- なんでも
- 長亨
- 20/03/02 13:04:25
鹿児島市の鹿児島県立開陽高校で1日、通信制課程の卒業式があり、歴代最高齢の88歳の高野幸夫さん=同県日置市=が卒業証書を受け取った。家庭の事情で中退した高校に再挑戦しようと57歳で一念発起。障害者施設に入所しながら、平成、令和の31年間にわたった高校生活を終え、「励まされながら一生懸命やってきた。長かったけれど、うれしい」と笑顔で恩師と喜びを分かち合った。
高野さんは同県いちき串木野市育ち。家庭の事情で高校2年で中退した。30歳で上京し、運送業などで働いた。
50歳を過ぎて手足がしびれたり、筋力が低下したりする難病を発症。帰郷して日置市の障害者支援施設に入所した。「高校を卒業できなかったことがずっと心残りだった」。学び直す決意をし、昭和から平成に時代が変わった1989年に鹿児島西高通信制課程に入学した。
だが、体調不良などで単位の取得は思うように進まなかった。同高の通信制課程の廃止などもあり、2000年に開陽高の通信制課程に移籍。めげずに毎年、受講登録を更新し続けた。「数学と英語が苦手だったが、勉強は好きだった。やめようと思ったことはなかった」
転機は16年に担任になった山下照哉教諭(53)との出会い。山下教諭が高野さんの入所施設に通い、リポート作成を支援。卒業までに必要な74単位のうち、残り約30単位を4年がかりで取得した。
新型コロナウイルスの感染予防のため、高齢の高野さんは全体の卒業式への出席を断念。代わりに1人だけの卒業式が校長室であり、西博文校長から卒業証書を受け取った。はにかむ高野さんの姿に、山下教諭は「クシャッとした笑顔が大好き。支援に行っても事前の準備がしっかりしていた。『お茶でも飲むなぁ』と飲み物を出してくれるのもうれしくて」と涙を浮かべた。
「卒業できると聞いた時はびっくりした。山下先生が励ましてくれたおかげ」。高野さんは恩師に感謝し、握手を交わした。【菅野蘭】
3/2(月) 7:15配信
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