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- 20/03/18 23:56:23
2020/3/18 17:04 (JST)3/18 17:17 (JST)updated
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広島地裁
2004年10月に廿日市市上平良の廿日市高2年北口聡美さん=当時(17)=が自宅で刺殺された事件で、殺人、殺人未遂、女性暴行致死、住居侵入の罪に問われた宇部市東岐波、無職鹿嶋学被告(36)の裁判員裁判の判決公判が18日、広島地裁であり、杉本正則裁判長は求刑通り無期懲役を言い渡した。
杉本裁判長は「一人の生命を奪い、一人に生命の危険が迫る重傷を負わせた結果はあまりに重大」と指摘。鹿嶋被告の発達の偏りの影響や計画的な殺害ではなかった点を認めつつも「強い非難に値する。事実の重大性を厳粛に受け止めさせ、贖罪の日々を送らせるのが相当」と述べ、有期刑を求めた弁護側の訴えを退けた。
判決などによると、鹿嶋被告は04年10月5日午後3時ごろ、乱暴目的で離れの聡美さんの部屋に侵入し、折り畳みナイフで脅迫。腹や胸を多数回刺して殺害し、物音を聞いて駆け付けた祖母のミチヨさん(88)を刺して殺そうとした。事件から13年半後に逮捕された鹿嶋被告は公判で起訴内容を認め、量刑が争点だった。
鹿嶋被告は事件前日の同年10月4日、萩市内の職場の問題などを巡って自暴自棄になり、会社の寮をミニバイクで飛び出し東京方面に向かった。女性暴行を思い立って翌5日、廿日市市内で帰宅中の聡美さんを偶然見掛けて乱暴しようと決意。聡美さんの部屋に侵入し、折り畳みナイフで脅したが、乱暴する前に逃げられたため刺殺した。
聡美さんの父忠さん(62)は被害者参加制度で公判に参加。意見陳述で「自分の命で償ってほしい」と死刑を求めた。検察側は論告で「動機は極めて身勝手。強い殺意があり残虐で冷酷非道」と指摘した一方、殺害行為の計画性は認めがたいなどとして無期懲役を求刑。弁護側は殺人の計画性が乏しい点や、犯行前後の心理状態などを鑑定した精神科医の証言を基に「物事のレベルに応じた対応ができない思考特性が意思決定に影響した」と強調し、有期刑を求めていた。
事件を巡っては捜査が難航したが、18年4月上旬、鹿嶋被告が勤務先の同僚を蹴り、山口県警の任意聴取を受けたのを機に急展開。その際に採取された指紋などが、廿日市市の事件現場に残っていたものと一致し、同月13日に広島県警に逮捕された。
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