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- 永長
- 20/07/13 09:11:50
「あらゆる人に検査を」で得られるのは偽物の安心。PCR検査の特異度が99.9999%でも、議論は変わらない
2020年7月10日
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議に代わり、新たに設置された新型コロナウイルス感染症専門家の分科会。
尾身茂会長は7月6日、第1回目の会合後の記者会見で、検査体制拡充を戦略的に進める必要性を強調した。
感染リスクを評価すると同時に、検査を受ける段階で予想される陽性率(事前確率)を踏まえて、検査体制を考えていくことが「感染症対策の王道」と説明し、示されたのは3つのカテゴリーごとの必要な検査の戦略だ。
(1)有症状者
(2)無症状者+事前確率が高い
(3)無症状者+事前確率が低い
その中でも、(3)無症状かつ事前確率が低い人への検査を行うべきか否か、「一定のコンセンサスを構築する時期にきた」と尾身会長は指摘する。
だが、その説明を行う中で提示されたデータに対し、一部で疑問の声が上がっている。
BuzzFeed Newsは米国国立研究機関博士研究員でウイルス学、免疫学を専門とする峰宗太郎医師、神戸大学病院感染症内科教授の岩田健太郎医師の協力を得て検証を行った。
◆改めて、尾身会長の指摘を振り返る
検査体制の整備が進む中で、新型コロナと思われる症状がある患者には、医師が必要と判断した場合には今後も検査を行う方針に変わりはない。
また、無症状者でありながら、陽性が出る確率が高い人々(病院や高齢者施設の濃厚接触者や夜の街クラスターの関係者等)にも「PCR検査を徹底的に行う」ことが重要との認識を示している。
その上で、尾身会長は(3)無症状かつ検査を受ける段階で予想される陽性率が低い人に対して行う検査の必要性について問題提起を行った。
ポイントは検査による偽陽性(陽性でない人を誤って陽性と判定すること)、偽陰性(陰性でない人を陰性と判定すること)が出る確率だ。
「リスクが低いところで、ほとんど感染者のいないポピュレーション(集団)を対象にやると、どんどんと偽陽性が増え、偽陰性が減っていく。これは感染症対策の常識なんです」
[図画]
尾身会長は会見の中でPCR検査の感度(陽性を正しく陽性と判断する割合)を70%、特異度(陰性を正しく陰性と判断する割合)を99%と仮定し、説明を行った。
この仮定に基づけば、1%の人が感染していると思われる1万人に対して検査を行った場合、99人が偽陽性と判定される。また、30人は感染をしているが陰性と判定される可能性がある。
結果、99人は実際には陽性ではないにもかかわらず隔離措置をとられることになり、30人は安心して知らず知らずのうちに感染を拡大するおそれがある。
しかし、一部では、無症状者に対しても徹底的に検査を行うべきとの声が根強い。
こうした問題が生じることを理解してもなお、無症状かつ事前確率の低い人々にも検査を徹底的に行うべきなのかが争点となる。
>>1 に続く
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