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19/11/20 08:32:00
■学長「喧嘩両成敗」は残念 織田さんは記者会見で、芝井敬司学長にハラスメント調査と処分を依頼しましたが「喧嘩両成敗」と言われた、としています。 11月18日の織田さんの提訴・記者会見を受けて関西大学は、次のようなコメントを出しました。 「提訴の内容については承知しておりませんので、コメントは差し控えます。現在、アイススケート競技がシーズンに入り、多くの選手が、練習とその成果の披露に懸命に取り組んでいるこの時期に、今般の提訴がかされたことは大変残念です」 前監督と現役のコーチの訴訟、という点で微妙な立場にある関西大学からすれば「コメントは差し控えます」は、まあ、自然なところ。 選手への影響を懸念するのもわかります。 が、学業への影響については、今後、裁判でも注目されていくことになるでしょう。そして織田さん側に理がある、と判断された場合、関西大学はさらに難しい立場に追い込まれます。 少なくとも、織田さんが芝井学長と面談した際、打てる手はいくつかあったはず。浜田コーチにも練習時間・部則変更への理解を促す、などは高等教育機関である(しかも、文武両道を標榜する)関西大学として促すことはするべきでした。 そうした話ができないくらい、浜田コーチの権限が強かったことすら推定できますが、それにしても「喧嘩両成敗」は事態を理解していない、残念な言動でした。 ■広告塔が一変、リスク要因に 大学スポーツはこれまで広告塔となる、と見られていました。 実際、野球に駅伝、ラグビーなど所属選手が活躍すれば、それだけ大学も注目されます。受験生が大幅に増えるまでには至らなくても宣伝効果があることは間違いありません。 しかし、2018年の至学館大学、日本大学はレスリング部、アメフト部でパワハラ騒動が起きました。 その結果、至学館大学は受験者数が微減。旺文社『蛍雪時代臨時増刊 全国大学案内内容号』(2019年8月)によると受験者数860人。受験倍率は前年の3.6倍から2.7倍に低下。 さらに深刻なのが大規模大学の日本大学で受験者数は前年比1.4万人減の95364人。 至学館大学にしろ、日本大学にしろ、パワハラ騒動や受験者数減ですぐつぶれる、ということはありません。 しかし、大学のイメージを悪化させたことは確かです。本来なら宣伝効果を期待していたはずの大学スポーツがネガティブな要素と化してしまいました。 そして、大学スポーツは一種のムラ社会です。原晋・青山学院大学陸上部監督のようなタイプなら、パワハラ・モラハラはそう起きないでしょう。が、こうした例はむしろ少数派です。大半は一種のムラ社会であり、どうしても、パワハラ、モラハラなどが起きやすい素地がある、と言えます。 それから、パワハラ、モラハラ(あるいはセクハラなども同様)は、過去よりも近年の方が、はるかに訴えやすくなっています。 まとめますと、大学スポーツは広告塔として期待できる反面、パワハラ、モラハラなどによってイメージを悪くすることも十分あり得ます。学業との両立ができていなくても同様です。 織田さんの提訴は、織田さんの意図はともかく、結果的には、大学スポーツのリスク要素を明らかにしたことになります。 今後ですが、関西大学に限らず、大学スポーツに期待する大学経営幹部・当局は、こうしたリスク要素にも取り組むことが求められます。 単に、いい選手をスカウトする、あるいは、活躍したことを喜べばいい、という時代ではありません。 https://news.yahoo.co.jp/byline/ishiwatarireiji/20191119-00151498/
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No.3 主 嘉元
19/11/20 08:32:00
■学長「喧嘩両成敗」は残念
織田さんは記者会見で、芝井敬司学長にハラスメント調査と処分を依頼しましたが「喧嘩両成敗」と言われた、としています。
11月18日の織田さんの提訴・記者会見を受けて関西大学は、次のようなコメントを出しました。
「提訴の内容については承知しておりませんので、コメントは差し控えます。現在、アイススケート競技がシーズンに入り、多くの選手が、練習とその成果の披露に懸命に取り組んでいるこの時期に、今般の提訴がかされたことは大変残念です」
前監督と現役のコーチの訴訟、という点で微妙な立場にある関西大学からすれば「コメントは差し控えます」は、まあ、自然なところ。
選手への影響を懸念するのもわかります。
が、学業への影響については、今後、裁判でも注目されていくことになるでしょう。そして織田さん側に理がある、と判断された場合、関西大学はさらに難しい立場に追い込まれます。
少なくとも、織田さんが芝井学長と面談した際、打てる手はいくつかあったはず。浜田コーチにも練習時間・部則変更への理解を促す、などは高等教育機関である(しかも、文武両道を標榜する)関西大学として促すことはするべきでした。
そうした話ができないくらい、浜田コーチの権限が強かったことすら推定できますが、それにしても「喧嘩両成敗」は事態を理解していない、残念な言動でした。
■広告塔が一変、リスク要因に
大学スポーツはこれまで広告塔となる、と見られていました。
実際、野球に駅伝、ラグビーなど所属選手が活躍すれば、それだけ大学も注目されます。受験生が大幅に増えるまでには至らなくても宣伝効果があることは間違いありません。
しかし、2018年の至学館大学、日本大学はレスリング部、アメフト部でパワハラ騒動が起きました。
その結果、至学館大学は受験者数が微減。旺文社『蛍雪時代臨時増刊 全国大学案内内容号』(2019年8月)によると受験者数860人。受験倍率は前年の3.6倍から2.7倍に低下。
さらに深刻なのが大規模大学の日本大学で受験者数は前年比1.4万人減の95364人。
至学館大学にしろ、日本大学にしろ、パワハラ騒動や受験者数減ですぐつぶれる、ということはありません。
しかし、大学のイメージを悪化させたことは確かです。本来なら宣伝効果を期待していたはずの大学スポーツがネガティブな要素と化してしまいました。
そして、大学スポーツは一種のムラ社会です。原晋・青山学院大学陸上部監督のようなタイプなら、パワハラ・モラハラはそう起きないでしょう。が、こうした例はむしろ少数派です。大半は一種のムラ社会であり、どうしても、パワハラ、モラハラなどが起きやすい素地がある、と言えます。
それから、パワハラ、モラハラ(あるいはセクハラなども同様)は、過去よりも近年の方が、はるかに訴えやすくなっています。
まとめますと、大学スポーツは広告塔として期待できる反面、パワハラ、モラハラなどによってイメージを悪くすることも十分あり得ます。学業との両立ができていなくても同様です。
織田さんの提訴は、織田さんの意図はともかく、結果的には、大学スポーツのリスク要素を明らかにしたことになります。
今後ですが、関西大学に限らず、大学スポーツに期待する大学経営幹部・当局は、こうしたリスク要素にも取り組むことが求められます。
単に、いい選手をスカウトする、あるいは、活躍したことを喜べばいい、という時代ではありません。
https://news.yahoo.co.jp/byline/ishiwatarireiji/20191119-00151498/
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