• No.1 宮本武蔵(強い)

    20/08/19 09:08:25

    情報番組は「未成年飲酒」の議論に終始
     ただ、ジャニーズ事務所としては、過去に別の所属タレントに下した処分もあるだけに、「おとがめなし」というわけにはいかない。

     だからこそ、「しかしながら、特に今回は、皆様が継続的に新型コロナウイルスと向き合いながらそれぞれ自主的に制約を設けて生活を送られている状況であったことからすれば、たとえ自治体による酒類を提供する飲食店への時短営業要請下にない時期の出来事であったとしても、自身の置かれた立場に対する自覚と責任に欠けた行動であったと弊社といたしましては重く受け止めております」とつづり、“重い処分”という雰囲気を醸し出したのだろう。

     ところが世間の人々は、“重い処分”という印象を一切受けなかった。その理由はジャニーズ事務所が最大の論点である「ホテルに長時間滞在した淫行の疑惑」や「東京都青少年健全育成条例違反」「児童売春防止法違反」の可能性を都合よくスルーして、話題を「未成年飲酒」「コロナ禍の飲酒」だけに留めたからだ。

     さらに人々の不信感を加速させているのは、このあからさまな論点のすり替えに民放各局の情報番組が加担してしまったこと。実際、各局の情報番組はそろって「未成年であることを知っていたかどうか」「知らなかったとしたら罪に問われるのか」「店に年齢確認の義務はないか」「身分証提示を義務付けることが大事ではないか」などと、「未成年飲酒」の議論に終始していた。

     その上で、NEWS・小山慶一郎、加藤シゲアキ、Snow Man・岩本照の未成年飲酒とのケースと比較して、「処分が重い」「ジャニーズが厳しい」という論調で報じていたのだ。

    タレントMCやコメンテーターも忖度
    photo by iStock

     『スッキリ』(日本テレビ系)では、近藤春菜が「(ウソをつかれたら)『どうしようもないな』って思う」「店が身分証明書を徹底するしかない」、高橋真麻も「宴席で『身分証明書見せて』とはなかなか言えない」「事務所は厳しい判断をした」、加藤浩次も「気づけなかった責任はある」と多少の厳しさこそ交えたものの、ホテルの件にはふれなかった。

     『グッディ』(フジテレビ系)の安藤優子も、「一番のポイントは未成年かどうかを知らなかったのか、確認したかどうか」と論点をすり替え、さらに「今の子はメイクしたらわからない」「山下さんは清廉というか、神々しいまでに清々しいイメージだからギャップがある」などとフォローをはじめる始末。

     同番組はそれ以前に、「日刊スポーツのジャニーズ担当記者を呼んで話を聞いている」という時点で疑問が残る。担当記者がジャニーズに不利なことを言えるはずがなく、人選から間違っているところが根深い。

     その他でも、『ミヤネ屋』(日本テレビ系)の宮根誠司が「年齢を確認させてくださいというのは難しい」とコメントしたほか、『とくダネ! 』(フジテレビ系)の小倉智昭らも「処分は厳しい」という論調だった。「ジャニーズとの共演もあるタレントをMCやコメンテーターに起用するから、このような忖度だらけの番組になってしまう」ことが理解できるのではないか。

     唯一、人々の気持ちを代弁するようなコメントをしていたのは、『グッとラック! 』(TBS系)の西村博之。他の出演者が言及を避ける中、西村は「飲み会が問題じゃなくて、問題はホテルだと思う。飲み会に若い人がいるのはしょうがないじゃないですか」と語っていたが、芸能界にしがらみのないから本音で話せるのだろう。

     話を「スッキリ」(日本テレビ系)に戻すと、このニュースの冒頭、水卜麻美アナが「一部報道で未成年との飲酒が報じられた山下智久さんと亀梨和也さんにジャニーズ事務所が処分を発表しました」と切り出していた。この点だけを取っても、「論点は未成年飲酒のみで、ホテルはスルー」という方針であることがわかるはずだ。

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