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- 永長
- 20/07/13 14:17:49
北茨城・五浦に巨大油・ガス田 岩塊から成分検出 1650万年前に存在か
茨城大など「資源に期待」
2020年7月9日(木)
北茨城市の景勝地、五浦海岸一体の海底深部に約1650万年前、大規模な油田・ガス田があったことを解明したと、茨城大などの研究チームが8日発表した。海岸に広く分布する岩の塊を分析して天然ガス成分の検出に成功。埋蔵量950億立方メートル以上の巨大ガス田に匹敵する油・ガス田が存在していたと推定した。国内の探査船による地下資源探査では茨城沖も調査対象海域となっており、同大は「茨城沖に石油、天然ガス資源があるポテンシャルが高まった。今後の地下資源探査の進展が期待される」と指摘している。
研究成果は地質学の国際学術誌に公開された。
五浦海岸を含む海域は、炭酸塩による岩の塊を主とした堆積岩でできている。研究チームは2013年以降、炭酸塩の岩塊から多くの岩石試料を採取し、光学顕微鏡やイオン化検出器などを使った高感度分析法により、微量なガス成分の測定に成功した。炭酸塩の体積は少なくとも600万立方メートル(東京ドーム5個分)以上あり、そのほとんどが天然ガスに由来する成分で、海底の約73億立方メートル以上のメタンガスが化学変化して作られたとされる。
炭酸塩の岩塊ができたのは、大陸から日本列島が分離し日本海が拡大する地質時代(約2000万年〜1500万年前)に当たる。激しい地殻変動によって海底深部の油・ガス田に亀裂が生じ、重量の軽い天然ガスが数万年以上にわたって断続的に海底に湧き出したと分析している。
五浦海岸は岡倉天心が晩年に居を構え横山大観らを指導した場所として知られ、国の登録記念物になっている。天心史跡の六角堂を取り囲む岩の奇景は炭酸塩の岩塊層になっている。
石油天然ガス・金属鉱物資源機構が運航する探査船「たんさ」による国の地下資源探査は、2019〜28年度に全国の5万平方キロメートルで行われる計画。海底に音波を放つ方法を使い、油田やガス田の可能性を見つける。茨城県の50〜100キロ沖も調査対象に選ばれている。
茨城大大学院理工学研究科の安藤寿男教授は「海底で出た天然ガスは風化したものを含めるとはるかに大量で、研究結果は巨大油・ガス田の存在を示す証拠となった。自然の風景や芸術で由緒ある場所で、地質の不思議さが明らかになったことは意義深い」と強調した。
[写真]海底ガス田があったことを示す五浦海岸の炭酸塩の岩塊。右奥は六角堂=北茨城市大津町五浦海底ガス田があったことを示す五浦海岸の炭酸塩の岩塊。右奥は六角堂=北茨城市大津町五浦
茨城新聞クロスアイ
https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15942086945763
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茨城・五浦海岸に巨大油ガス田痕跡 茨城大・北大解明
2020/7/9 19:46
茨城大学と北海道大学の研究チームは、茨城県北茨城市の五浦海岸に広がる奇岩岩礁が約1650万年前に存在した巨大油ガス田の痕跡であると解明した。地殻変動に伴い流出した天然ガスが化学変化して奇岩を形成。油ガス田が茨城沖に存在する可能性が高まった。茨城大の安藤寿男教授は「今後の地下資源探査に期待したい」と話す。
五浦海岸は奇岩岩礁が広がる景勝地として知られる。岩礁は炭酸カルシウムが凝結してできた岩塊の炭酸塩コンクリーションからなるが、形成の経緯は不明だった。今回、成分を分析すると天然ガス由来と分かった。
安藤教授によると、約1650万年前の地殻変動で海底の油ガス田に亀裂が発生し、天然ガスの大規模な流出が始まって数万年間続いた。天然ガスは海底で化学変化して炭酸塩コンクリーションができ、地表に出て奇岩岩礁となった。
五浦の炭酸塩コンクリーションは世界最大級だ。岩礁の体積から推定し、海底に巨大ガス田(可採埋蔵量950億立方メートル以上)に匹敵する規模の油ガス田が存在していたと考えられる。
2019年度から石油天然ガス・金属鉱物資源機構の探査船「たんさ」が日本近海の地下資源を探査しており、茨城沖も調査対象。今後、さらに調査を進める後押しになりそうだ。
[写真]五浦海岸の奇岩岩礁と、岡倉天心が築いた六角堂(右手)
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61351080Z00C20A7L60000/
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