新たにする。兄の動静は分からないが「地元で葬式があったという情報はない。きっと生きている」と自分に言い聞かせるように語った。
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国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによると18~19年、世界22カ国に住む新疆出身の少数民族400人に聞き取り調査した結果、多くが中国当局から圧力や嫌がらせを受けていた。このうち26人は情報提供者になるよう迫られたという。
約2千人と言われる在日ウイグル族の中にも、同様の働きかけを受けた人は多数いるとみられる。日本ウイグル協会に所属する自治区北部出身の男性は「日本の国会宛てに在日ウイグル族が準備していた意見書を、自治区の公安当局者が既に入手していた。日本にいるスパイが流したに違いない」と指摘する。
東京都内に住むウイグル族の20代男性は来日した18年当時、ウイグル族の仲間から中国当局との関係を怪しまれた。「中国政府がウイグル族の海外渡航を制限する中、たまたま来日できたので政府の協力者じゃないかと疑われた」と明かす。「当局がスパイ活動に誘うのは情報収集だけが目的じゃない。ウイグル族同士の不信感をあおり、団結できないようにする狙いもある」と指摘した。 (川原田健雄)
【写真】ハリマトさん(右上)が兄(左)とのテレビ電話をひそかに動画撮影していると突然、兄の隣に新疆ウイグル自治区の治安当局者が現れた
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/655780/
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