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- 20/01/01 18:07:14
2020年1月1日 15時0分
デイリー新潮
[画像] 熊谷男女4人殺傷事件 16歳少女の「やっちゃえ!」が生んだ地獄【平成の怪事件簿】
未成年が起こした平成の凶悪事件にあって、「熊谷男女4人殺傷事件」は特殊なケースといえるかもしれない。実刑判決を受けた少女は、自らが手を下すことはしなかった。「キモ過ぎ」「殺されて当然だよ」の言葉でもって、血みどろの殺戮を引き起こしたのだ。(上條昌史 ノンフィクション・ライター)
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「今も他人が包丁を手にしているのを見ると、腕がこんなふうに硬直してしまうんです」
被害者の一人A子さんはそういって、棒のように伸ばした腕をさすり、顔をゆがめた。2005年の取材時のことだ。
天気の具合によって、刺された胸の傷跡が、すごく痛むという。そんなときは立っていられず、思わず屈み込んでしまう。夜は、ちょっとした物音に反応して起きてしまうので、ラジオをつけっぱなしにして寝ているという。
「今も他人が包丁を手にしているのを見ると、腕がこんなふうに硬直してしまうんです」(※画像はイメージ)
「事件の公判が始まってからは、円形脱毛症になりました。被害を受けたことによるPTSDだと診断され、今も東京の病院へカウンセリングに通っていますが、なかなか症状はよくなりません」
A子さんは、犯人たちに6時間にわたって拉致されたあげく、目の前で知人たちを次々に殺傷され、最後は主犯格の男に小屋の中に連れ込まれた。口淫を命じられ、それを拒否すると、瞬間接着剤を鼻と口に塗布され、ロープを頸部に巻き付けられて絞め上げられ、胸を刺されて意識を失った。
「次はわたしの番だ…-」と思い続けた、恐怖の一日。そのとき体と心に受けた深い傷は、おそらく一生癒えることはない。そしてA子さんの怒りと無念さは、事件に関わっていた一人の少女に向けられる。
2003年の夏、埼玉県熊谷市で起きた男女4人の拉致殺傷事件。その発端となったのは、当時16歳になる少女、吉村カオリ(仮名)の「やっちゃってよ」という一言だった。主犯格の男は、暴力団関係者の尾形英紀(当時26)、もう1人は15歳の少年Aである。
尾形はカオリの言葉に煽られるように、カオリの元交際相手の鈴木秀明さん(享年28)を殺害し、その現場に居合わせた鈴木さんの同僚女性A子さんら3人を拉致、殺傷したのである。
事件後、3人は逮捕された。カオリは・殺人ほう助罪などで起訴され、2004年11月18日、懲役5年以上10年以下の実刑判決を受けた。
逮捕直後、カオリは自分には非がないと考えていた。しかし1年以上に及ぶ拘置所生活の中で次第に事件への自覚を持ち始め、反省の色を見せ始めたという。
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